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[MOM121]高知大FW福本圭(2年)_"未体験"の全国で王者撃破弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.23 全日本大学選手権準々決勝 明治大0-2高知大 西が丘]

 落ち着いていた。冷静に状況を見極め、正確なボールタッチでゴールネットを揺らす。高知大のFW福本圭(2年)が王者を沈めた。前半17分、MF西山巧真(3年)の左FKのセカンドボールに反応。ゴールを飛び出し、目の前に迫るGKの動きを見逃さず、左足でボールを浮かした。

 「DFと競ったこぼれ球が上手く自分のところに来て、押し込むだけだった。GKが来ていたので、上を狙った」。ループ気味の左足ボレー。前回王者・明治大を慌てさせるには十分な一発だった。

 備前緑陽高出身の2年生ながら2トップの一角を任させる福本だが、先発に定着したのは10月30日の四国リーグ最終節からだという。「(1回戦の)鹿屋体育大戦が全国大会の初先発でした。こんな大舞台で点が取れて、信じられなかった」。飛び跳ねて喜び、バックスタンド方向へ猛ダッシュ。チームメイトにもみちゃくにされながらも表情には笑みが広がった。

 4チームが2回戦総当たりのリーグ戦を行う四国リーグは5勝1分で17連覇を達成。地区に対等な力量を持つライバルはなく、国立大のため“武者修行”の遠征もままならない。春に関西遠征は行うが、夏は地元の宿毛(すくも)で合宿を行うだけ。朝・夕の2部練習の合間には地元の小学生、中学生、高校生を招いてサッカー教室を開くなど、強化というよりも地域との交流を大事にするのが高知大の伝統だ。

 「(四国リーグでは)モチベーションを高めて試合に臨むのは難しい」というのは本音だろう。全国レベルの相手と試合ができるのは、全国大会に出場したときだけ。それでも今夏の総理大臣杯でも、優勝した駒澤大に準々決勝で0-1の惜敗。この日も「試合前は前回優勝の明治大ということで『失うものは何もないから全力でいこう』と話していたけど、始まってみたら『やれるな』というのを感じていた」と言う。

 高知大の関係者だけでなく、高知県、さらには四国中の人々が四国勢初Vを期待している。「この波に乗って、初の全国制覇まで行きたい。いつも通り高知大のサッカーをすれば優勝できると思う」。まずは26日の準決勝・中京大戦。王者を下した高知大が“台風の目”から大会の優勝候補へと上り詰めた。

[写真]決勝点の高知大FW福本圭が試合後、スタンドの観客とハイタッチ

(取材・文 西山紘平)

第59回大学選手権特集
連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ

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