beacon

京都橘がライバル・東山との決勝を制す!「負けたチームの想いも背負って」2年連続の全国へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

京都橘高が2年連続の全国へ

[11.15 選手権京都府予選決勝 京都橘高 2-1 東山高 サンガスタジアム by KYOCERA]

 第99回全国高校サッカー選手権京都府予選は15日に決勝を行い、京都橘高東山高が対戦。ロングスローから2点を奪った京都橘が勝利し、2年連続9回目の選手権出場を決めた。

 近年の高校を代表する二校だが、決勝で戦うのは8年ぶり。互いに、ライバルとして強く意識するチーム同士の一戦は、最後まで目が離せない展開となった。先に見せ場を作ったのは、京都橘だ。前半2分には、FKのこぼれ球に反応したMF杉本蓮(3年)がシュートを放つも、GK佐藤瑞起(1年)が触ってクロスバーに。ゴール前に落ちた所を、FW木原励(2年)が押し込んだが、枠を捉えられない。以降は、「いかに橘を倒すかを考えてきた」(福重良一監督)東山が繰り出すロングボールと、この日のために温存してきたDF野澤勇夫(3年)らのロングスローで押し込まれる時間が続いた。

「予選で一番悪い試合。東山はやりたいことができていたと思うけど、僕らは選手の距離が伸びてやりたいことができなかった」と振り返るのは、MF中野晃弥(3年)。東山に付き合う形で、ロングボールやサイドからの攻撃が増加。「みんな裏ばかりを狙っていたので、少し落ち着く場面を作りたかった」と引き気味で受けたFW西野太陽(3年)が強引な突破を狙うも、良い形は作れない。それでも、今年は苦しい時に繰り出す飛び道具がある。前半35分に左サイドでスローインを奪うと、DF金沢一矢(3年)が入れたボールを、ニアの木原が身体に当てて先制した。後半6分にも、右サイドからMF青山楽生(2年)が強肩を披露。ゴール前に入ったボールは、佐藤に弾かれたが、MF宮嶋大輝(2年)が押し込んだ。

 東山にとって、2点のビハインドは想定の範囲外。福重監督は「0-1まではOK。我慢して、ラストに勝負をかけたかったけど、2失点目が早かった。自分たちで点を獲るアクションを起こすはずが、獲りに行かなければ仕方ない状況になってしまった」と振り返る。2点目を失った直後に、両ウイングバックを変えて、攻勢を強めると、後半32分には交代で入ったMF坂本皓介(3年)のスルーパスから、MF李隆志(2年)がゴール前を突破。シュートはDF小山凌(3年)に阻まれたが、流れからのCKをMF藤枝康佑(2年)が頭で合わせて、1点差に詰め寄った。

 終盤は、佐藤を相手ゴール前に上げるパワープレーで東山が押し込んだ。しかし、中野が「練習試合からラスト10分の戦いを意識してやってきた成果が出せた」と振り返る通り、最後まで粘り強く跳ね返し続けた京都橘が、2-1で勝利した。

 ライバル勢との対決を制した京都橘だが、攻撃がロングボールとセットプレー頼みになってしまったのは反省点。米澤監督は、「まったく何もできなかった。自分たちで浮足立ってしまった。勝てたのは有難いけど、反省しなければいけない試合内容」と口にする。

 一方で、内容が良く無くても粘り強く勝利を引き寄せたのは、全国に向けたプラス材料だ。特に、試合終盤の失点で勝点を逃す試合が多かったプリンスリーグ関西とは違い、この日は最後まで集中力をキープ。歓声がスタジアム内に響き、選手同士が上手くコミュニケーションがとれない中でも身振り手振りで意思疎通を図り、最後まで東山の猛攻を凌げたのは収穫だ。米澤監督は、「やりたいことができて勝たせてもらったゲームと、できないゲームで勝たせてもらえたのと両方経験できたのは大きい。できたゲームばかりで、勝っていても仕方ない。苦しいゲームで勝ち切れないと、選手権は勝っていけない」と口にする。

 インターハイ3位の成績を引っ提げて挑んだ昨年の選手権は、まさかの初戦敗退。同じ過ちを繰り返したくはない。「京都を代表して全国に行くので、情けない姿は見せられない。負けたチームの想いも背負って、優勝したい」と意気込む中野を中心に、全国でも力強くトーナメントを勝ち上がる。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP