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土壇場で失点もPK戦制した佐野日大が一条振り切り過去最高タイの8強へ

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佐野日大がPK戦を制し、過去最高の8強入りを決めた

[1.3 全国高校選手権3回戦 一条高2-2(PK3-4)佐野日大高 駒沢]

 第95回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行い、駒沢陸上競技場の第2試合では佐野日大高(栃木)と一条高(奈良)が対戦した。80分間を終えて2-2で決着がつかず、PK4-3で佐野日大が勝利。5日の準々決勝では駒澤大高(東京A)と激突する。

 堅守を武器に勝ち上がってきた両チームはともに慎重な立ち上がりを見せた。それでも、5バックで守備から入った佐野日大が前半18分に先手を取る。FW野澤陸(3年)のシュートが相手DFに当たった跳ね返りをPA手前からDF梅澤崚が左足で豪快なダイレクトボレー。超高校級のスーパーゴールで先制した。

 1点を追う一条も前半27分、MF梅本耕平(3年)がPA内左を縦に仕掛け、ゴール前にマイナスのクロスを送ると、MF加茂裕輝(3年)がヘディングで合わせ、1-1の同点。試合を振り出しに戻したが、佐野日大は前半終了間際の40分、右サイドを突破したMF小澤亮祐(3年)のクロスにFW大熊啓太(3年)がヘディングで合わせた。「練習試合でもよくあの形があって、あそこに来るのは分かっていたので飛び込んだ」という会心の一撃。2-1と勝ち越して前半を折り返した。

 佐野日大は後半3分、GKが防いだボールを梅澤がオーバーヘッドで狙うが、惜しくもクロスバーを叩く。反撃に出る一条もFW秋月健(3年)のヘディングシュートやDF稲葉大典(3年)のミドルシュートで同点ゴールを狙うが、なかなか枠を捉えることができず、試合はそのまま佐野日大が逃げ切るかに思われた。

 ところが、試合終了間際の後半39分、一条の執念が実る。野澤の右CKからゴール前混戦になると、MF樋口拓海(3年)のシュートはGKに弾かれたが、加茂がシュート。これもゴールライン上のDFに阻まれたが、こぼれ球を再び拾った加茂が今度こそ左足で押し込み、土壇場で2-2の同点に追いついた。

 一条の前田監督が「大きな意味があった」と振り返った同点弾。結局、PK戦で涙をのむ形となったが、「最後は厳しいなと思いながら見ていて、ああいうのをかき出されるのもよく見てきた。あれが入った瞬間、ある意味、この大会は満足でいいのかなと思う」と、最後まであきらめず、泥臭く追いついた選手たちに最高級の賛辞を送った。
 
 試合はPK戦に突入し、後攻の佐野日大は1人目の梅澤がゴール右を狙うが、GK本山善敏(3年)がセーブ。しかし、続く一条2人目の加茂もGK中村一貴(3年)に止められた。中村は一条4人目のFW秋月健(3年)が真ん中を狙ったキックも残り足で防ぎ、2本目のセーブ。最後は佐野日大5人目のFW長崎達也(3年)が落ち着いてゴール右に流し込み、PK4-3で佐野日大が競り勝った。

 2度追いつかれて突入したPK戦。佐野日大の海老沼秀樹監督は「追いつかれてからの嫌な流れは考えないようにした」と振り返る。「昔、ベスト8に行ったときも苦しい思いをして勝ち上がってきた。PK戦の前には『先輩たちもできたんだから、後輩のお前たちも絶対にできる』と選手には伝えた」。98年度大会も3回戦で修徳と2-2からのPK7-6で競り勝ち、過去最高の8強入りを果たした。今回もまたPK戦を制してのベスト8進出。次は18年前も成し遂げられなかったベスト4への挑戦だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)

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