beacon

[デンチャレ]日本高校選抜はMF芝田のPKで初得点も、初勝利ならず…後半の3失点でプレーオフ選抜に逆転負け

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半立ち上がり、日本高校選抜右WB野田隼太郎(藤枝東高3年→早稲田大)が右足シュートを放つ

[2.29 デンチャレ プレーオフ選抜 3-1 日本高校選抜]

 日本高校選抜は初得点も、初勝利ならず――。2月29日、第38回デンソーカップチャレンジサッカー 福島大会グループB最終節で日本高校選抜はプレーオフ選抜と対戦。前半終了間際にMF芝田玲(青森山田高3年→明治大)のPKで今大会初ゴールを挙げたが、後半に3点を奪われて1-3で敗れた。勝ったプレーオフ選抜は3連勝。3月2日の決勝へ進出している。

 高校選抜は東北選抜との初戦を0-0で引き分け、前日の関東選抜A戦は0-1で惜敗。初勝利を目指したプレーオフ選抜戦はこれまでの4バックから190cmDF小泉佳絃(青森山田高3年→明治大)、190cmDF渡邉優空(尚志高3年→立正大)、185cmDF塩川桜道(流通経済大柏高3年→流通経済大)の大型DF3選手による3バックへ変更した。

 加えて、GKが平塚仁(岡山学芸館高3年→明治大)で、主将の右WB野田隼太郎(藤枝東高3年→早稲田大)、左WB市川和弥(尚志高3年→東洋大)の両ワイド。中盤中央はアンカー気味に構えるMF神田拓人(尚志高3年→早稲田大)と芝田、MF松田悠世(桐光学園高3年→法政大)による構成。そして、FW高岡伶颯(日章学園高2年)、FW網代陽勇(尚志高3年→早稲田大)が先発した。

 対戦したプレーオフ選抜は、デンソーカップチャレンジのプレーオフで敗退した北海道選抜、北信越選抜、中国選抜、四国選抜、九州選抜から選出されたメンバー。開幕2連勝したチームは引き分け以上で自力での決勝進出が決まる。右WB橋本悠(福岡大3年=鳥栖U-18/福岡内定)らが先発出場し、高校選抜を迎え撃った。

 FW加藤大晟(鹿屋体育大3年=浜松開誠館高)やFW吉田晃盛(新潟医療福祉大2年=九州国際大付高)へ向けてロングボールを入れるなど縦に速い攻撃を繰り出すプレーオフ選抜に対し、日本高校選抜はカバーリング面でも利いていた小泉が「前半、3バックでうまくいってた気もしていて、結構ゴールも隠してやれてた気がします」。高さと強さを兼備する3バックが際の競り合いで渡り合うなど大学生に食い下がる。

 また、初戦でも抜群の守備能力を発揮していた神田がこの日もセカンドボールを幾度も回収。GK平塚が相手のプレッシャーにも動じることなく、質の高いボールを蹴り入れていた。だが、日本高校選抜は奪ったボールを縦に入れるものの、大学生の力強いチェックを受けてロスト。なかなか攻撃の時間を増やすことができない。相手の小さなクリアを拾った松田が左足を振ったほか、芝田が右サイドへの抜け出しからクロスへ持ち込むシーンもあったが、シュートを打てないまま時間が経過した。

 だが、相手の強引な中央突破やセットプレーに身体を張って対抗。ミドルシュートを打たれただけで、決定打を打たせない。迎えた36分、日本高校選抜はGK平塚が右足ダイレクトでロングフィード。プレーオフ選抜DFが頭で自陣PAへ繋ぐが、先に日本高校選抜FW網代がボールに到達し、相手GKと交錯する。主審は当初PKの判定を下していなかったが、網代の治療中に副審とこのプレーについて確認。そして、ペナルティマークを指さした。試合は約6分間の中断後に再開。キッカーの芝田が右足で中央に決め、日本高校選抜が先制した。

