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ロスタイム弾も危機感を募らせるF東京 FW渡邊「結果がほしかった」

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[8.8 ナ杯準々決勝第2戦 F東京2-0仙台 味スタ]

 後半も39分を過ぎた頃、ようやくFC東京のFW渡邉千真は、味の素スタジアムのピッチに立った。これまでリーグ戦では途中からの出場となることはあっても、AFCチャンピオンズリーグを含め、カップ戦ではスタメン出場を続けてきていた。しかし、第1戦で得点を挙げていたにも関わらず、この試合でスタメンに起用されたのは新加入のFWエジミウソンだった。

「ローテーションとかではなく、普通に外されたんだと思います。だから、なおさら結果が欲しかった」と渡邉は振り返る。

 短い出場時間でも、何とか結果を出したい。後半ロスタイムに入った直後、そんな渡邉に最初のチャンスが訪れる。MF長谷川アーリアジャスールからのパスが送られた。しかし、そのボールにわずかに届かなず、相手のDFがボールを処理した。その瞬間、ベンチにいたランコ・ポポヴィッチ監督は鬼と化していた。おそらく、トラップできなかったことに対してではなく、切り替えが遅れたことに怒っていたのだろう。その気迫に怖気づいても不思議ではなかったが、渡邉はすぐに気持ちを切り替えたという。

「怒っていましたね…。メンタルやられましたけど、メンタルは鍛えられているので、すぐに切り替えました」

 あきらめなかった男に、再びチャンスが訪れる。ロスタイム3分、この日、素晴らしい縦パスを何本も通していたMF米本拓司からのパスが渡邉に通る。ドリブルを仕掛けた渡邉は、飛び出してきたGK林卓人をかわすと、難しい角度から、しっかりとゴールネットを揺らして見せた。

「GKが出てきて、ボールを出した方に自分が行ったら、止められるかなと思って。早めにボールを触って、自分は左から入って。角度はなかったですけど、しっかりと流し込むことができました」

 後半ロスタイムのカウンターでのゴール。神戸戦で挙げた移籍後、初ゴールと共通点は多い。しかし、『終了間際に強い男』と呼ばれることは「嬉しくない」とキッパリ。スタメン出場への強い、こだわりを見せた。そして「僕は(途中出場だったので)明日も練習があるので、また次に向けてアピールします」と話し、ミックスゾーンを後にした。

(取材・文 河合拓)

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