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[選手権]國學院栃木が22年ぶり県決勝に進出!「栃木県の勢力図に風穴を」自慢のパスサッカーを貫き、26年ぶり全国出場目指す:栃木

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國學院栃木がPK戦を制した

[11.5 選手権栃木県予選準決勝 國學院栃木2-2(PK5-3)佐野日大 栃木グ]

 第102回全国高校サッカー選手権の栃木県予選準決勝で、佐野日大高と対戦した國學院栃木高が2-2から突入したPK戦を5-3で制して決勝へと勝ち上がった。11日の決勝では矢板中央高と対戦する。

 昨年(0-1)、一昨年(1-2)と2年連続して敗れている佐野日大へのリベンジマッチ。この日も先制される試合になったが、中田勇樹監督は慌てることなく、磨いてきたパスサッカーを貫けば、結果がついてくると思っていたという。「PK戦も全然慌てなかった。データも入っていたし、外す感覚がなかった。この子たちは焦った時にミスが出るので。その点でも焦っていなかった」。戦うごとに逞しさを増すイレブンを見て、目を細めた。

 開始6分でスコアが動く試合になった。佐野日大は左サイドからDF飯田瑛也(3年)がロングスローを入れると、GK菊田謙心(3年)に防がれるが、こぼれ球をDF大垣拓海(1年)が頭でねじ込んで先制に成功する。その後も前半15分にFW山口大惺のクロスからMF青山航(3年)が放ったシュートはわずかに枠外に外れたが、リードを握ったまま前半を折り返すことに成功する。

 しかし國學院栃木もジリジリと巻き返しをみせる。特に左MFに関根輝大(3年)を投入してからは、攻撃面が活性化。ゴール前でのチャンスが生まれだす。すると後半14分、左サイドを関根が崩して中にパスを出すと、FW齋藤大翼(3年)の落としで裏に抜けたFW辻惟杜(3年)が左足で流し込む。さらに同21分にもMF河治大雅(3年)のシュートのこぼれ球に反応して相手DFの裏に抜けた辻が右足でニアサイドに蹴り込んで、一気に試合をひっくり返した。

 ただ前年王者の佐野日大も流石の強さをみせる。後半33分、FW高橋颯(2年)がドリブルで運んだボールを受けたMF坂本勇(2年)が左サイドから鋭いクロスを入れると、ニアでFW生島光貴(3年)が頭で合わせて同点に追いつく。80分の戦いを終え、10分ハーフの延長戦でも決着がつかなった試合は、PK戦で勝ち上がりを決めることになった。

 そしてPK戦。鍵を握ったのが「データ」だった。2戦連続の完封勝ちで勝ち上がっていた國學院栃木に対して、佐野日大は準々決勝の宇都宮短大附属高戦でPK戦を行った。少なくともその時に蹴った選手のデータがあったことが、國學院栃木のイレブンを安心させていた。そして守護神・菊田がいきなり1人目をストップ。流れを呼び込むと、キッカー全員が成功させて決勝進出を手繰り寄せた。

 國學院栃木が選手権の県予選で決勝に進出するのは、ガンバ大阪などで活躍した武井択也さんが在学していた平成13年度の第80回大会以来、22年ぶり。さらに全国出場を決めるとなれば、中田監督が高校1年生だった平成9年度の第76回大会以来、26年ぶりになる。

 近年は矢板中央と佐野日大が県で覇権を争い、全国大会でも結果を残してきたが、中田監督は栃木県のサッカーを底上げのためにも、國學院栃木の決勝進出は意義があると強調する。そして「ここで倒さないと栃木県の勢力図、みんなが戦う環境が出来ない。少子化の中で、プレーできる環境、みんながうまくなっていく環境を作るためにも頑張りたい」と闘志を燃やす。

 PK戦の活躍で勝利に導いた菊田も「縦に早いサッカーをするイメージが栃木県にはあると思うけど、僕たちはボールを回して、ゆっくり攻撃することを目標としている」と話すと、「そういったサッカーを全国で見せつけたい。歴史を塗り替えたいです」と鼻息を荒くした。

GK菊田謙心(3年)がPKストップをみせた

(取材・文 児玉幸洋)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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