 プレーオフ選抜は前半のうちに2選手を交代。さらにハーフタイムに2選手を入れ替えた。日本高校選抜もハーフタイムに市川と網代を左WB布施克真(日大藤沢高2年)とMF名和田我空(神村学園高2年)へ交代。後半3分には右サイドの神田がペナルティーアークの高岡へ浮き球パスを通す。高岡は大柄な大学生に潰されそうになりながらも驚異的なキープからラストパス。走り込んだ野田がGKと1対1になったものの、右足シュートは左外へ外れた。

 高校選抜は高岡の抜群のスピードを活用。7分には名和田のループパスから高岡がシュートへ持ち込もうとする。だが、加藤が「前半がほんとチームとして上手くいってなくて。ハーフタイムに細かいとこっていうよりは、球際であったり、あと気持ちをもっと出してっていう話がありました」と説明したように、プレーオフ選抜は後半、攻守の迫力が向上。高校選抜は布施が強度、守備対応の上手さを発揮し、名和田が個人技でゴールライン際を突破しかけるシーンもあった。だが、全体的に距離感が遠く、高岡へのロングボール中心の攻撃になってしまう。

 19分、プレーオフ選抜が同点に追いつく。MF村田迅(北陸大3年=前橋育英高)の素晴らしいインターセプトとキープで左FKを獲得。DF磯谷駿(福岡大3年=九州国際大付高)が左足で蹴り込み、右の橋本が競り勝つ。最後は右中間でこぼれ球を拾った加藤が左足で豪快に決めて1-1とした。

 高校選抜にとって、脳震盪の可能性があった網代の交代によって前線の起点が失われたことも響いた。芝田は「競り合いの優位性というか、そこで勝てれば優位に立てるっていうのは高校時代は感じてましたけど、逆に今日は相手のCB、(青森)山田出身の秋元選手だったりっていうところに競り負けてしまっていた。競り合い一つはやっぱり凄く試合を変えるなっていうのは今日思いながら試合しました」と振り返る。DF秋元琉星(新潟医療福祉大3年=青森山田高)を中心としたプレーオフ選抜DF陣の強さに苦しみ、後半7分の高岡のシュート後は、1本もそれを放つことができなかった。

 相手にクロス、シュートまで持ち込まれる回数が増える中、高校選抜は後半34分、野田に代えてMF長準喜(昌平高3年→順天堂大)を投入。松田を左WB、布施を右WBへ移行した。42分には芝田と松田に代えて攻撃的なボランチのMF太田隼剛(市立船橋高3年→桐蔭横浜大)と左利きのアタッカー、MF杉本英誉(青森山田高3年→桐蔭横浜大)を同時投入。勝ちを目指しにいく。

 だが、43分、自陣で相手MF松尾亮汰(福岡大3年=龍谷高)にルーズボールを拾われると、運動量の多さと左足の質を発揮していた左WB吉川敬進(鹿屋体育大2年=JFAアカデミー福島U-18)にクロスを上げられてしまう。最後はファーの加藤が頭で叩きつけたボールが左ポストを叩いてゴールイン。プレーオフ選抜はさらに45+2分、橋本が自ら獲得した左FKを右足で蹴り込む。これをファーの磯谷が頭で決め、3-1で逆転勝ちした。

 高校選抜の小泉は「相手も後半に逆転、関東(選抜A)の時もしてるので、勢いがあるというのはわかってたんですけど、その勢いに飲まれてしまったなっていうのは、やっぱ反省点です」と語り、芝田は試合中に改善できなかったことを指摘。「1点取られてズルズル行って、結局3失点っていう、弱いチームの典型というか、そういうゲームになってしまったと思うんで、本当に改善する必要が多いゲームでした。このチームでできるのも別に永遠じゃないんで、1試合1試合を大事に、次こそはほんとに勝ちたいなと思います」と力を込めた。日本高校選抜は3月2日の今大会最終戦(5位決定戦)でU-20全日本選抜に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)


●第38回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP