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[MOM1625]大津MF吉武莉央(3年)_絶妙コントロールに好判断、静学からも賞賛された10番

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.13 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 静岡学園高 2-3 大津高 広島一球]

 両校の選手が会場を沸かせるプレーを連発していたが、大津高は特に10番MF吉武莉央が魅せた。前半10分、左サイドでボールを持った吉武は左足シュートの体勢から逆サイドでフリーのMF杉山直宏へクロスボール。静岡学園高で約70人のJリーガーを育てた井田勝通前監督も「非常に賢いな。シュートのところからのクロス。見えているんだな」と賞賛していたが、その素晴らしい判断がFW藤山雄生の先制ゴールに繋がった。

 そして大津の10番は1-1の後半18分に観衆を驚かせるようなゴールを決めた。自陣からMF河原創が相手DFライン後方に大きく蹴りだすと、いち早く落下点に入った吉武は左足で超絶コントロール。難しい浮き球を自在におさめた10番はひとつのトラップでGKと1対1の状況をつくり出して勝ち越しゴールを流しこんだ。

「オレが教えた通りのあのタッチ(微笑)。体育館で練習した(ボールの勢いを)ゼロにするというファーストタッチのお手本のようなプレー」と平岡和徳総監督も会心の笑み。「決める自信はありました」という吉武は「(やや苦笑しながら)平岡先生の練習の成果です。リフティングしながら、高いボールを上げてトラップしたり、パスコンとか。空いている時間あったら、ああいう高いボールとか自分で蹴ってリフティングしたり、トラップしたりはしょっちゅうやっています」と日常のトレーニングが生んだゴールであることを説明していた。

 「大津の10番らしいプレー」にこだわる吉武。この日は延長戦でクロスバー直撃のミドルシュートを打ち込み、スルーパスを引き出して抜け出しかけるなど得点シーン以外にも存在感を示した。技巧派軍団・静岡学園の川口修監督も「あの10番、素晴らしかった」と評価するプレー。だが本人は、「久々に点も取れて数字として残せたので自分としても良かった」と得点して勝利した試合を喜びながらも、「ミスが本当に多くて、全然走れていなかったし、自分がしたいプレーとかも全部相手にやられて……」と110分間通してのプレーについては全く納得していなかった。

 強い相手との対戦でこそ、本当の実力が出る。その中でもっともっと自分の力を発揮したかった。「静学っていう強い相手だった。平岡先生が『こういう相手とやるときに本当の実力が出る』と言っていたのでもっといいプレーしたかったんですけど……また練習したいです」。観衆を沸かせた一方で悔しさも味わった10番は、選手権までのわずかな時間で少しでも成長して、選手権でより「大津の10番らしい」違いを示すプレーをする。

(取材・文 吉田太郎)
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