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“仮想・欧州”早稲田大から菊池がゴール!日本高校選抜は敗戦も攻守に手ごたえ

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[3.29 練習試合 日本高校選抜1-3早稲田大]

 4月5日から第72回ベリンツォーナ国際ユースサッカー大会(スイス)に出場する日本高校選抜が29日、千葉県内で早稲田大と練習試合(30分3本)を行い、1-3で敗れた。だが、“仮想・欧州”だった大学サッカー界の名門を時間が経過するにつれて抑え込んでいくなど、まずまずの内容で遠征前最終戦を終了。高校選抜は31日に渡欧し、ベリンツォーナ国際ユースサッカー大会のグループリーグではFCノアシェラン(デンマーク)、チーム・ティチーノ(スイス)、コリンチャンス(ブラジル)と戦う。

「どうすれば負けないか。勝ち点を取るためには、ディフェンスの意識をより持ってゼロに抑えればいい。ディフェンスをきちっとしていれば負けることはない」。山下正人監督(駒場高教)は大会を勝ち抜くために守備力の向上の必要性を説明していたが、U-18Jリーグ選抜戦(3月3日)を0-3、静岡県高校選抜戦(3月11日)を3-4で落としていた日本高校選抜は練習試合が行われた29日の午前中にディフェンスのやり方を徹底。ボールを追ってしまって自分のポジションに走り込んでくる選手を見逃してしまうような課題を修正し、守備意識を高めて臨んだ一戦では過去2試合で欠けていた闘争心が高まり、球際での厳しさも見られた。

 FW和泉竜司(市立船橋→明治大)、MF磐瀬剛(市立船橋・新2年)がともに左膝の負傷のために欠場。その中で始まった試合で高校選抜はいきなり先制点を献上してしまう。1本目3分、右サイドを早稲田大FW秋岡活哉(新2年=F東京U-18)に切れ込まれると、その折り返しをMF近藤洋史(新2年=名古屋U18)に押し込まれた。早大はその後もMF島田譲(新4年=鹿島ユース)と野村良平(新4年=流通経済大柏高)の両ボランチが絶妙なタイミングで縦パス。これに秋岡、FW榎本大希(新3年=横浜FMユース)のスピードある2トップが走り込み、決定機を連発した。

 13分に秋岡、15分には榎本がGKと1対1に。高校選抜はGK山田修平(山梨学院→青山学院大)のビッグセーブによって何とか失点を逃れたが、チャンスらしいチャンスはFW浅野拓磨(四日市中央工・新3年)の絶妙なスイッチからFW田村翔太(四日市中央工・新3年)がGKの頭上を狙ったシュート1本だけだった。それでも徐々に相手のスピードに対応した守備陣は新井一耀(清水商→順天堂大)と久保飛翔(済美→慶應義塾大)の両CBや左SB帷智行(市立西宮→高知大)が危険を的確に潰し、中盤の素早い戻りも手伝って前半半ば以降は決定機を作らせなかった。

 この日は全体的に立ち上がりの出来が悪く、2本目も4分に近藤洋とのワンツーから榎本に右足で決められて0-2。だが、ポゼッションにこだわることなく、シンプルにFWへボールを付け出した高校選抜はボランチや2列目の選手が前線へ飛び出して早大の守備ブロックにわずかなズレを生み出す。9分、新井のフィードを長い距離を走ってPAへ飛び込んだMF差波優人(青森山田→明治大)が胸で背後へ落とすと、ボールを受けたMF後藤寛太(市立西宮→C大阪)がシュート。その直後、右中間でボールを奪うと再び新井のくさびを今度は後藤がゴールを背にして胸で落とす。これをフリーで受けたFW菊池将太(浦和東→駒澤大)が左足シュートをゴール右隅へねじ込んだ。
 
 15分には右サイドを崩されて左SB三竿雄斗(新3年→東京Vユース)のラストパスを島田にゴールへと沈められて1-3。関東A選抜のCB畑尾大翔(新4年=F東京U-18)ら主力中心の早大の速さに3ゴールを許した。それでも16分、MF國吉祐介(四日市中央工→大阪体育大)のスルーパスで抜け出した菊池がPAから飛び出してきたGKの手にシュートを当て、レッドカードを提示させる(両チーム申し合わせにより人数は11人対11人のまま。この後高校選抜も退場者を出したが人数は11人のままで続行)。

 そして相手がメンバーを大きく代えた3本目にはショートパスで相手を崩し、高校選手権得点王の浅野が抜群のスピードで左サイドをえぐるなど決定機を連発。8分には國吉の左CKがクロスバーを叩き、11分には中盤でのインターセプトから國吉が決定的な右足シュートを放つ。この後も大ピンチをGK積田景介(市立船橋→駒澤大)の好守に救われたチームは26分にPA付近でインターセプトしたFW宮市剛(中京大中京・新2年)が決定的な右足シュート。28分には國吉のスルーパスで抜け出した宮市がGKをかわした。最後のシュート精度を欠いたチームは追撃することができなかったが、次につながる内容だった。

 國吉は「早稲田は強くて、いいタイミングとかでボールが入ってきたので、いいシチュエーションでできたと思う。守備の部分で修正しないと、ヨーロッパでつらくなるので修正したい」。直前合宿を行うドイツでは攻撃面でどうサイドチェンジしていくかなどをテーマに最終調整する模様。日本の“部活の代表”が短い期間で連係を高めて欧州でインパクトある戦いを見せる。

[写真]日本高校選抜・國吉(左)が球際で奮闘
(取材・文 吉田太郎)

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