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「相手の表情を見ると…」冷静だった浦和GK西川周作、“因縁”PKで2本ストップの大仕事

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浦和レッズGK西川周作

[8.25 ACL準決勝 浦和 2-2(PK3-1) 全北現代 埼玉]

 聖地・埼玉スタジアム2002の大応援団がもたらす相手キッカーへのプレッシャーを背負い、浦和レッズGK西川周作がアジアファイナルへの切符を掴み取った。かつてACLではPK戦で1本も止められずに敗れた経験を持つ守護神。今季から着任したジョアン・ミレッGKコーチのもと成長した姿を準決勝の大一番でも見せつけた。

 FWキャスパー・ユンカーの劇的なゴールで追いつき迎えたPK戦、西川は1本目のMFキム・ボギョン、2本目のMFイ・スンギのキックを立て続けにストップした。「試合の流れの中のPKも読みが当たっていたし、落ち着いてゴールマウスの前に立つことができた。PKに関しては練習からジョアンがいいアドバイスをしてくれていたので、それをやるだけだなと」。具体的な内容は「説明するのが難しい。秘密」と笑顔でかわしたが、地道なトレーニングが落ち着きをもたらしていたという。

「一つ言えるのは向こうが決めないといけない状況がPK戦なので、メンタル的にいかに落ち着いてできるかが鍵。遅れてでも最初まずそっちのほうに飛ぶとか、5本ある中で持って行き方を落ち着いてやろうと思っていた。じっくりと地に足をつけて相手を見ることができたと思う」。

 そう振り返った主将は「解決策があることでメンタル的に落ち着いてやることができた」と回顧。「相手の表情を見ると相手のほうが決めないといけないとプレッシャーがあった。一本止めれば必ず勝てると信じていた」と駆け引きへの余裕も見せ、「僕の後ろには浦和のファン・サポーターの方がプレッシャーをかけてくれていたので一緒に止められた」とサポーターへの感謝を語った。

 ACLでのPK戦は2016年の決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)・FCソウル戦以来6年ぶり。当時、西川はキーパーとしては1本も止められず、キッカーとしても勝てば勝利という出番を志願し、外していた悔しい因縁があった。

 しかし、もはや苦手のPKではない。「韓国勢に対して日本のチームが勝てていないのを感じていたし、そこを浦和レッズが変えていかないといけない、変えるチャンスだなと思っていた。埼玉スタジアムで勝つ雰囲気を出してくれたファン・サポーターの方に感謝しつつ、1-2になっても諦めなかったみんなに感謝しつつ、最後はみんなで喜べたのが全て」。韓国勢に燃えていた笑顔の守護神が大仕事を成し遂げた。

(取材・文 竹内達也)
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