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[大学選手権]中京大の堅いDFを崩し切った明治大がPK戦を制す

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[12.19 大学選手権1回戦 明治大 3-3(PK4-1) 中京大 川口]

 平成24年度 第61回全日本大学サッカー選手権が19日に開幕した。川口市青木町公園総合運動場の第2試合では、明治大学が中京大を3-3からのPK戦で下し、8強進出を決めた。準々決勝では福岡大と対戦する。

 試合を動かしたのはまずは中京大だった。前半4分、FW中村亮太(4年=中京大中京高)のヘディングシュートはGK三浦龍輝(2年=F東京U-18)が防がれるが、こぼれ球をFW南部健造(2年=東京Vユース)が押し込み、幸先よく先制に成功した。

 不意を突かれた形の明治大だが、その後は一方的に攻め続けた。しかし、「あれだけブロックを作ってくる相手を崩すのは難しい」とMF三田啓貴(4年=FC東京U-18、FC東京内定)が振り返るとおり、ボールは持たせてもらえても、なかなかシュートまで持ち込ませてもらえない。前半ロスタイムにオウンゴールで同点としたものの、何か後味の悪い前半となってしまった。

 後半に入っても攻める明治大、守る中京大の構図は変わらない。だが中京大に思わぬ形で1点が転がり込む。後半14分、中京大はPA内で中村が倒されPKを獲得。これを南部が落ち着いて決めて、再び勝ち越しに成功した。

 押し込みながらも、またしてもビハインドを背負うこととなった明治大。だがここからは交代策が見事に的中しだす。まずは後半24分、FW山村佑樹(4年=F東京U-18、水戸ホーリーホック入団内定)を下げて、MF石原幸治を投入。FW阪野豊史(4年=浦和ユース、浦和レッズ入団内定)の1トップ、三田をトップ下にして、サイドに張っていたMF岩渕良太(4年=F東京U-18、松本山雅FC入団内定)をボランチに据えた布陣で同点ゴールを目指した。すると同41分、ゴール前で三田が粘ってこぼれたところに後ろから走りこんだ岩渕が豪快に押し込んで、起死回生の同点ゴールを奪ってみせた。

 神川明彦監督が明治大の長所だと語る「総合力」は延長に入ってからも輝きを放つ。迎えた延長後半7分、左サイドを途中出場の石原が強引なドリブルで突破。クロスを上げると、ファーサイドで待ち構えたこれも直前に投入されたばかりのMF上松瑛(3年=洛南高)に届く。上松は落ち着いて左足を振り抜き、この試合初めて明治大がリードを奪うことに成功した。

 だがまだこの試合は終わらなかった。パワープレーに出る中京大は延長後半ロスタイム、PA内にハイボールを入れると、混戦の中、中村が押し込み、勝敗の行方をPK戦に持ち込んだ。

 PK戦は先攻の明治大が4人全員が成功したのに対し、中京大は1人目の中村のシュートをGK三浦が防ぐなど、2人が失敗。中京大の4人目以降が蹴ることなく、PK戦は終了した。

「中京大は夏も冬も全国大会に出ている。全国大会のムード、雰囲気に慣れている」と中京大の試合巧者ぶりを称えた神川監督。自チームに関しては、「3点目取った時も喜びすぎ。まだ時間はあったので、4点目を取りに行く姿勢を見せてほしかった」と厳しい意見を口にした。だが次に進めたことには変わりはない。「2日間ありますので、しっかり休んで、メンバー交代も含めて総合的に戦いたい」と3日後に迫った福岡大との準々決勝に頭を切り替えていた。

 現在の主力となる4年生が1年生の時、3年前の優勝時も1回戦と準々決勝はPK戦に勝利して勝ち上がった。次の準々決勝はその3年前の決勝で対戦して以来の福岡大が相手となる。粘り強く勝ち上がるのが、明治大の真骨頂。きょうの勝利を“吉兆”としたいところだ。

[写真]明治大の3点目、左足を振り抜く上松

(取材・文 児玉幸洋)

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