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[全日本ユース選手権]2点ビハインドも「関係ない」広島ユース、大逆転劇で決勝へ

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[10.9 全日本ユース(U-18)選手権 静岡学園高 2-4 広島ユース 国立]

 0-2からの大逆転。「(後半)最後45分、エネルギーはもう枯渇して決勝は走れないでしょう」と森山佳郎監督も苦笑いした怒涛の45分を経て、広島ユースが決勝進出の権利をもぎ取った。

 ここまでの5試合で22得点をたたき出していた広島ユース。決勝でも優位に立つかと思われていたが指揮官の考えは違った。「静学のビデオを見て、これは難しいなと。静学は攻撃と言われるけれど、守備がしっかりしているチームだと思った」。その不安は的中する。前半、マンツーマンに近い形で厳しく距離を詰めてくる静岡学園の前に広島ユースはミスを連発。この日受験で主力の3年生2人が欠場し、39度の発熱をしたU-16日本代表MF野津田岳人もメンバーから外れたことが影響していた。コンビネーションを寸断され、パイプを失ったチームは苦しい45分間を送ることとなった。

 そしてMF大島僚太を中心とした静岡学園の足技についていくことができない。前半終了して2点のビハインド。だが、切り替えは早かった。「2点差というのは世界の至るところで簡単にひっくり返っている差。20分で1点取ればいける、と」と森山監督に振り返ったとおり、つなぐスタイルからFW井波靖奈とMF川森有真を走らせて相手の背後をとるサッカーへ変更した広島ユースはあっという間に流れを取り戻す。

 後半開始直後に川森を止めようとした相手CBが退場したことで訪れた数的優位は、生かすことができなかった。それでも後半17分にCB宗近慧主将が2枚目の警告で退場した直後から「宗近のために」と火のついた強力攻撃陣が真価を発揮する。
 20分、川森が相手のお株を奪う見事な個人技で右サイドのゴールライン際でDFを剥がす。そして送られた折り返しを砂川が右足で叩き込むと、もう止まらなかった。24分にはDFの背後へのパスから砂川が“したたかな”ドリブルで相手のファウルを誘いPKを獲得する。これを砂川が自ら決めると32分には静学が自陣で致命的なミス。これを奪った砂川が「2点目を取れば3点目も取れると思っていた」と豪快な右足シュートでゴールへ突き刺す。怒涛の逆転劇が完結した瞬間、跪いてガッツポーズした森山監督や広島ユースイレブンは喜びを爆発した。

 結局、DF脇本晃成の身体を張った好守などで静岡学園に3点目を許さなかった広島ユースは、試合終了間際にMF岡本洵がダメ押しゴールを決めて4-2で勝利。07年以来3年ぶりとなる決勝進出を果たした。04年以来6年ぶりの優勝をかけた決勝の対戦相手はF東京U-18。相手は6試合でわずか1失点の堅守を誇るが、リードされても問題ない。1試合平均4得点の爆発力で今度はF東京U-18ゴールに穴を開ける。

(取材・文 吉田太郎)

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