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日本vsオーストラリア 試合前日の森保一監督会見要旨

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オンライン会見に出席した森保一監督

 日本代表は12日、カタールW杯アジア最終予選の第4戦で、オーストラリア代表と対戦する。森保一監督は11日、試合会場の埼玉スタジアム2002でオンライン前日会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

●森保一監督

——現在、去就のことも取り沙汰されている。勝たなければ2位以内が厳しくなる試合にどういう気持ちで臨むか。
「この最終予選3試合を終えて、われわれが厳しい状況に置かれているということはもちろん承知している。しかしながら、W杯最終予選は全ての試合において厳しい試合の連続であることは最終予選に臨む前から覚悟していたこと。まだまだわれわれ次第で巻き返せるチャンスはあるし、W杯出場権獲得のために勝利を目指して戦うことだけを考えて臨みたい」

——メンバーの考え方について。いままではある程度、軸が決まった形で戦ってきたが、オーストラリア戦に合わせた変化があるのか。コンディションに合わせて、テコ入れをする部分は必要だと考えているか。
「まずはこれまでと考え方は変わらず、オーストラリア戦に向けてわれわれが勝つためにベストなメンバーを選んで、メンバーを決めることをしていきたい。昨日もすでにゲーム形式の練習はしているが、今日もまたあらためてゲーム形式の練習も含め、選手たちの動きを確認した上で、明日のメンバーを決めたいと考えている。あとは戦い方が変わっていないように見られるかもしれないが、毎回対戦相手が違うので、相手のストロングポイントはできるだけ消していけるように、そしてウィークポイントを突いていけるようにという部分、そしてわれわれとマッチアップした時にどういうことが起きるかを今日の練習でも想定して、相手の良さを消しながらわれわれの良さを出していけるように準備したい」

——オーストラリアはどのような特徴だと考えているか。
「まずは個々のフィジカルの強さがあり、技術的にも優れているチームだと思っている。アーノルド監督は私の元同僚だが、戦術的にも組織的に戦えるいいチームづくりをしている。個々はフィジカルが強く、技術も高いと分析している」

——この3試合の問題はコンディションだったと考えているが、現在のコンディションはどうか。
「3試合で結果が出なかったことについてはいろんな要因があると思うが、コンディションの部分で全体的に上げてこられなかったところはある。これまでも代表活動のなかで選手たちの所属チームでの活動から代表ウィークに入って、だいたい2〜3日でコンディションを作っていくという部分では変わらないところがもちろんあるが、コンディションを整えていくという部分では、結果が出なかった試合については改善しなければいけないところがあると思う。オーストラリア戦に向けては選手たちは長旅の移動、時差がある中でのコンディションづくりになるが、昨日の練習ではフィジカル的にも非常に回復していて、メンタル的にもオーストラリア戦に向けて意欲を見せてくれている。いい準備ができていると考えている」

——サウジアラビア戦のように後半に動きが落ちてきた時に、自分たちのやり方を捨てるという選択肢もある。一方で自分たちのやり方を崩さない考え方もあるが、どちらを支持するか。
「どちらも状況によって、やらなければいけないことかなと思っている。いまの質問のように、われわれがやりたいこととと、その時にできることはギャップがあるかもしれない。それはこれまでの戦いでも出てきていたところ。現実にいまできることをしっかりやっていくことを試合に臨むにあたっても準備するということと、試合中でも試合の流れを読みながら自分たちが主導権を握って、前に出て行けるのか、相手に主導権があって受けながら自分たちの流れに持ってくるのか等々、試合の流れを読みながら賢く戦えるようにしないといけないと思う。流れの中で最適な判断をして、意思統一しながら戦うことをしないといけないが、われわれのやろうとしていること、目標としていることのプレーの基準は忘れないようにしないといけないと思う」

——サウジアラビア戦後の会見で自分たちがW杯出場を諦めなければ出場権を掴める力を持っていると言っていたが、力を持っているのにW杯出場が難しいくらいの成績しか残せない原因はどこにあると思うか。
「サッカーも含めてだが、勝負事に絶対はないということが言えると思っている。われわれができることは勝つ確率を上げられる準備をすることかなと思っている。われわれの選手たちの力を考えれば、いまの日本代表と日本サッカーの力を考えればできる準備を怠らず、しっかりやっていけば勝つ確率は限りなく上げられると思っている」

