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U-19日本代表フランス遠征メンバー発表 冨樫剛一監督オンライン会見要旨

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U-19日本代表を率いる冨樫剛一監督

 日本サッカー協会(JFA)は23日、オンラインで記者会見を行い、「第48回モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)」に臨むU-19日本代表メンバーを発表した。

 メンバー発表会見では冨樫剛一監督が質疑に答えた。要旨は以下のとおり。

冨樫剛一監督
「2020年1月の終わりにスペインのカナリア遠征にU-18が行って以来の海外遠征となる。これまでトレーニングキャンプで大学選抜やJリーグのチームに協力して頂き、強度の高いトレーニングマッチをしてきました。しかし、我々日本代表は対外国相手に戦うということで、向こうに行って環境が違う、当たり前が違う中で、いかに左右されない、ブレない強いチームを作るかということを今まで目指してやってきている。今回、日常のトレーニングや試合状況でU-19の選手がなかなかポジションによっても、なかなか試合に絡めていない中、選考基準としてはその中でも、より通常のトレーニング、ゲームに関わることが多い選手という中で悩んだが、このメンバーを選んだ。また、日本サッカー協会として、国外にも日本にルーツを持つ選手、日本を強くしたい、世界で戦って日本代表として勝っていきたい選手をしっかりスカウティングでき、今回招集することができた。文化、教育が違う中で、それでも同じフットボール、そして日本を強くしたい思いを持つ選手たちを、非常に強い相手と戦えることで、彼らを一つのチームとしてまとめてゲームに向かっていくことが今回の私の仕事であると思う。良いゲームをしていきたい」

――ヨーロッパ組の選考過程を教えてほしい。他の代表を選ぶ資格もあった選手もいると思うが。
「海外に駐在してスカウティングして頂いている方が日本サッカー協会としてもいるので、彼らがしっかりスカウティングをしてくれて、情報を常に共有している。この状況下の中で直接は見に行けなかったが、映像をしっかり確認し、本人たちともウェブでミーティングをして彼らの意思を確認した上で、日本のためにしっかり戦いたいということであったので、今回選ばせてもらった」

――代表チームは寄せ集めになってしまう部分があるが、そこにヨーロッパで育ってきた選手たちが入ることで、より難しさもあると思う。
「これから日本代表が世界で勝つためには必要なものになると思う。そして、選手たちもそういう選手たちと、いかにボールを共有してサッカーをしていくのか。我々指導者も言語も含めて、いかにして自分たちが受け入れて彼らの手助けをできるようになるかというのは、これからの日本代表にとって大事な部分になると思う。自分たちも何が起こるか分からないが、自分も少しだけ向こうにいさせて頂き、日本で育ってきた選手たちの良い部分、そして向こうで育っている選手たちの当たり前の基準みたいなものを、しっかりと日本を強くするために共有していければと考えている」

――海外でプレーする3選手の印象は。
「二田(理央)に関して言えば、U-18でも一緒にやっている。彼は少し怪我をしてしまったので途中で離脱してしまったが、彼はゴールを取る意欲を当時から非常に強かった。そして、向こうでも数字を残していったことで、今回の基準を満たしていると思っている。ブラックバーンの(前田ハドー)慈英は主戦場は右サイドバックになるが、非常に上下動ができてより攻撃的なプレーをする。我々のチームにとって、そのプレーは非常に有効になると思っている。また、(高橋センダゴルタ)仁胡は学年は下になるが、バルセロナの選手らしいビルドアップ、そして主戦場は左サイドになるが、そこからのゲームメイクであったり、攻撃に絡んでいく部分は自分たちにとっても面白い存在になるのではと考えている」

――U-21日本代表に選出される選手もいると思うが。
「大岩(剛)監督、下のカテゴリーの森山(佳郎)監督ともコミュニケーションを取りながら、我々は最終的にA代表にいかに選手を上げていくのかを考えているので、もちろんU-19は大事な予選、そしてU-20W杯があるが、それ以上にA代表でいかに自分たちが世界で戦っていくのか、そういう選手たちを選んでいくのかというところがもっとも大事だと考えている。もし、大岩監督の方で主力になるのであれば、もちろんそちらに行くべきだと思います」

