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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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“通信販売”じゃスターはつくりにくい
by セルジオ越後

 海外組もワールドカップ惨敗後の新シーズンが始まろうとしている。まだプレミアやイタリアはプレシーズンで大物の移籍が動いたりする時期。日本人の選手たちは結果を出していければいい。

 レギュラーが全く確約されていない香川や本田が試合でアピールしたりして、少しでもチャンスを掴もうとしている。その中で日本の報道は全く変わっていないね。途中交代で出た香川がアシストしたと言って、まるでチームで一番活躍しているような報道も見られるけど、点を取ったフェルナンデスの方がアピールに成功しているだろう。

 日本人のファンはまだ、そういう報道でつくられたスターが世界で活躍したような錯覚に陥ってしまう。シュートを打っただけで「活躍した」とか無理なニュースつくったりするのではなく、控えであることやチーム内でどれくらい厳しい状況であるかを正確に報道しなければいけないよ。いくら日本人選手が凄いように報じても、それが日本だけのスターであることはワールドカップが教えてくれたのだから。ワールドカップでメディアは何を覚えたのか。ワールドカップが終わって1か月もしないうちに、また真実を隠して報じて錯覚させるのか。

 スターが欲しいのであれば、日本は新しい監督の下でAKBをつくったらいい。でも、このスポーツは人気では勝てない。メディアは日本が強いように見せて、惨敗させてしまった。空白の4年はもう戻ってこないよ。サッカー協会も興行に行き過ぎて選手をつくることを忘れてしまった。オリンピック代表なんて全くニュースにならない。ボクは興行と実力が一致すれば日本は強くなると思っている。あれだけCMに出まくって結果を出せなかったら、未熟だったら、『またやろう』となるのが本来の姿。でも本当の実力がないのに、スターのように扱われて、選手、メディアが優勝すると勘違いしているのでは強くなれないよ。

 昨シーズン、欧州組では岡崎や長友は活躍したと思っている。でも彼らはワールドカップではボロボロになっていた。逆にシーズン中“クールダウン”していた香川、本田は体力的にもモチベーションの面でもチャンスだったのに、結果を残せなかった。あれが実力だ。日本のメディアは実力で評価せずに本田や香川のように分かりやすいスターを欲しがる。でも“通信販売”じゃスターはつくりにくいよ。ACLの出場権も、ワールドカップの出場権も2枠になれば日本は変わる。メディアを筆頭に甘い環境の中ではいつまで経っても変わらないよ。

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