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W杯予選メンバー発表、ハリルホジッチ監督会見要旨

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 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は27日、都内で記者会見を行い、9月3日のW杯アジア2次予選・カンボジア戦(埼玉)、8日の同アフガニスタン戦(イラン)に臨む日本代表メンバー23人を発表した。
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以下、ハリルホジッチ監督の会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「(カンボジア戦は)今年、日本での最後の試合になる。その後、アウェーの試合が5試合あるが、日本での試合を美しく終わりたいと思う。シンガポール戦もそうだったが、観客のみなさんから日本代表が愛されているとあらためて思ったし、今回の試合にも前回と同じようにたくさんの人が詰めかけてくれることを期待している。このチームには全員のサポートが必要だ。選手のみんなで効果的な試合を見せたい。みなさんの期待に応えて勝利に導きたいと思っている。そして、アウェーでの試合に向けて、しっかりとした準備にもつなげていきたい。

 今からリストを発表する。今回の合宿では3人のキーパーを選んだ。Jリーグでプレーしている3人だ。西川、東口、六反。今回初めて川島(永嗣)がグループに入っていない。残念ながら彼はまだ自分のクラブを探すことができていない。長い期間、見つけていない。おそらくもう少ししたら、あるクラブに決まると思うが、ここ4、5年ずっと日本代表の先発メンバーでありながら、クラブを見つけられないのは少し驚きでもある。彼がしっかりプレーできて、なおかつ良いクラブを見つけられることを期待している。

 彼に取って代わる選手はなかなかいないが、この3人は国内でしっかりパフォーマンスを見せているので、このリストに入ってきてまったく問題ない選手たちだ。彼らにはチャンスをつかんでほしいと思っている。自分に自信を持ってやってほしい。確かに経験は少ないかもしれないが、代表の試合は自信を持って戦わないと難しいものになる。テクニカルスタッフでカバーしながら、合宿で良い準備をして入れるようにサポートしていきたい。何人かのテクニカルスタッフは西川のトレーニングにも視察に行っている。偶然(アクシデント)がないようにしっかり準備したい。

 川島に関しては、できるだけ早くクラブを見つけてほしいと思っている。フランス(のクラブへの移籍)もしっかりサポートしたいと思って、そういうこともやっていたが、ポジティブなレスポンスがなかった。川島はしっかりしたクオリティーを持っているので、どこかクラブを見つけられると思っている。

 この3人は中国でも一緒にいたが、西川と東口は向こうでプレーした。クオリティーもしっかり見せてくれた。少し経験は少ないと思うが、このようにしてどんどん経験を積んでいってほしい。ここ5年、川島が先発で出ていたので、他の選手がほとんどプレーできていない状況だった。この状況では、心理面の準備がかなり必要になってくると思う。いろんな予想をして、テクニカルスタッフにいろんなクラブに行ってもらって、いろんな関係者とディスカッションを重ねてもらっている。

 DFに行く。吉田は定期的に試合を重ねている選手だ。テクニカルスタッフが向こう(イングランド)を訪れて、吉田、岡崎と話をしてくれた。吉田に関しては、経験もあるし、成熟している選手なので、このチームにかなりいろんなものをもたらしてくれると思う。

 丹羽はいろんなポジションでプレーできる。そして素晴らしいメンタルを持った選手だ。本当に闘う選手だと思う。ここに来る資格があると思う。槙野も同様だ。A代表にふさわしい選手にだんだんなってきた。向上していると思う。いろんなところでまだ向上できると思うが、日を追うごとにディフェンスも丁寧になってきている。今までは無駄なファウルをして私を少し怒らせたこともあったが、トレーニングを重ね、いろんなところで向上してきた。オフェンス面のFKでも彼が重要な存在になってほしいと思う。シンガポール戦でも彼のおかげでビッグチャンスをつくった。残念ながらそれは入らなかったが、槙野に関しては人間性も良くて、チームに良い雰囲気をもたらせてくれる。そしてまだまだ成長する選手だと思う。