——結果が出ないと選手たちも自信がなくなると思うが、そこにどういうアプローチをしているか。その際にデータなどの根拠は出しているか。
「選手たちには結果は出せなかったところもあるけど、みんなには力があるということは私自身は全く考えに変わりはない。選手たちへの信頼度も全く変わっていない。選手たちには常に自信を持ちながら戦っていけること、自分たち次第で結果と勝利を掴み取れるということは話している。気持ちだけで、言葉だけで伝えても、結果が出なければ疑念が出るところはあるかもしれないが、毎回試合の振り返りはやっているし、自分たちが勝っても負けてもできたこと、できなかったこと、改善しないといけないこと、できたことはさらに伸ばしていこうと選手たちにも伝えている。データ的なことは伝えるところと伝えないところをもちろん使い分けるが、そういった観点でも選手たちに伝えている。さきほども話したが毎回対戦相手は変わるので、われわれの戦うベースの部分と、対戦相手のストロングポイントを消していくところ、ウィークポイントを突いていくところは与えられた時間の中で確認して試合に臨んでいる」

——サウジアラビア戦はよく戦っていた印象はあるが、ボールを失った時に両手を上げてファウルをアピールしたり、レフェリーに文句を言ったりということが見られたことが気になった。監督は選手たちの振る舞いに意見があって、選手たちに何かを求めたか。あるいはあれは当然だと思っているか。
「われわれが活動するコンセプトの中で、選手たちには笛が鳴るまでプレーを続けていこうということはこれまでも伝えてきた。しかしながら活動が間が空いてしまったりしたことで、選手たちは少し意識が薄れるところはあるので、試合の中で時々セルフジャッジをして審判にアピールする等々のところはサウジアラビア戦でも出てきてしまったていたのかなと思っている。その点については、サウジアラビア戦の試合の振り返りのミーティングで、選手たちにはセルフジャッジはやめよう、笛が鳴るまで続けようと伝えた。もちろんわれわれは勝つために戦っているし、われわれを支援、応援してくださっているサポーターに勝利を届けることがとても大切だと思うが、試合の結果は絶対的なものではない。しかしながら内容の部分ではわれわれの試合を見てくださっている方々、応援してくださっているサポーターの皆さんに日本人らしく、日本代表は戦ったと思ってもらえるような戦い方をしたいと思っている。指摘されたようなことができるだけないように、チーム一丸となって最後まで粘り強く戦い抜くこと、ひたむきに戦い抜くことを実行してもらえるようにしたい」

——すごく真面目で真摯な選手が揃っているが、悪いほうに出ているというか、思い詰めすぎているように思う。責任感を持ってやろうとしすぎている印象もある。もう少し余裕を持って戦えば……とも思うが、精神的な余裕を持たせるイメージはあるか。
「勝利を掴み取るために真面目に戦うこと、われわれの戦いにはいろんな人の思いが乗せられていると思うので、選手たちがサポーターであったり、支援・応援してくださっている方々、関係者の皆さんの気持ちを背負って勝利を届けたいという思いで戦っていることは悪いことではないと思う。質問の中で真面目すぎてテンポが読まれてしまったり、緩急をつけられずに疲弊してしまったりとか、いろんなことが考えられるが、選手たちが真面目にやってくれることについては監督としては非常にありがたいと思う。選手たちがよりリラックスして、思い切ってプレーできるようにということ、厳しい戦いだが、厳しい戦いを含めて好きなサッカーを楽しんでもらえるように環境づくりをするのが私の役割。選手がというより、私自身が選手に対して、よりリラックスして戦ってもらえるように、思い切って戦ってもらえるように働きかけていきたい。駆け引きのスポーツでもあるので、駆け引きを楽しんでもらえるように働きかけていきたい」

