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“孝行弾”を喜ぶ浅野、MOMの賞金は「実家の軽自動車」購入資金に

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[12.5 チャンピオンシップ決勝第2戦 広島1-1G大阪 Eスタ]

 優勝を決定づけたヒーローは、親孝行を喜んだ。紫に染まった超満員のスタンドの中で、FW浅野拓磨の両親ら家族も必死に声援を送っていた。そして途中投入された浅野は、後半31分にヘディングで同点弾を記録。「目の前で結果を残せてよかった」。浅野の孝行弾はサンフレッチェ広島の2年ぶりのリーグタイトルを確実なものにした。

 12月2日は父・智之さんの誕生日だった。「本当は前の試合(CS第1戦)で決められればよかったのですが」と頭を掻くが、「いつか決めると約束していた。それが出来てよかった」と白い歯をこぼす。マン・オブ・ザ・マッチの賞金50万円についても、「実家の軽自動車がボロボロなので買ってあげたい」と、どこまでも家族孝行だ。

 無我夢中でプレーした結果だった。後半31分、浅野はMF柏好文のクロスに対し、目いっぱいジャンプする。「当たらなくても飛んでみようと思って飛んでいた」。打点の高いヘディングシュート。しかし飛んだ本人は「そんなに飛んでいる感覚がなかった」と話す。それでも、「ボールに触ることだけを意識していた。ボールの行く方を見たら、ゴールに吸い込まれていった。うれしかったですね」。21歳の顔から笑みが絶えることはなかった。

 浅野は今季も途中出場がほとんどだったが、リーグ戦はキャリアハイの32試合に出場。プロ初ゴールを含む、8得点を挙げて飛躍に繋げた。来月行われるリオデジャネイロ五輪最終予選となるAFC U-23選手権での活躍にも期待が集まる。「結果も付いてくるシーズンでしたし、自分にとっては自信になった。チームとしての優勝に繋がったし、1年間通して自信になったシーズンでした」。その先の活躍も予感させたこの日のスピードスターの存在感。観戦に訪れていた日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督の目にもしっかりと映っていたはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)

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