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問題は走りの“質”…ザック「走量では相手を上回っている」

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 ベースキャンプ地のイトゥで21日午後(日本時間22日未明)に予定されていた日本代表の練習が急きょ中止となった。練習後に予定されていた選手の取材対応もキャンセル。代わってアルベルト・ザッケローニ監督が報道陣の取材に応じた。

 これまでの2試合、自分たちのサッカーをピッチ上で表現できていない日本。19日のギリシャ戦(0-0)後は「スピードがなかった」と繰り返した指揮官は、その要因としてフィジカルの問題は否定した。

「フィジカルの問題はまったくなくて、よく走っている。ただ、キレという部分では別の話。走量では相手チームを上回っている。走れない状態ではない。フィジカルの問題ではないと思っている」

 ザッケローニ監督の言葉は、ある意味では当たっている。コートジボワール戦での日本選手の総走行距離は約108kmで、一人あたりの平均は9.31km。コートジボワールは総走行距離が約97kmで、平均は8.42km。ギリシャ戦は日本の総走行距離が約102kmで、平均8.86km。コートジボワールは総走行距離が約95km、平均8.07km。いずれも数値は日本が上回っている。

 しかし、コートジボワール戦は相手にボールを回され、守備で“走らされていた”時間帯がほとんどだった。ギリシャ戦は前半38分に相手が退場者を出し、完全に引いて守っていた。単純な走行距離で上回ったからと言って、手放しで喜んではいられない。指揮官自ら「キレは別の話」と認めるように、問題は走りの“質”だ。

「ただ走れていればいいということではない。クォリティーが伴い、いい走りができなければいけないのはよく分かっている。そういう意味で言い訳はしないが、キレがない理由はフィジカルの問題だけでなく、他の要素も入ってくる」

 ベースキャンプ地の選定に問題はなかったのか。報道陣からはそんな質問も飛んだ。イトゥは気候も涼しく、快適な環境だが、コートジボワール戦、ギリシャ戦が行われたレシフェ、ナタルは高温多湿で蒸し暑い。寒暖の差は激しく、移動距離もチャーター機で2000km以上の長距離移動を余儀なくされた。

「チーム全体で考えたうえで、暑熱対策は指宿と(米フロリダ州の)クリアウォーターでやってきた。ここではきっちり練習に取り組む環境が必要だと考えた。ここで休んで、次に備えることが大事だと思って決断した」

 あらためてイトゥを拠点に選んだ理由を説明した指揮官は、一方で「(組み合わせ)抽選より前に決めないといけないというハンデもあった」と認める。「ただ、言い訳にはしたくない。気候を言い訳にするつもりもない。結果が付いてこないと問題は山ほど出てくるが、その理由を見極めて、絞って、対応したい」と話すにとどまった。

(取材・文 西山紘平)

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