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チームメイトも思わず頭を抱えた長距離弾 F東京MF橋本「これを武器にしていきたい」

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[11.11 天皇杯4回戦 F東京 2-0 水戸 味スタ]

 毎日、一緒に練習をしているチームメイトにとっても、衝撃的な一撃だった。後半12分、3分前に途中出場したばかりのMF橋本拳人が距離のある位置から放ったミドルシュートがゴールに決まった瞬間をDF吉本一謙は振り返る。

「もう1点欲しいなというところで、今まで見たことがないスーパーシュートが決まった。すごすぎて、何が起きたのか分からず、頭を抱えていましたね。ヨネ(米本拓司)だったら分かるんですけど、拳人だったのでね。良い得点だったと思いますが、ビックリしました」

 良いシュートを打った後には、好感触が足に残ることがあるというが、橋本は「多分、インステップだとは思うんですけど、感触は残っていないんですよね。一番良いところに当たったのかもしれない」と明かした。さらに、かなり距離のある位置だったが? と聞かれると「全然、距離感覚も分からないまま…。(ゴールが)目の前にあるかと思って打ちましたが、意外と遠かったみたいです」とおどけた。

 前半14分にFW前田遼一のゴールで先制したF東京だったが、J2の水戸ホーリーホックを相手に、なかなか追加点を挙げられないまま時間が推移した。低い位置ではあったが、ボールを回される時間帯もあり、冒頭の吉本のコメントのように早く2点目が欲しいところだった。

 そのゴールを後半8分から出場した橋本が挙げた意味は大きい。先発出場した7日の柏戦(1-0)では、チーム最多の5本のシュートを放っていた。そのときから、良い感触があったのだと話す。

「レイソル戦でも、前に入っていくとか、良いタイミングでシュートを打てたり、遅くなったりした場面もありましたが、シュートに入る形がすごく感覚的に良かったんです。今日は思い切って打ってみようというのは、頭に入れて試合に入りましたし、レイソル戦のあとも『もっと早く打っていいぞ』と言われていたので、そこは意識して入りました」

 中盤の底でプレーする以上、長い距離のシュートを決めたいという気持ちは強かったと明かす。「ミドル(シュート)で決めたいというのは、前々から思っていましたし、ボランチでも点を取れるプレーをしたいと思っていました。ボランチで点を取るのはミドルが多いと思いますし、そこを武器にしたいと思っていました。まず、初めてミドルシュートで入ったことでうれしい気持ちと、もっともっと練習してこれを武器にしていきたいなと思います」。

 この試合にはU-22日本代表の手倉森誠監督も視察していた。22歳の橋本は、「聞いていました」と、五輪代表監督が来場していた。だが、「インパクトを与えられていたらいいですけど、そこまで意識せずに、試合に出て、常に良いパフォーマンスをしていれば目につくと思うので。1回で終わらずにもっともっと続けて行くことが大事かなと思います」と、この日のゴールに満足せず、継続的な活躍を見せることで、新たなステップにつなげたいと話した。

(取材・文 河合拓)

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