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[高校MOM257]帝京MF高木利弥(3年)_受け継がれる「一撃必殺」

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.26 全国高校総体東京都予選準決勝 國學院久我山 1-2 帝京]

「アジアの大砲」の長男が、帝京を2年連続31回目のインターハイ出場へ導いた。MF高木利弥がFC東京U-15深川から帝京高校へ進んだのは、3年前。帝京はその年から全国高校選手権の舞台に舞い戻り、高木は1年から主力としてプレーし続けている。3年生になり「もっとコーチングをして、チームを鼓舞して、経験をさせてもらった自分がチームを引っ張らないといけない」と責任感を強めている。

 2010年の全国高校総体(8月、沖縄)出場権をかけた東京都大会の準決勝では、國學院久我山を相手に1得点1アシストを記録し、勝利に大きく貢献した。4分にはカウンターで左から相手をかわしながら対角にドリブルで突き進み、右の深い位置からクロスを上げ、FW小門勇太の先制点をアシスト。その後、一度は同点に追いつかれたが、前半終了間際のロスタイムにCKから空中戦でこぼれたボールを左足のダイレクトボレーで豪快にたたき込み、決勝点をマークした。

 過去にも、大きなサイドチェンジや、相手が打つタイミングを予測できない左のミドルシュートで試合を決めたことがある。前線でもプレーするが、主戦場は左MFで「アジアの大砲」と呼ばれた元日本代表FWの父・高木琢也氏(現ロアッソ熊本監督)とプレースタイル自体は似ていない。しかし、試合を決める一撃を持っているという意味では、父から譲り受けた物を持っているのかもしれない。

 帝京の廣瀬龍監督は「珍しいよね。彼はスタンドプレーばかりだったけど、散々厳しいことを言って来た。まあ、奴のパスセンスとかゲーム運びの巧さっていうのはあるんだけど、まだまだ(精神的に)甘い。また夏に鍛えます」と手厳しいが、試合を決めるワンプレーを持っていることは、類稀な才能と言える。この日の決勝点を振り返り、高木は「(得点したボレーが決まったのは)まぐれかもしれないですけど、ダイレクトで打つというのは意識していました」と少し照れながら話した。日本サッカー史上に残る偉大な父から受け継がれる一撃必殺は、次の出番を待っている。

(取材・文 平野貴也)

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