——ベースの部分と対戦相手との兼ね合いの部分で、選手の中から攻め急いでいる部分があったという話が出ていた。もっと緩急をつけないといけない部分もあると思うが、トレーニングでも強度が高く急いだメニューが多い。早く攻めることと、駆け引きと、どのようにバランスを考えているか。
「まずは強度を高くして、プレーのテンポを早くしていくことが日本サッカーが世界で勝っていくために、アジアで確実に勝っていくために必要なことかなと思いながら、練習をプランして選手たちに働きかけながら試合でも実践してもらっている。試合の中でもそうだが、特にトレーニングでゆっくりボールを持つことも働きかけているが、選手たちが実践できていない部分においてはまたトレーニングを改善して考えたり、ミーティングの中で話していきたいと思う。ただ世界のサッカーで勝っていこうと思った時に、実際にゆっくりとボールを持つということは試合の中ではあり得るが、強度を高くやり続けるということをまず前提にやっていかないと、おそらく日本が世界で勝っていくという部分においては、世界のトップトップに追いつくこともできなければ追い越すことも絶対にできないと思っている」

——サウジアラビア戦後の取材で「私自身のサッカー観プラス日本サッカーの発展を考えてチーム作りをしている」と言っていたが、いまの答えにも関連すると思う。その真意をもう少し具体的に教えてほしい。
「私もそうだし、われわれのスタッフ、選手たちとのコミュニケーションを通して、あるいは協会の関係者の皆さんであったり、日本のサッカーファミリーの皆さんと話しながら、世界で日本が勝っていくためにはどういうことをしなければならないか、日本の長所の部分と、日本が改善しないといけないところはいろんな方面から、いろんな切り口から意見をいただいて、コミュニケーションを取りながらチームづくりをしている。先ほども話したが、日本のサッカーが世界と戦っていく中で、アジアの中でしっかり勝っていくためにインテンシティ高く戦うということ、テンポを基本的には速く戦っていくという部分においてはトライし続けないといけないと思っている。日本サッカーの発展という部分ではいろんな考え方ができるので、一つのところを取ると、勝って日本サッカーが世界のサッカーの中で認められるようにしていきたい。国内のサッカーがあってこその日本代表だと思っている。いろんなサッカーの指導者や、関係者の皆さんが普及、育成、そしてトップにつなげてくれている中で、われわれ日本代表がいろんな方々につなげてもらっているところを戦いを通してどういうアプローチをしたらいいのか、環境づくりをしてくださっている方々にどう選手を育てていく、日本サッカーがより文化として根付いていくためにどういうことをしていけばいいのかを一緒に考えていけるようにしたいと思っている。選手の招集についてもわれわれの代表にこれまでたくさんの選手を招集させてもらっているが、他との比較はできないが、選手を招集させていただいてわれわれの代表活動があるということ、代表活動で国際経験を通して普段の日常の活動で経験できないことを代表で経験してもらう。それが選手の成長にもつながる。そして所属チームに帰ったときにJリーグ、大学、アマチュア、いまは高校生からは招集させてもらっていないが、選手たちが代表を経験して戻った時にいい経験をしたと思ってもらえるように、成長のきっかけづくりを代表でできたと思ってもらえるようにしたいし、代表で経験した選手がチームに戻ったときに他の選手たちにも経験が波及して、他の選手の成長につながるようにということをできればと思っている」

——スローインでのボールロストが多いという話が出ていたが、あらためて確認したことはあるか。
「トレーニングの中でスローインについては行っていないが、映像での振り返りのミーティングでは伝えているところはあった。おっしゃられるように、細部にこだわって準備していかなければレベルの高い舞台、厳しい舞台では勝っていけないと思うので、勝つ確率を少しでも上げられるように細部にこだわって準備しないといけない。スローインは2次予選から課題として挙げていて、トレーニングでも行っていた。そこは代表でも難しいところで、クラブでは一度練習すればみんなが把握してもらえるが、代表は招集する選手が毎回変わる。そういう中では初めてトレーニングする選手がいて、そういうところは難しいと思うが、改善できるところは改善していきたい。またやれることは全てやりたいと思うが、与えられている時間も限られているので、大切なところは全てやりたいが、取捨選択して優先順位をつけていくことをやっていきたい。足りないところはいろんな手段を使って伝えていきたい。

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