――モーリスレベロトーナメントには色んなタイプのチームが参加すると思う。この年代で国際大会に出る意味や学んでほしい部分は。
「2年前にスペインのカナリアで対戦させて頂いたスペイン代表。彼らのプレーレベルが基準となって、そこに自分たちがいかに追い付いて、追い越していくかというのをスタートとしてきた。しばらく、海外を肌で感じることはできなかったことが悔しい思いを持つが、ミーティングでもそういう共有をしてきた。ただ、そのスペイン代表がUEFAのヨーロッパ予選で負けているので、そのスペインでも勝てないというレベルのチームがこの大会に出てきているので、自分たちにとってはすべてが、チャレンジできる大会じゃないかなと思う」

――二田はU-18から見ていると思うが、当時とオーストリアに行ってからプレー面で成長できていると感じる部分は。
「成長しているから結果を残していると思う。ただ、彼のポジションで言ったら、数字を残していく部分は非常に自分としては重要視している。なぜなら、自分たちが勝つということを目的とするなら、ゴールを取ることができなければ勝てない。その選手が誰なのかと考えたときに、現在しっかりと数字を残している選手。他の選手もそうだが、FWで選んだ選手はどのカテゴリーでもしっかりと数字を残している選手を選ばせてもらっている」

――国内から海外に行ったときに苦労する面でもあり、成長する面がインテンシティとプレー判断が変わってくる印象がある。その2点の変化の兆しは。
「彼に関しては、元々そういうものを持っている選手だったので、それ以上にパーソナリティーの部分で、オープンにしていることがチームに受け入れられ、ヨーロッパというサッカー文化の中で開花していったのではと思う。元々彼のレベルは高かったと自分は考えている」

――U-19に招集したくても招集できなかった選手は。この世代では中井卓大(レアル・マドリー)が注目されると思うが。
「ゲームに出場している選手、そしてその中でどういうプレーをしていたか。そして、ポジションによってもバランスがあり、その中で今回選んだメンバーはベストだと考えている」

――前田ハドー慈英と高橋センダゴルタ仁胡とのコミュニケーションは。
「ウェブミーティングをするまでは、自分たちもドキドキしていたし、久し振りのスペイン語を駆使して話し掛けた。仁胡はバリバリの関西弁でしゃべってきたし、慈英はしっかりと敬語も日本語で話せるので、彼らは母親が日本の方なので、一生懸命日本語にトライしているところだし、我々も言語のところはしっかりと彼らとコミュニケーションを取れるようにしていかないといけないと思う」

――日本にもルーツを持つ選手を協会として戦略的に探しにいっているのか。狙いは。
「非常に戦略的に、それは日本だけでなく、海外の代表チームはほとんどのチームがそういうことを行っていると思う。今回選んだ2名だけでなく、ルーツを持つ選手は他のカテゴリーにもたくさんいる。その中でも、今回我々U-19として不測しているポジションであったり、勝負してほしいポジション、そしてどのようにアジア予選、次のW杯に向けてチームを作っていくかというところでメンバ―を選ばせてもらった」

――横山歩夢は所属する松本のリーグ戦があり、天皇杯もある。チームから拒否される可能性もあったと思うが。
「彼だけでなく、他の選手たちもこういう状況の中、招集に応じて頂き、感謝しきれない思いがある。横山に関しては、先日天皇杯のときに向こうに伺い、名波(浩)監督にもあいさつをさせて頂いた。監督が代表に対しての、10番を背負っていた方なので、代表に対しての強い思い、そして松本というチームから日本代表選手が選ばれることの重みをものすごく話して頂き、快く送り出して頂けたので、自分にとっては本当に責任のある仕事だと考えさせられた。また、自分も選手として代表に届かなかった部分で言うと、やはり代表選手は本当にすごいものだと思っているし、覚悟を持って選手たちが来てくれるのだと改めて感じているので、本当に招集に応じて頂いたチームの方々には感謝の思いです」

――中村仁郎や北野颯太、升掛友護などは今季のJリーグで活躍度が高いと思うが、彼らへの期待は。
「現時点で旬な選手をしっかりと見て、そしてチームのためになるのであれば、しっかり招集していかないといけないと思う。彼らは常日頃、そのレベルで牙をむいて戦っているのは間違いなくチームにとって必要だと思う」

――中村に期待する部分は。
「中村に関しては代表に携わっている回数も多いし、昨年のU-22のAFCにも自分が監督をやっているときに彼は下の学年であるが呼んで、自分がどういうものを攻撃と守備で指向しているかを彼は理解しているのではないかと思っている」