 森重は中国ではキャプテンをしてもらって、たくさんの話をした。彼もまだ伸びると思う。よく話を聞いてくれるし、経験がある。チームに安定感を与えてくれる選手だと思う。今、一番良い時期に来ているのではないかと思う。

 右サイドバックだ。(酒井)宏樹と(酒井)高徳。彼らは海外でプレーしているが、宏樹のほうはようやくプレーし始めた。彼はものすごいポテンシャルがあって、かなり向上することを期待している。特にフィジカル面でのポテンシャルは高い。それをしっかり使ってほしい。

 高徳に関しては少し難しい状況だ。クラブを変えて、まだプレーしていない。まだまだやらないといけないこともある。ただ、信頼している。国内で彼に代わる選手を見つけていないので、彼を呼んでいる。ただ、(所属クラブで)先発メンバーに入ってほしいと思っている。ディシプリン(規律)があって、トレーニングもまじめにやってくれる選手だ。定期的に90分プレーしていないとしても信頼している。ただ、彼に言っておきたいのは、もし彼より良いパフォーマンスの選手を見つければ、これは全員に言えることだが、ポジションを失うことになる。

 長友もインテルではまだ先発に入り切れていない状況だ。クラブを変えたいと言っているが、まだそれが実現していない。クラブが変わるかどうかも分からない。彼はビッグクラブで有名な選手とプレーしているので、フィジカル的にもトップだし、天性のものもある。彼も経験はたくさんあるので、今回呼んだが、彼も高徳と一緒で(所属クラブで)先発に入ってほしい。それを今度しっかり話したいと思う。

 米倉。新しい選手だが、左サイドバックの候補だ。昨日の夜はプレーしていなかったが、東アジア杯で見せてくれたパフォーマンスによって彼を選んだ。藤春と競争していたが、藤春は今、少し疲れている。太田も競争していたが、ケガをしてしまった。米倉は闘う意識、フィジカル、そして中国の試合では彼が攻撃でかなりのものをもたらしてくれた。得点にも絡んだ。トレーニングでも闘っているところを見た。特にデュエルのところでかなり強かった。

 国内の選手に言っておきたいのは、こういうことが起きるということだ。いい試合をすれば、A代表に入れるというメッセージだ。ここのリストに入り込んだので、彼は合宿に参加する。ガンバでも定期的に試合に出てもらって、代表に定着してほしいと思っている。左利きが欲しいが、なかなか左利きがいないという状況もある。藤春よりも少し彼のほうが今のところ勝っている。太田は残念ながらケガをしている。A代表としての初めての合宿になると思うが、私の口から言いたいメッセージは、米倉のようなことが起きるということ。これからも毎試合、Jリーグは分析するし、良い選手だと思えば、この合宿に呼ぶ。

 次に中盤に行く。長谷部はキャプテンのような存在で、リーダーのような存在でもある。クラブでは右サイドバックをやっているが、中盤をやることもあるし、彼は常にハイレベルなパフォーマンスを保ち続けられる選手。彼のような存在が代表には必要だ。経験もある。彼にはかなり期待している。彼に要求しているのは、時々ミドルシュートを打ちにいきなさいということ。『目をつぶってでもシュートしにいきなさい』と。『そうすれば1点入るかもしれない』という話はしている。彼とはそういう冗談っぽい話もした。本当に素晴らしい選手。我々の合宿では常に丁寧に集中してやってくれる。

 山口は東アジア杯で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。彼もかなりのクオリティーがあるので、もっと伸びると思う。守備のところで中盤のいかなるところにも行ってしまうことがあるが、頑張り屋さんなのでしょうがないところもある。そこは中盤の選手にしっかり指導していきたいと思う。攻撃面では『もっとシュートを打ちにいきなさい』と話している。彼は話を聞いてくれて、東アジア杯では点を取ってくれた。(カンボジア戦は)シンガポール戦のような状況にもなると思うので、25m、30mのシュートが必要になってくる。この合宿でもミドルシュートを強調していきたいと思っている。

