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[選手権予選]慢心なき青森山田が光星の挑戦を退け、青森20連覇達成

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決定的な3点目を決めて祝福される青森山田高DF小山新(中央)。守備陣の充実も光る

[11.6 全国高校選手権青森県予選決勝 青森山田高 4-0 八戸学院光星高 青森県総合運動公園陸上競技場]

 11月6日、第95回高校サッカー選手権大会青森県予選の決勝戦が青森県総合運動公園陸上競技場にて開催され、青森山田高八戸学院光星高に4-0で勝利。20年連続22回目となる全国切符をつかみ取った。

「天候もずっと悪かったし、県予選は難しいところがある。前の日に星稜高や四日市中央工高が負けていて、自分たちは絶対に負けないようにと思った」(MF住永翔)。他県から聞こえてくる名門校の敗報を教訓戒めとしながら、この決勝戦に臨んだ。同カードだった昨年の決勝では八戸学院光星が青森山田に0-1と大健闘。「うち(青森)より差のある県が出てきているでしょう」と青森山田・正木昌宣コーチが実感を込めて語ったように、油断していいような差はない。王者として受けて立つのではなく、「立ち上がりから全員で前に出よう」(住永)と攻めの姿勢を確認して試合に臨んだ。

 前に出る姿勢は開始2分にしてゴールを生み出した。ボールを奪ったアンカーの住永は「取った瞬間に縦一本をまず意識した。FW鳴海彰人が浮き出しているのもわかった」と前方へフィード。普段は「イチかバチかのパスより、100%しっかり繋ぐことを意識している」選手だが、この瞬間は「ここだと思った」と迷わなかった。そして受け手の鳴海も迷いなし。相手CBの位置取りを観ながらの動き出しからボールを受けると、「イメージどおりにファーへ」見事に流し込んでみせた。

 この1点は大きな意味を持った。以降の時間帯は光星もFW仲谷樹を起点に、技巧とキレのあるドリブルが魅力のMF吉田幸生が絡むカウンターから反撃を見せるが、U-19日本代表GK廣末陸の広範な守備範囲にも阻まれてゴールに迫り切れない。14分、20分、28分、29分とこの2枚を軸にした攻めが形になりかけたが、いずれもゴールネットを揺らせず。「苦しい時間帯」(住永)だったのは確かだが、廣末は「決して怖くはなかった」と言う。

 すると38分、前半途中から右MFに移っていた嵯峨理久のハイクロスに対して、再び鳴海が頭で合わせて、2点目が生まれる。さらに後半立ち上がりの6分にも、FKのこぼれ球をDF小山新が蹴り込んで、勝負あり。後半16分には千葉内定のU-19日本代表候補MF高橋壱晟が左足シュートを突き刺して4-0として、そのまま試合終了となった。

 終わってみれば、前半立ち上がりと終了間際、そして後半立ち上がりという重要な時間帯でキッチリ点を取り切る青森山田の強さが光った。黒田剛監督は番狂わせの多いサッカーというスポーツではなかなかできない20連覇という快挙について「いつも相当、石橋を叩いて渡るんだ」と笑いつつ、「事故の起こるシチュエーションを絶対なくすようにしている」と秘訣を語った。

 慢心なく試合に入り、抜け目なく試合を運び、しっかりと試合を締めた戦いぶりは、さすが高円宮杯プレミアリーグEASTで首位を走るチームと言うべきか。選手権予選突破というノルマを達成したチームは、次の目標を「残り全部勝てば優勝できるし、何が何でもという気持ちでいる。今まで以上のパワーを出していく」(住永)と高円宮杯初制覇に定めている。

(取材・文 川端暁彦)
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