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[MOM133]順天堂大FW原田開(2年)_苦難の1年乗り越え元Jリーガーが復活弾!

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.14 関東大学1部第3節 明治大0-2順天堂大 夢の島]

 ゴールを確認した背番号11は右手を突き上げてベンチ方向へ走り出すと、その後ゆっくりとチームメートの輪の中へ吸い込まれていった。「1年ぶりのトップ戦のゴールなんで、自分としてはやっぱ抑えられない気持ちがあった。『1年間頑張ってよかったな』という感じがしました」。

 1年間苦しんできた元Jリーガーが完全復活を印象付けた。1-0の後半33分、交代出場のFW齋藤尚治(1年=栃木ユース)が獲得したPKを交代出場のFW原田開(2年=磐田ユース、前・湘南ベルマーレ)が右足で渾身の一撃をゴールへと叩き込む。2-0で王者・明治大を撃破。自らの復活弾で勝利を決めた原田は試合後清清しい表情を見せていた。

 昨年、2年間のプロ生活に一旦区切りをつけて順大に入学した原田は、スピード溢れる突破と頭脳的なプレーで入学直後からチームの主力となっていた。だが、オーバートレーニング症候群により戦線離脱。後期リーグは全試合欠場を強いられた。練習にも参加することができず、ピッチの外からチームメートを応援するだけの日々。「みんなが頑張っているのに、『オレ、今何してるんだろう』って。外でスタンドで叫んでいるだけで本当にいいのかな。そういう思いが結構あって、『サッカーしたい』というよりも『何してるんだろう』と」。だが今年4月に復帰した原田は、開幕戦から長期離脱を感じさせない動きでチームの活力剤となると後半13分から出場したこの日、大仕事をしてのけた。

 0-0の後半31分、順天堂大はPAへのラストパスに反応した原田は快足を活かしてGKからのファウルを誘う。「自分がまだフルで出れない分、どこでチームに貢献するかというと流れを変えるところ。少ない時間で自分が出たときにどう流れを変えるか、といつも考えながらプレーしている。きょうはその分では貢献できたかなと思う。(PKの場面は)ボールが若干流れてしまったんで、GKよりも先にボール触ることしか考えていなくて、触ったら(GKが)うまくきてくれた」。「PKキッカー決めじゃんけん」はMF市原秀篤(4年=千葉U-18)に敗れ、キッカーの座を譲ったが、任された2度目のPKのチャンスは「何も考えていなかったですね。思い切り打ったれと思って。うまい具合に入ってくれた」と右足で復活ゴールを決めた。

 約1年ぶりのゴールは再びJリーガーを目指す原田にとって第一歩。まずは、昨年できなかったチームへの貢献を果たすことから再スタートする。

(取材・文 吉田太郎)
連載:大学マン・オブ・ザ・マッチ
大学サッカー特設:関東1部

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