 遠藤も新しい選手だが、長い期間、追跡している。クラブではセンターバックのようなところでプレーしているが、彼は中盤の選手だと思う。フィジカル的にも強いし、良いシュートも持っている。そして運動量もある。デュエルのところも強い。右サイドバックとしてプレーする可能性もある。もっともっと野心を持ってほしい。小さいことで満足するときがあるので、まだ若いし、もっともっと野心を持ってプレーしなさいと言いたい。ディフェンス面でもオフェンス面でもそういうところを強調したい。

 今の3人が少し守備的な中盤。攻撃面に行く。柴崎。前回(東アジア杯)は少しケガもあってトップパフォーマンスに行くのが難しかったが、彼も伸びている選手だと思う。ディフェンスのところでもアグレッシブになってきたし、オフェンス面でもボール奪取でも良いプレーをする。彼にも『もう少しシュートを打ちなさい』と言いたい。

 原口はクラブでは左もしくは右でプレーしている。中盤の外でプレーしているが、彼は中盤の(真ん中の)選手だと思っている。ディシプリンがあり、攻撃面、守備面でもかなりの運動量がある。ドイツでもしっかり学んでいるし、ミドルシュートも打てる選手だ。ペナルティーエリア内に入っていく存在感もある。ドリブルしてシュートも打っていく選手だ。そして、ハイプレスもかけられる。いろんなポジションでプレーさせてみたいと思う。我々の中でしっかりレベルを上げていってほしいと思う選手の一人だ。

 香川だが、昨年よりも良い状態になってきていると思う。得点も取り始めているし、得点を取らせることもできる。彼に要求したいのは“もっと決断を持ってやっていいよ”ということ。特にオフェンス面では、最後のフィニッシュのところで彼がキーとなると思う。我々がスピードアップするかどうかは彼に懸かっている。(対戦相手の)背後、またはラインの間でしっかりボールを受けてほしい。彼は重要な選手になってくれると思う。A代表でしっかりレベルを上げてほしい選手の一人だ。チームに何かをもたらし、決定的な仕事をしてくれる選手だと思っている。ドルトムントで現在のパフォーマンスを続けてほしいし、今の状態をうれしく思っている。

 今のが6人の中盤で、3人が守備的、3人が攻撃的な選手たちだ。それではFWの選手にいく。本田とは何回か電話で話したが、(ミランでは)監督も新しくなって、新しい選手も何人か入ってきた。しっかり先発メンバーに入れるように努力してほしいと話した。親善試合でもプレーしたし、リーグでもプレーした。トップ下でやっているが、トップ下以外でもプレーできると思う。彼も我々のチームで非常に大事な選手になる。特にオフェンス面で違いを見せつける選手で、彼が必要になってくる状況はかなりあると思う。香川と本田がしっかり決定的な仕事をしてくれることを望んでいる。

 永井は東アジア杯でかなり期待したが、なかなか結果を出すことができなかった。ただ、闘ったし、スプリントもした。ペナルティーエリアの中でのプレーをしっかり教えてあげたい。最後の最後のところで疲労が出てしまうが、しっかりと疲労回復して、パフォーマンスを戻してほしいと思っている。彼のスピード、闘う部分はチームに何かをもたらしてくれると思う。

 宇佐美だが、今、疲労していると思う。能力はあるので、何度も話す必要はないと思うが、かなりの試合をしている。昨日の試合でも少し疲労が見えた。ただ、彼も違いをつくれる選手。リーグでも決定的なパス、決定的なシュートを見せている。少し疲労回復すれば、良いゴールゲッター、そしてアシストをする選手になると思う。シンガポール戦ではなかなか決定的な仕事ができなかったが、宇佐美が8回、本田が9回シュートを打った。彼は成功しなかったが、中国でも良いシュートを打った。なかなか決まらなかったが、これを続けてほしい。能力はかなりあるので、それをさらに強化してほしい。もう数か月すれば、さらにかなり良い選手になっていると思う。

