beacon

[フットサルW杯2012]勝ち点4に胸を張る FP森岡「今回は、まだ帰らないよ」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.7 フットサルW杯2012 日本代表 4-2 リビア代表 フアマーク]

 ピッチ上の豪胆な姿とは裏腹に、FP森岡薫(名古屋オーシャンズ)は繊細な男だ。ポルトガル戦後で代表初ゴールを含む2ゴールが決まってからも、記者が原稿を書きやすいように気遣って「ケチャップが出た!!」と言ってくれた男は、その翌日、ファンから差し出されたケチャップのビンにも笑顔でサインをしたという。

 周囲に対して、しっかりと気を配る男は、リビア戦、W杯における初のスタメン出場に燃えていた。だが、序盤は早く点を取りたいという気持ちが、空回りしたと認める。「僕も含めて早く試合を決めてやろうという気持ちが先走って、それが苦しい戦い方になったと思う」。

 この日、日本は4点を挙げたが、森岡のゴールはなかった。もちろん、高い位置でも相手のプレッシャーを苦にしないボールキープや、身体能力の高さを生かしたプレッシングなど、攻守に貢献した。それでも、何よりも得点が求められていることを理解している金狼は、「今日も(ゴールを)取りたかった。でも、さらに大事な時、必要な時に取ります」と、気持ちを切り替えた。

 日本代表はグループリーグで3位となり、ワイルドカードで決勝トーナメントに進出することが決まった。森岡は「みんな選手がチームのために戦う気持ちでいるから、こういった結果になったと思う。誰かが良かったとかではなく、ベンチにいた選手も、コートにいた選手も、励まし合いながら、この結果に持って行ったと思う。やっぱり今日の試合も大事だったと思うのですが、それがポルトガル戦に出たと思う。ポルトガル戦で引き分けられていなかったら、今頃は帰りのことを考えていた。だからこそ、あの勝ち点1っていうのは、歴史的だったと思う」と、胸を張った。

 そして、フットサルW杯を3大会連続取材している記者に対して「(これまでは)もう日本代表は、ここで帰っていたでしょ? 今回は、まだ帰らないよ」と茶目っ気たっぷりに話した。

 決勝トーナメント進出は日本フットサル界にとって、まだまだ通過点だと森岡は言う。「僕は初のW杯でこういう経験をさせてもらっているので、本当に幸せに思いますし、光栄に思います。これは歴史の始まりだと思いますよ。4年後、日本代表はもっと強くなっていると思いますし、世代が変わっても、もっともっと良い選手がたくさん出てくると思います」。そう言った後で、33歳にして、キャップ数5の新人は、再び記者の笑いを誘おうとした。「でも、まだまだ僕は、やりますけどね。違うか(笑)」。周囲に笑顔をもたらすために、森岡は日本代表初の決勝トーナメントでゴールを目指す。

(取材・文 河合拓)

▼関連リンク
フットサルW杯2012特集ページ

TOP