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[選手権]「白黒付けたかった」、鵬翔イレブンは両校V回避を喜ぶ

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 白黒ハッキリ付ける。降雪のため19日に順延された第91回全国高校サッカー選手権決勝。鵬翔(宮崎)のDF矢野大樹主将(3年)は「決着を付けて優勝したいと思っていた。延期はうれしい」と、報道陣の取材に答えた。

 この日の中止決定を前に、すでに東京・国立競技場に到着していた選手たちは、真っ白な雪に覆われたピッチを見て呆然とした。「こんな中でサッカーをやるのかなって」と本音を語るのはMF小原裕哉(2年)だ。奈良出身のFW中濱健太(3年)は「自分は雪の中で試合をしたこともあるけど、みんなはないので。宮崎自体、雪が降らないので……」と認める。

 98年1月8日に行われた東福岡(福岡)対帝京(東京)の全国高校選手権決勝は大雪の中、試合が行われたことで有名だが、雪の中で試合をした経験がない鵬翔にとって、強行開催は厳しい条件となったはず。さらに「両校優勝は絶対に嫌だとみんなで話していた」(中濱)と、順延は理想的な決定だった。

 昨年11月4日の宮崎県大会決勝で左膝半月板を痛め、12月7日に手術を受けた中濱はぶっつけ本番で大会に臨み、1回戦から準決勝まで全試合途中出場が続いている。膝の状態は日を追うごとに回復していることもあり、「自分としてはよかった。1週間あれば状態はさらによくなる。ドリブルの感覚を戻したい」と意気込んだ。

 もしも両校優勝となっていれば、このチームで試合をするのも12日の準決勝が最後となっていた。2年生の小原は、順延を聞いたとき「また3年生と試合ができる」と、まず思ったのだという。「3年生と長く試合をできるし、一緒に生活できる。(順延は)チームにとってはプラスだし、(京都橘と)白黒付けたかった」。勝って最高の形で3年生を送り出す。チームはあらためて一丸となり、宮崎県勢初の全国制覇へ突き進む。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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