 武藤は海外に行ったが、国内のリーグから彼のような選手がどんどん出てほしいと思っている。彼は真ん中でプレーできる選手。新しいクラブに入ったばかりなので、すぐには結果を出せないが、我慢していれば、いつか公式戦で点が入ると思う。ただ、まだ慌てる状況がある。クラブでしっかりプレーしているのはいいことだし、彼のスピード、闘う意識がA代表に何かをもたらすと思う。欧州に初めて行っているので、どんどん向上すると思う。ドイツのリーグでプレーしていれば、向上するのは間違いない。規律もあって頑張り屋でもある。1年後には、違うクオリティーを見せてくれると思っている。

 岡崎は、人間性もサッカー面も素晴らしい選手だ。彼はクラブを変えたが、(コーチの)ジャッキー・ボヌベイに(イングランドに)視察に行ってもらった。(レスターの)監督とも話して、かなり満足しているという話をしていた。リーグ戦でかなり重要な得点も取ったし、彼のがんばるところ、戦うところを持って先発メンバーに入った。イングランドではこの2つが先発メンバーに入るのに大事な要素になる。もう何点取るかどうか、さらに期待している。我々にとっては重要な選手。彼のパフォーマンスが良いということが我々にとって重要な要素になる。

 興梠は大迫と競争していた選手だ。大迫は残念ながらケガをしてしまって、ドクターと連絡を取ったが、合宿には連れてこれないということになった。それがあったので興梠を呼んだ。中国でも我々と一緒にいたし、彼もテクニックのクオリティーは高い。いろんなことをまだ伸ばしてほしいという話をしたし、『フィジカル的にももっと良い準備ができる』『ゴール前でもっと効果的なプレーをしろ』という話もした。

 このような選手が国内リーグでまだ少ないので、彼が貴重な存在になる。大久保(嘉人)という選手は彼より点を取っているが、彼はすでに年齢の高い選手。我々の目的はW杯なので、そこを見据えている。中国には20歳の選手(浅野)を連れて行った。豊田(陽平)、大久保も中国に連れていける可能性はあったが、浅野という選手が3、4年後、さらに楽しみな選手になっているだろうということで彼を連れて行った。

 まだこのリストには入っていないが、3、4人、クオリティーの高い選手がいる。そしてFWが必要だ。もっともっと有能なFWが必要だ。例えば、杉本(健勇)。杉本もかなりの能力があると思う。フィジカルがあって空中戦にも強く、効果的なプレーができる。テクニックのクオリティーも高い。ただ、このリストに入るにはもっともっとやってほしいと思っている。

 若い選手にもっともっとがんばってほしいというメッセージだ。もっと努力してほしい、もっとトレーニングしてほしいというメッセージだ。トレーニングでしか次のレベルには行けない。日本の今の課題は効果的なFWを見つけることだと思っている。育成でもそれが問題になっていると聞いている。才能は必要だが、養成しないといけない。先日、U-18の試合を見たし、昨日は五輪代表の試合を見た。何人か若い選手がいた。若い世代にJリーグで出場機会を与えてほしい。何人かトップチームで出てもおかしくない選手がいた。

 23人だが、バックアップメンバーも用意している。名前は出さないが、彼らには準備しておけという話をしている。合宿が始まる前に(Jリーグが)1節あるので、そこでケガ人が出る可能性もあるし、そういうことも考えないといけない。前回、中国に行くときは午前2時に決断した。Jリーグの試合でケガ人が出たからだ。DFを1人、MFを2人、FWを3人用意しているつもりだ。最後の最後でケガ人が出るかもしれないので、そこを準備している」

