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[プレミアリーグEAST]「日本のフットボールをより良く知るため」ハリルホジッチ監督が開幕戦を視察、評価と苦言も

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 4月11日、日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が味の素スタジアム西競技場を訪れた。目的はU-18年代の最高峰リーグ戦である高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦の視察である。A代表監督が育成年代のリーグ戦を視察するという異例の出来事を受けて、現場には多くの報道陣が詰め掛けた。

「若い年代の日本の子たちがどのようなプレーをするのか、日本のフットボールがどのように発展したのかを観たかったし、日本のフットボールをより良く知るために来ました。長所と短所を知るために来たということです。私はフットボールのエリート集団であるA代表を指導していますが、その選手たちが若いころにどのように育ってきたかを知り、比較するために来ました」

 ハリルホジッチ監督は視察の意図をそんな言葉で説明する。課題があるなら、その原因は育成年代にあるという発想があるのだろう。選手のサッカー観がどのように形成されたのかを知るためにも、育成年代のサッカーを観るのは確かに有効だ。

 そんな日本の指揮官が観たのはJFAアカデミー福島U18清水エスパルスユースの一戦。3-1で清水ユースの快勝に終わったゲームを受けて、「本当にやる気と情熱を持ってプレーしていたと思います」とコメント。その上で「黄色いチーム(清水ユース)のほうに良い選手がいました。1年後か2年後にプロの準備を始めなければいけない良い選手が何人かいたと思います」と、清水ユースに気になった選手がいたことを明かした。もっとも、「向上するためにもっとトレーニングしてほしいですし、プロのリーグで戦うとなれば、もっとやる必要がある」という苦言とワンセットでの評価である。そして、この苦言はより幅広い範囲にも及んだ。

「私は真実を常に言うようにしていますが、いま日本のフットボールは少しデリケートな状態になっています。ワールドカップの後もそうですし、アジアカップのあともそうでした。AFCチャンピオンズリーグも観ましたけれど、4チームがグループリーグを戦っていますが、ほとんどのチームが敗退してしまうのではないかという状況です」と、日本サッカー界の現況を総括。その上で「日本の状況が良くないのは確かで、そのためにちょっと目覚めなければいけない」と明言し、「私が最初に取り組むのはA代表ですが、A代表だけではなくてベースとなる仕事のところがものすごく大きいと思っています。すべてのカテゴリーのところで向上しなければいけない」と熱弁は続き、話はさらにユース年代の日本代表にも及んだ。

「各年代別日本代表についても、これはまだ話を聞いただけですが、良い成功を収めていない状況だと思います。そのことを批判するのは簡単なんですけれど、一緒に働いているのですから、どんなトレーニングをしないといけないかをディスカッションしていかないといけないと思っています。(日本人選手に)能力はあると思っていますし、テクニックもあると思います。ただ、フィジカルとタクティクスを向上させていかないといけません。メンタルもそうです。やる気やプレッシャーが、もっと必要です。そうすれば恐らく成功すると思います」

「もっと良いフットボールができると思っています」と語る日本の指揮官は、最後までひたすら熱かった。

(取材・文 川端暁彦)
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