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[プレミアリーグイースト]「Jユースキラー」三菱養和、首位・札幌U-18から勝ち点1もぎ取る

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イースト
[5.7 高円宮杯プレミアリーグイースト第5節 三菱養和SCユース1-1札幌U-18 三菱養和会調布G]

 高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグイーストは7日、第5節の三菱養和SCユース(東京)対コンサドーレ札幌U-18(北海道)戦を行い、1-1で引き分けた。三菱養和は1勝2分1敗で暫定4位。3勝2分とした札幌は同じく暫定ながら今節も首位を守った。

 昨年の全日本ユース(U-18)選手権で名古屋グランパスU18、アビスパ福岡U-18、ヴィッセル神戸U-18、そして清水エスパルスユースとJクラブユース勢を4タテした三菱養和が今年もJユース勢への強さを発揮している。前節は主力不在の清水ユースに4-1で完勝すると、今節は首位の札幌相手にゴール前に釘付けにされる時間があったものの、1-1の引き分けに持ち込んだ。

 この日はエースのU-18日本代表FW田鍋陵太が右股関節痛から練習に復帰したばかりのため不在。一方対戦した首位・札幌は四方田修平監督が「(今年は)どことやっても互角に、そして主導権握る試合ができる」と手ごたえを口にするように攻守ともに強力なチームだ。すでにトップチームに帯同しているU-18代表候補MF荒野拓馬とU-17代表MF堀米悠斗のダブルボランチを中心にU-18代表の左MF榊翔太と右のU-17代表候補MF神田夢実らが厚みのある攻撃を繰り出してくる。特に馬力ある動きで右サイドを上下動するU-18代表候補の右SB小山内貴哉と左右両足からの正確なキックを持ち味とする左SB前貴之の攻撃参加は破壊力十分。守備面でもU-18代表候補CB奈良竜樹が制空権を完全に制圧していた。

 開始4分には榊が右中間から放った左足FKがゴールを捉える。15分には前からの縦パスを受けたFW下田康太が左足シュートに持ち込み、25分には前の左アーリークロスをFW鈴木貴大がつま先で合わせる。そして下田の左足シュートがクロスバーを叩く場面もあった。だが三菱養和は10年U-16代表候補GK永井堅梧が好守を連発。またゲーム主将のCB冨田将司が「コンサドーレはつなぎが武器。声を掛け合って、よりコンパクトにして間にボールを通させないようにした」と振り返ったように、決定機こそ数度つくられたものの、多くの時間で相手の攻撃の脅威を消していた。

 そして三菱養和は得点ランキング首位タイのスーパー1年生、FW木村陸人がまたもや結果を残す。35分、三菱養和は右サイドから展開してMF佐々木巧が左サイドを駆け上がったSB安藤裕麻へパス。安藤が左足で丁寧に上げたクロスが相手GK、DFの頭上を超えると、中央から大外にポジションを移した木村が打点の高いヘディングシュートを叩き込んだ。1年生FWの3試合連続ゴール。また三菱養和は好守から意図的なコースへのクリアに前線の選手が走りこむなど強豪に対抗する。だが後半6分、PA付近で相手にボールを動かされ、最後は下田のパスを受けた鈴木に左足で同点ゴールをねじ込まれた。

 後半のシュート数は0-9。運動量が落ちた三菱養和は完全に圧倒された。その中で生方修司監督が「個の部分で札幌さんとは差が出る。あまり下がらずにプレッシャーをかけていこう」と中央の守りを10番MF川崎圭亮にケアさせて両SBに高い位置を取らせる。それでも攻撃力で上回る札幌は23分に神田がPAで仕掛けてポスト直撃の左足シュート。前や神田の左クロスが最終ラインとGKとの間を通過する場面が何度もあった。そして試合終盤には荒野や榊が強引にシュートへと持ち込む。ただ荒野が「みんな絶対に取ろう、とやっていた。でも決められないのが課題」と首を振り、榊が「鈴木が決めてくれたことで流れに乗れた。最後まで自分たちの流れだったのに決められなかった」と悔しがったように、札幌はシュートの正確性を欠くなど、勝ち越しゴールを奪うことができなかった。

 最後まで安定した戦いでJユース勢、そして首位である札幌から勝ち点1をもぎ取った三菱養和は3戦負けなし。これにはきっかけがあった。流通経済大柏高との初戦は0-3で完敗し、静岡学園高との第2戦では「これでもか」というくらい一方的に攻められた。昨年、一昨年といずれも全日本ユース選手権でベスト4へ進出している三菱養和だが、冨田はこの2試合を境にメンバーたちの危機感が高まったという。「練習に取り組む姿勢が変わったし、人にいくスピード、寄せも段々上がっている。(プレミアリーグは)守備から意識的にやらないと、勝てないリーグ。自覚もってここまでできている」とチームが「変わった」理由を説明してくれた。

 守備の意識を高め、徹底したチームはこれで今大会の対Jユース勢戦を1勝1分にした。冨田は「先輩たちが築きあげてくれたものを自分たちの代で崩したくない」。4本に終わったシュート数について生方監督は「納得できる数字ではないです」と評したように、攻撃面で積み上げていくことはまだまだたくさんある。だが堅守と安定感で「今年もJユース勢相手に戦える」ことを示した納得の90分間だった。

(取材・文 吉田太郎)
特設:2011 プレミアリーグ

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