―公式戦でまだ勝っていないが、今回の合宿で選手に植え付けたいことは?
「シンガポール戦、そして東アジア杯を受けていろいろ考えた。確かにまだ勝っていない。私の人生で4試合勝ちがないのは初めてだ。何も隠す必要はないが、勝つのが大好きで、勝っていないことには本当に満足していない。ただ、そうは言っても悲しんでもいない。シンガポール戦のあともいろんなことを考えた。もう一度言うが、(シンガポール戦で)彼らが見せたクオリティーはかなり良いものだった。決定的なチャンスもたくさんつくった。選手も得点を取りたいと思っていたし、守備もしっかり丁寧にやってくれた。私の人生でおそらく初めて見られたことだった。

 ただ、カンボジア戦で同じ繰り返しはしたくない。同じようなシナリオになると思うし、同じようなやり方になってくると思う。カンボジアも他のチームも(映像を)見ているが、2回のトレーニングで戦術面のことしかしないと思う。いろんなことを修正して臨みたい。すでにディテールを準備している。2回のトレーニングで全部できるかどうかは分からないが、すべてを出さないといけないと思う。埼玉のサポーターは素晴らしい。2回目の言い訳をしないようにしないといけない。我々は勝たないといけない。得点を取らないといけない。全員が満足するような試合をしないといけない。

 東アジア杯に関して満足していないと言っても、もし1試合目(北朝鮮)に勝っていたら、おそらく1位で終わっていたと思う。そして2、3日間の休息期間があれば、1試合目も勝っていたと思う。我々よりも強い相手ではなかったからだ。その後、韓国戦、特に中国戦で我々のクオリティーはかなり上がった。

 ゴール前のクオリティーという部分では、今は岡崎だけが点を取っている。少しレベルが高い選手だと思う。真ん中の選手は他にいない。A代表でこれだけできる選手は見つかっていない。それを含めてこれからどうしなければいけないか。特に真ん中のFWは2、3人見つけたい。フィジカル的にもクオリティーがある選手。例えば、北朝鮮戦では途中から出てきた大きな(北朝鮮の)選手が2回シュートを打って、2回とも大きなことを起こした。昨日の試合でもガンバでだれが一番危険なことをしたかといえば、大きな選手、ブラジル人だった。我々もそういった選手を見つけないといけない。

 ディフェンス面でもそうだ。こないだAFCの会議でマレーシアに行ったが、アジアの各国が日本に対して何を考えているかというと、『FKで大きな選手を前に置いておくと日本は弱い』と言っていた。彼らに対抗するために我々も力強い大きな選手を見つけないといけない。この試合にも期待している。選手はモチベーション高く、この試合に勝ちたいと思っている。そして次のアウェーに向けて勝利を続けていってほしい。そうすれば少しゆっくり寝れるかなと思う」

―カンボジアとアフガニスタンの分析はどの程度進んでいるか?
「かなりのものを今、準備している。カンボジアがどのようにプレーしてくるかもすでに知っている。何試合か見た。ブロックをかなり引いてくる。そしてカウンターアタックで我々に何か問題を起こしてくると思う。5人、DFを置いている。トレーニングでも5人のDFを使ってやる準備をしている。その低いブロックをどのように不安定にさせるか。例えば中盤だが、今のところミドルシュートが少ないが、それを頻繁に使おうと。いろんなソリューション(解決策)を準備している。真ん中、サイドから。得点を取るためにだ。

 それから選手に学んでほしいことがある。日本に5か月いるが、A代表として7試合戦った中で、2回、FKがあった。ただ、PKをまだ一回ももらっていない。それを言いたい。(ボールポゼッションで)90%支配したシンガポール戦においても、一回も相手がペナルティーエリアの中でファウルしていない。これはノーマルではない。そのような文化がまだないのかもしれないし、それを教えたい。16mの中でファウルをもらえば、それはPKだよと伝えたい。

