beacon

[フットサルW杯2012]10/27 ウクライナ代表戦後 FP木暮「ヒザのケガとはお別れできた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.27 親善試合 フットサル日本代表 3-1 フットサル ウクライナ代表 旭川大雪アリーナ]

 フットサル日本代表は27日、ウクライナ代表との親善試合を行い3-1で勝利した。11月1日に開幕するフットサルW杯を前に、最後の実戦となったこの試合では、FP三浦知良(横浜FC)のフットサル代表、初ゴールも飛び出している。AFCクラブ・フットサル選手権で負傷していたFP木暮賢一郎は、そのケガの影響もあり、所属する名古屋オーシャンズでは出場時間が限られていた。なかなかコンディションが回復しない中で、ブラジル戦、ウクライナ戦とプレーし、ウクライナ戦では2アシストを記録。周囲に完全復活を印象付けた日本フットサル界のキングは、自身も確かな手ごたえを感じ取っていた。

以下、ウクライナ戦後のFP木暮賢一郎(名古屋オーシャンズ)のコメント

―3-1の勝利だったが?
「ブラジル戦で非常に良い試合もできましたし、逆にそのことで本当に今日の試合は勝たないといけなかった。『勝ってW杯に行こう』とチーム全員で話しをしてきたので。ブラジル戦よりも重要なゲームで勝てて、良い形でタイに入れると思います」
―今日の試合が大事だった理由は?
「ブラジル戦は、いろいろな意味で注目されました。W杯の初戦でも当たるし、フットサルを知らない人が、数多く見に来てくれているという状況で、結果的には引き分けでしたが、フットサルの魅力とか、そういうことが伝わるゲームができたと思います。ただ。目的はW杯でどこまでいけるかっていうこと。そう考えると、今日のウクライナ戦が、前回ああいう試合をしたから、より重要になるとみんなでも話していました。『勝ってタイに行こう』『ここで負けてではなく、勝ってタイに行こう』と話をしていたので。そういう意味では後半にもちろん苦しい時間になりましたし、W杯ではブラジル、ポルトガルという強豪とやるので、まだまだ修正をしていかないといけないと思います。それでも勝利してタイへ行く、ということは果たせたので、そういう意味では非常に良い形でタイに行けると思います」
―自身のプレーの手応えは?
「チームをコントロールしていくっていうのが自分の役割だと思うので、もちろんチームが勝ったということで良い部分もたくさんあったと思いますが、やはり本番で上に行くためには修正しないといけない点もたくさんあったと思います。特にリードしている状態や、相手のプレスに対して、もうちょっと自信を持ってパスを回して、自分たちのポゼッションを上げていくこと。そこは修正点だと思います」
―自身の中で意識していることは?
「チームメイトに安心感を与えることもそうですし、相手あってのスポーツなので、うまく攻守にわたってコントロールして、『こうやっていけばいけるよ』ということを、プレーであったり、言葉でも伝えていければなと思います」
―かつては点取り屋だったが?
「カズさんともそういう話はするんですよね。もちろんずっと(点取り屋のまま)行ける人もいると思います。でも、僕はスペインへ行かなかったら、そういうこと(点取り屋以外のプレーの仕方)を学べなかった。スペインへ行かず、昔のままでいれば、今この状況で代表でプレーできていたかは分からない。いろいろな分かれ道があった中で、今こうしてまだ日の丸を付けてやれている」
―カズ選手から得ているものは大きい?
「カズさんの存在は、自分にとって大きい。経験値であったりっていうのは、僕も勉強になるし、話をしていても分かるというか、海外での経験であったり、日本を引っ張っているということも。そういう深い話をして、自分も勉強になっているし、そういうことも含めて、今の自分はベストだと思ってやっている。ダメなら呼ばれないだろうし、ゴールだろうと、アシストだろうと、そういうものがあっても、チームに必要なもののある選手じゃなければ呼ばれないと思う」
―ケガもあったが、状態は上がってきた?
「ケガをしたのは事実ですし、名古屋でも出場時間が短かった。正直、不安と言うか、練習でのコンディションとゲーム勘は違うので。リーグ戦の間、間にあった代表合宿でも、在原コーチに実際に外から見ていてどうかと、聞いていました。自分では練習で動けていると思うけど、外から見ている人の感想っていうのが、それと一致しているか。自分では良い状態と思っていても、ゲーム勘的にどうか。名古屋ではゲームを含めて、自分の状態を計れる状態ではなかった。だから代表合宿では、そこについてナーバスになっていたというか、自分に心配がありました。ブラジル戦も、名古屋で試合に出ていたとはいえ、自分では出ていたと数えられるほどのできでも、出場時間でもなかったし、正直不安はありました。まずブラジル戦で長いプレータイムで最低限の役割をこなせたと思います。リハビリしてずっとやってきて、ケガする前より良い状態で復帰すると決めていたのですが、実際にゲーム勘がやっと一致した。だから、個人的にはブラジル戦で自分のヒザとのケガとはお別れして、やれると思っていたので。そういう意味では、必ず今日のゲームでは吹っ切れて出来ると思っていたので。