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京都を天皇杯4強に導いた新外国人パウリーニョ、圧巻2発は「あの瞬間にフィーリングが出た」

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京都サンガF.C.FWパウリーニョがデビュー戦2ゴール

[9.7 天皇杯準々決勝 京都2-1東京V 味スタ]

 京都サンガF.C.を11年ぶりの天皇杯ベスト4に導いたのは、この試合がデビュー戦となったFWパウリーニョ。鮮烈な2ゴールを挙げてみせた。「みんなにとってすばらしい試合だった」と喜びを語った。

 京都は8月10日に24歳のブラジル人FW加入を発表。クラブリリースでは「私に京都でプレーするチャンスを与えて下さったことに対し、また、チームが望む目標を達成するお手伝いが出来ることに感謝したいと思います」とコメントし、「日本でプレーするという夢をかなえることが出来ましたので、京都をチャンピオンに導けるよう全力を尽くします」とも伝えていた。そして、まさにその一助となる活躍をデビュー戦で見せる。

 パウリーニョは4-3-3の左ウイングで出場。前半21分、DFメンデスの縦パスは相手選手に当たりながらも、最前線のパウリーニョへ。ワンタッチ目でプレスに来ていたマークをはがすと、DF谷口栄斗のスライディングも再び切り返しでかわす。「非常に説明するのは難しい。あれが自分のフィーリング。それがあの瞬間に出たゴールだった」。右足シュートをゴールに決め切り、初出場初ゴールとなる先制点を挙げた。

 さらに後半8分、京都は右サイドからカウンターをスタートさせると、逆サイドに待ち構えるのはパウリーニョ。再びPA内に入り込み、警戒したMF加藤弘堅とDF山越康平の狭い間を縫うように右足シュートを放つ。ゴール右隅に流し込み、2-0と点差を広げた。

 その後、パウリーニョは後半18分に途中交代。京都は同45分に失点するが、そのまま逃げ切って2-1で試合終了。準優勝となった2011年以来のベスト4進出を決めた。

 京都はこの試合がデビュー戦となったパウリーニョとMFアラン・カリウスも含め、5人の外国人選手を起用。チョウ・キジェ監督は「自分たちのチーム力を上げるための組み合わせを考えたら、5人が一気にピッチに立っていただけ」と起用理由を明かしつつも「これから臨むリーグ戦と天皇杯に対して、非常に明るい材料をもたらしてくれた」と選手たちを称える。

 特にパウリーニョに対しては「あの場面で、あの状況で得点を入れるというところは持って生まれた才能。王国ブラジルから来た落ち着きを改めて感じることができました。それを周りがどう生かすか。うれしい悩みがひとつ増えた」と目を細めた。

 初めての実戦での活躍にはパウリーニョ自身も手応えを口にする。「いいゲームだった。なかなか出場機会がない選手として出て、それで結果も得ました。試合のリズムも自分も含めて得ることができた。それで勝てたことはすばらしい。みんなにとってすばらしい試合だった」。

 雨中にかけつけたサポーターを魅了した決定力には自信も語る。「ブラジル人でプロになる選手は、各々特長を持ってプロになる。プロになる前は、小さいころからボールを蹴ってサッカーをしている。そこでは、いかにタイトなスペースで道を見つけていくかということを、みんなやってきていて、うまいことできた人間だけがプロになる。そういう感覚があの瞬間に出た。そこが自分の特長」。タイトルの懸かった大舞台。まさに最高のお披露目試合となった。

(取材・文 石川祐介)
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