 AFCの会議でオーストラリア対UAEの決勝の映像が流れた。オーストラリアが何をしたかというと、ペナルティーエリアの中で5回連続でPKを誘発するようなことをした。それしかやらなかった。5回目で審判が笛を吹いてPKをもらって、それで勝った。ずる賢くやり続けろというわけではない。これはフットボールの中でインテリジェンス(知性)と呼ばれるものだが、特にペナルティーエリアの中で相手からファウルを誘う。時々、こういう試合ではそれが必要になる。得点を取れる可能性が生まれてくる。1点を取ることが難しい試合もある。それはメインではなく、しっかり私たちのプレーをして、しっかりとしたパスからゴールが見たいと思っている。良い試合を見せたいが、相手はディフェンスしかしてこないようなチーム。しっかりカウンターには注意しないといけない」

―選手の特徴はだいぶつかんだと思うが、選手交代のイメージは膨らんでいるのか?
「まず選手にしっかりプレーしてもらわないといけないが、最初に出す選手がより得点が取れる選手だ。日本に来てかなり仕事をしてきた。2、3か月前よりも日本の知識はかなり増えたと思う。若い世代の試合も見ている。しかし、ゴールを取れる選手を見つけるのは簡単な仕事ではない。日本でプレーしている日本の選手はスタッフ全員で見て、分析もした。得点を取れる選手を探し続けている。交代に関して、より良い交代ができるかどうかもまだ分からない。例えば、岡崎を交代させたとする。岡崎の代わりにだれを出すか。そういうことを踏まえれば、簡単な仕事ではない。

 チームのプレーに関しては不満ではない。なぜかというと、チャンスをかなりつくったからだ。質と量に関してかなり良いものがあったと思っている。最後の効果性、最後の冷静さ、シュートのところ。こないだもシンガポール戦を見直したが、実際の試合のときよりもイライラした。タクティクスもいろいろと準備しないといけないし、そのタクティクスに合う選手も用意しないといけない。

 シンガポール戦では4人のFWのような形、原口が5人目のFWのような形になったが、それ以上効果的なことはできなかった。ただ、得点を取らなければならかった。選手とこれからも話し続ける。FKで決まるかもしれないし、PKで決まるかもしれない。それがすべてを変えると思う。もう一度言うが、7試合でPKを一回ももらっていない。そういう発想がないのかもしれない。それを教えていかないといけない。

 私は17歳のときにFWだった。長い年月をかけてプレーした。人生でも多くの点を取った。何度もPKを取った。自分で(PKを)取りに行った。ボールを見る替わりに相手を見て、相手の前に少し入って、押されてPK。それで得点を取った。それで試合に勝たせたことも何度もある。それを全員がやっている。それを日本代表のFWにも教えてあげたい。そういう習慣がないのかもしれないし、そういったことがチームを強くさせるのではないか。ちょっとしたディスカッションが貢献していくのではないかと思う」

(広報が最後の質問者を指名すると)
「私を困らせるような質問をしてもいいんですよ。全然試合にも勝っていないし、批判も受ける。例えば、霜田(正浩)技術委員長がベンチで私の横にいて、批判されたという話も聞いた。ただ、それは私が要求した。技術委員長が監督の横に座る習慣はないかもしれないが、私の中にそういった問題はない。日本に着いたばかりだし、霜田委員長を横に置きたかったのは、選手のことも知っているし、環境のことも知っているからだ。グラウンド上での役割も完璧に理解している。ただ、霜田委員長から私にタクティクスの相談はない。会長にも説明した。日本では何か違うことをすると、それは違うのではないかという話になるが、それが霜田委員長が私の横にいた理由だ。1年目は特にそういう形で横にいてもらいたい。そういったことに関しても私に質問してほしい。私には理由がある。質問してもらえれば、こうやって説明できる」

―この2試合もベンチに入るということか?
霜田委員長「入ります」

―この4試合、結果を出せていないが、ハリルホジッチ監督の評価はしっかりできているのか?
霜田委員長「隣りに座っていようが、上から見ていようが、評価はできています」

(広報が会見を終わらせようとすると、ハリルホジッチ監督から)
「車の話はいいんですか? それがみなさん一番興味があると思いますけど、健康に気を遣っていただいてありがとうございます。何も問題はなかった。ご心配をおかけしました」

(取材・文 西山紘平)

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