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[フットサルW杯2012]黒星デビューも前を向くFPカズ「みんなを盛り上げることが、僕の仕事」

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[11.1 フットサルW杯2012 ブラジル4-1日本 コラート]

 王国ブラジルが見せた変化を、FP三浦知良(横浜FC)も感じ取っていた。10月24日に行われた国際親善試合で、3-3と通算13戦目にして初めてブラジル代表と引き分けていた日本代表は、1日に開幕したフットサルW杯で、ブラジルと再戦を果たした。

 前半5分にピッチに立ったカズは、同7分にはゴールから、やや距離のある位置から、積極的にシュートを放った。「チームとして消極的な部分もあったから、自分が入ったときは積極的に、精一杯やろうと思った」と、この場面を振り返っている。

 チームが消極的になっていたのには、理由があった。1週間前の対戦で活躍したFP逸見勝利ラファエル(名古屋オーシャンズ}が厳しくマークされ、思うようなプレーをさせてもらえなかったからだ。「言えるほどフットサルを理解しているわけではないが」と前置きをしたカズだが、ブラジルの変化を肌で感じ取っていた。「僕なりに感じたのは、すごく組織だった守備をして、固く入って来たなと。それだけ日本を警戒してきたのではないかなと感じました」と、続けた。

 決して長くはない出場時間で、メッセージ性の強いプレーを見せた。前半18分にも、左サイドでボールを受けると1対1の場面でまたぎフェイントを見せて、縦に仕掛けた。シュートはブロックされたが、「勝負しようかなと思って。それまでそういう仕掛けもなかったから、仕掛けていきたかった」と、最後まで仕掛ける姿勢にこだわった。

 後半に入ると、リスクを冒すことを嫌ったミゲル・ロドリゴ監督の指示もあり、出場時間は短くなった。それでも「監督の意図した時間の使い方は、ベンチから見ていても、その指示に従っていたと思います」と納得の表情を見せる。

 カズ自身にとってのW杯は黒星スタートとなった。だが、チームメイトたちから話を聞き、フットサル日本代表の歴史を学んだ11番は、報道陣に説明するように語った。

「前回大会では、開幕前の調整から含めて、リオに2週間前くらいから入っていて、試合の時にはメンタル的にもやられている部分があったらしいんです。結局、試合の入り方も悪くて、初戦では1-12でブラジルに負けてしまい、その敗戦を引きずってしまった結果、2戦目のロシアにも大差を付けられた。初戦を1-12で負けたことで、雰囲気が良くなくなったという話をみんながしていたし、そういうことはなくそうと話していたので、(得失点差)マイナス3ですけど、ずっと雰囲気も良く来ていたし、選手も下を向いていない。全員、今日以上の試合をしないと次のポルトガルに勝てないことは分かっています」

 1週間前に引き分けた相手だったからこそ、残った悔しさもある。それでもリーグ戦は続く。前を向き、進んでいくしかない。カズ自身も、チームを前に進ませることが、自分の役割だと強く自覚している。

「当然、みんなのモヤモヤした気持ちもあるでしょう。ラファも『固かった。気持ち良くプレーできなかった』と言っていましたが、そういうストレスがあったのでね。明日、明後日でメンタルの部分を盛り上げていくことが大事ですし、それが僕の役目でもありますから。みんなを盛り上げていきたいなと思います」

 試合中、日本のファンだけでなく、ブラジルのファンからも、カズは大声援を受けていた。多くのスポットライトを当てられても、カズはチームの一員であるというスタンスを決して崩さず、ただ日本の勝利のために、邁進し続ける。

(取材・文 河合拓)

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