アシストだけでなく、試合にも勝てた。今の自分の仕事は、チームが勝たないと報われないと思う。川ちゃん(川原永光)にしても、守備の選手、僕らゲームを組み立てる選手は、チームが勝たないと役割を果たせたと言われない。昔の自分なら、4-7で負けても、自分が4点取れば別にいいやくらいの気持ちがあったと思うけど、今はそういうこともない。自分のやっていることを成果としてできるのは、チームの勝利だと思う。そういう意味ではブラジル戦は引き分けでしたけど、2試合を終えて1勝1分けというのは、本当に良かったと思う。自分自身、ケガがなければ、そうは思わなかったでしょうが、リーグの最後もほとんど試合に出られなかったので、個人的にも良い2試合にできた。良い相手から良い結果を出せたので、自信を持って、W杯に入っていけると思います」
―後半に前に運べなかったのは?
「それがやはり最大の課題だと思う。守備面では、ブラジル戦、ウクライナ戦と押し込まれる時間もありましたが、昔より耐えられるようになりましたし、全員でカバーをしながら、ラインを押し上げてっていうことが、疲れている時間でも出せるようになっている。ミゲル監督も自分たちの持ち味はDFとセットプレーと言っていて、それは日本の強みとして結果として出せた。あとはもう一つの強みであるポゼッション。リードしている相手に圧力を掛けられたときに、どれだけかいくぐることができるか。シュートまで行けなくても、今よりもパスを2本、3本、4本つなげれば、相手がボールを持つ時間を減らせるし、自分たちも落ち着くことができる。当然、相手もイヤだと思う。そこは強みとして、この3年、4年やってきていますが、上げれば上げられるに越したことがないので。そこは自分の役割でもありますし、そういう大切さ。もちろん、取られればピンチになりますが、もっと自信を持って、相手のプレスをかいくぐって、自分たちがボールを持っている時間を長くすることで、守備の時間を減らすことになる。いくら良い守備ができて、良いカウンターが出せたとしても、守る時間が長ければ体力的に厳しい。最大のカギはDFをする時間を減らすこと。仮にゴールまでいけなくても、自分たちが長くボールを持つことで、DFする時間を減らすことがW杯で勝ち抜くキーになると思う。そういう意味で後半ポゼッションという点は苦しかったと思うし、ビデオとかを見て、つなげるところ、つなげないところ。サポートひとつとっても、細かい所をあとは詰めていくしかない。そういう中で自信を持って、行けるよっていうことを自分が示していく。声かけたりして。そういう連係をつくっていくことが、残りの数日間で、自分が修正できるポイントかなと思います」
―カズ選手の存在感は?
「代々木にしても、今日にしても、僕も国際試合を何十試合と戦わせてもらいましたし、アウェーでもやってきましたが、この2試合は本当に日本のホームでやっているなという雰囲気を感じました。カズさんのゴールも、カズさんだけじゃなく、僕ら代表、選手スタッフ、見に来てくれたお客さん、来れなくても注目してくれている方。全員が、カズさんのゴールを待っていた。みんなが望んでいたゴールだと思う。素晴らしいことだと思いますし、新しくフットサルの未来をみんなでつくっていくうえで、非常に重要なゴールだったと思います。カズさんが来て2試合、良いゲームができました。方向性としては、最初から僕はポジティブなことしかないと思っていましたが、それをこの2試合で証明できた。あとは本番でさらに証明できるようにしていくことが大事かなと思います」
―2試合を経て、カズ選手のフィット具合は?
「ピッチの中っていう面では1日1日、良いコミュニケーションをとって、カズさん自身のプレーもそうですし、グループの中でしっかり全員がそれぞれの役割を果たしていて、良い雰囲気です。ピッチ外でも、カズさんは積極的にコミュニケーションを取ってくれますし、自分もいろいろな話しをすることがありますし、どうやったらチームが良くなるかということは、非常に気にしてくれています。ピッチ内外ともに良い雰囲気でいるので、自信をもってW杯に行けると思います」
―本人は「新人なのでカズダンスはやめておく」と言っていたが、主将は促す?
「どうですかね。今日も、間違いなくカズさんがゴールしてくれることで雰囲気が良くなりましたし、W杯でもゴールだけでなく、カズさんにしかできないそういう役割があると思うので。僕らも雰囲気を変えてほしいですし、そういうパフォーマンスで雰囲気が良くなるのであればやってほしいと思います」
―強豪と2試合を戦って、可能性は?
「監督も『自分たちの強みはDFとセットプレー、そしてポゼッション』という3つを挙げていました。その中のDFとセットプレーに関しては、どこの国を相手にやっても強みを出せる。あとは先ほども言ったポゼッションという部分をもう少し修正できれば、どの国とやってもいい勝負が出来ると思う。本当に一つでも上に行くチャンスだと思うので、残りの数日間で、良い雰囲気、良いグループをつくって初戦に臨みたいなと思います」
―あらためて目標は?
「予選突破もそうですが、フットサルというスポーツが、より日本で愛されて、多くの方に知ってもらうチャンスだと思う。そういう強い使命を持って臨みたいので、本当に多くの方に応援してもらいたいなと思います」

(取材・文 河合拓)

TOP