――横山には10番を託したが。
「彼は今J3で得点を取っている。彼は早生まれなので、なかなか今まで招集されなかった、招集してもタイミングが合わなかったところで言うと、代表に対しての重さを彼は感じてくれていると思うので、期待している」

――この世代は入れ替わりが多いと思うが、今回呼べなかった選手に所属クラブでどういうことを期待したいか。
「今回選んだ選手たち以外にも日本にはたくさんの良い選手がいる。なかなか出場機会を得られない中、期限付き移籍を選んだ選手もいる。ゲームに出ることが、彼らにとっては成長の度合いが変わってくると思うので、自分としてはしっかりと成長を見極め、9月の時点で誰が点を取ってくれるのか、誰がゴールにカギをかけてくれるのかを見極めてセレクトしないといけないと思う」

――今大会で結果だけでなく、活躍を見せることで、選ばれなかった選手の悔しさもより強くなると思う。
「間違いなく、今回選ばれなくて、いろいろな思いを持った選手も出てくると思う。その選手が、今回選ばれなかったから予選に選ばれないといことは、まったくない。今回選ばれた選手たちも、今大会で環境や芝生や食事と、いろいろなものが変わる中で、しっかりと芯を持って戦えなければ最終予選には入って来れないと思う。そういう意味でも、この大会、しっかりとチームとして、選手として強いものを見せられればと考えている」

――どういう部分を見極めながらキャプテンを決めていきたいか。
「自分はクラブチームをやっていたとき、キャプテンの選考基準が変わっていると皆から言われていた。ただ、日本代表のキャプテンは違ったものがあると考えている。特に対外国相手、そしてレフェリーも外国人ということを含めれば、堂々とした態度、そしてスピーチ力などいろんなものを含めて、パーソナリティーが整っている選手でないとキャプテンになれないと考えている」

――コロナ禍で国際大会ができなかったことで、どのような影響があるか。今後の強化で、今までの正常な状況なときのチーム作りとは違うアプローチを考えているか。
「実際に大岩のチームが大会に参加して感じたもの、そして、先日森山監督のチームが海外でゲームをやって難しさを感じたと聞いているので、向こうでしか味わえないものが実際にはあると思う。特にインテンシティの部分で、トレーニングキャンプの中で、トレーニング自体、またミーティング、そして対戦相手もできる限り、自分たちよりも年齢が上のチームと対戦させて頂き、強度は基準を示してきたつもりです。そうは言っても、日常は慣れてきてしまう。海外に行ってスペインはこうだったと言って帰ってきても、続くのは長くても1か月くらい。やはり、普段のパススピードであったり、ボールを奪いに来るというところの部分は、まったく違うのではないかと思っている。久し振りに彼らは未知との遭遇をすると思うので、グループリーグで対戦するアフリカの2チームは、アフリカでも全く違うタイプだし、コロンビアはSBSの決勝で戦ったときには直線的にボールを奪いにこられて前半は本当に吹っ飛ばされまくった思い出しかないので、そういう意味でも今回のフランスに行かなければ分からないものをしっかり彼らに感じてほしいと思う」

――GK3人が全員大学生。Jでなく大学生3人を選んだ理由は。
「GKはJリーグのどこのチームを見ても、若い選手で出場機会を得ている選手は少ない。前回の影山監督のチームのGKも非常にレベルが高かったと思っているが、それでもJリーグの中でレギュラーポジションを取れている選手は非常に少ない。その中で今回U-19の代表として考えたときに、現時点でゲームに携わる回数、時間が多い選手ということで3人を選んだ。3人ともそれぞれ違ったタイプだが、完成している選手たちではないので、今回のヨーロッパ遠征を戦う中で、よりシュートのエリアの広さやゴール前でのタイミングを外すうまさだったりを、それぞれが実際にプレーをして感じることで、それぞれがより自分のストロングポイントであったり、ウィークポイントを克服していることが見れたらと思う。また、川口能活GKコーチが彼らの成長をしっかり見ているので、密にコミュニケーションをとりながら3人を選んだ」

――筑波大の佐藤瑠星はGKになっての経験が他の選手より少ないと思うが、彼のどういう部分を期待しての選出か。
「私はGKにおいて、特にリーダーシップであったり、コーチングであったり、立っているたたずまいがDF、GKにとって大事だと思っている。そういう部分で佐藤はゴールマウスに立ったとき、もちろん大きいのだが、より大きい部分、パーソナリティーの部分も含めて雰囲気を感じさせてくれているので、そういうところを含めて成長してほしいと思う」

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