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[プリンスリーグ関東]流経大柏のU-17代表CB関川郁万、絶対の高さ、強さ、そしてリーダーシップも加えて日本一へ、世界へ

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世代最高レベルの高さ、強さが特長の流通経済大柏高CB関川郁万

[7.2 高円宮杯プリンスリーグ関東第7節 流通経済大柏高 1-2 川崎F U-18 流通経済大柏高G]

 試合を通して制空権を握り続けていたように映った。抜群の高さを発揮して相手のゴールキック、縦へのフィード、クリアボールに競りながら、より上方から頭に当てていたのは流通経済大柏高の背番号5だった。

 だが、U-17日本代表CB関川郁万(2年)は「きょうは全然競り勝っていないです」と首を振る。相手に触るチャンスを与えないほど、しっかりと競り勝つというイメージには達していなかったか。逆に相手の1年生FW宮城天に頭でそらされるなど、本人にとってはむしろ不満の残る内容だったようだ。だからこそ、試合後は「空中戦は譲れないし、セットプレーも自分が決めていれば勝っていた」と悔しさを滲ませていた。

 関川はこの日の空中戦の出来について「全然タイミングを掴めなくて……」と振り返り、本田裕一郎監督も「タイミングが合っていなかったね」と指摘していた。前節は本人もパフォーマンスは良かったという。だが、今節は相手のゴールキックの回数などヘディングするシーンは多かったものの、最後まで立て直すことができなかった。

 チームも1-2で敗れた。「自分も今日跳ね返せなかったんですけど、自分がもっとリーダーシップ取ってやっていれば2失点とも無かったと思うので、もっと声をかけて、もっと自分が余裕をもっていれば」と反省。自分のところで守ることも、チームとして守る部分も求めているレベルを表現できなかった。

 リーダーシップを取って、チームの守備を統率する――。これまでは声でチームを引っ張るというよりも、目の前の相手に集中して黙々と役割を全うする選手だった。そして上級生をねじ伏せるようなプレーも見せてきたが、「先週(U-17日本代表監督の)森山さんが来ていて、もっと周りを動かす力、コーチングが大事になると」と指摘されたのだという。加えて、流経大柏のDFラインで昨年からの経験者は右SB佐藤輝(2年)が離脱中ということもあって現状、関川のみ。だからこそ、経験値のある自身がやらなければならないと考えている。だが、この日はU-17日本代表FW宮代大聖(2年)をマークしながらの90分間。周りに十分に気を配ることができなかった。

 昨年は全国高校総体で1年生レギュラーとして準優勝。だが、ケガもあって納得の行くプレーができたとは、思っていない。「全然(同じ1年生DFだった佐藤)輝の方がやれていましたし、自分の中でも優秀選手って言う文字が?のような感じだった。『どうして自分なんだろう』と」。だからこそ、昨年に続いて千葉県第1代表として出場する今年の全国高校総体では胸を張って大会優秀選手と言えるようなプレーをして、日本一に貢献するつもりでいる。

 そのためにはこの日のような惜敗をしていてはならない。「惜しいところで負けて、先週(0-2で三菱養和SCユースに敗戦)も今日も惜しいで去年と一緒。惜しい試合を勝ちに持っていかないと日本一には届かない」と力を込めた。

 個人的にはケガをしないことが一つのテーマだ。「昨日、今日で監督が中澤(佑二)選手の話をしていて。あの年齢で5年間連続フル出場していて、その間のイエローカードが2、3枚ですから」。関川はこれまでケガに泣かされてきた経験があるだけに、準備、身体のケアに注意を払わなければならない。不要なカードを減らす必要もある。だからこそ「去年の(U-16)アジア選手権もケガで行けなくて、自分ケガが多くて(今回の千葉県)インハイの1回戦もケガで出れなくて、ストレッチとかもするようにしているんですけど、ケガをしないように」と引き締めていた。

 5日には、7月15日から国際ユースサッカーin新潟に出場するU-17日本代表メンバーに選出された。その後には全国高校総体が控える。U-19日本代表FW安藤瑞季(長崎総合科学大附高)との対戦が準々決勝で実現すれば「楽しみ」と口にするなど、より強い選手との対戦を求めている注目CBは、世代最高レベルの空中戦の強さ、高さ、「インハイの時には仕上げていきたいですね」というリーダーシップを磨き、ケガの予防を徹底すること。そして、この夏の活躍で10月開幕のU-17W杯出場する権利を獲得して、より強力なアタッカーたちと世界で真剣勝負する。

(取材・文 吉田太郎)
●2017 プリンスリーグ関東

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