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日本vsニュージーランド 前日練習後のザッケローニ監督会見要旨

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 日本代表は4日、試合会場の東京・国立競技場で公式練習を行い、5日のニュージーランド戦に向けて最終調整した。この日からMF本田圭佑(ミラン)、DF酒井高徳(シュツットガルト)、GK川島永嗣(スタンダール・リエージュ)も合流したが、DF今野泰幸(G大阪)は微熱があるため宿舎で静養し、グラウンドには姿を見せなかった。

以下、練習後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―長谷部と内田、柿谷がいない試合になるが、代わりに出る選手にどんなプレーを望むか?
「ある選手が出れないということは、ある選手にチャンスが回ってくるということ。そういう選手がどこまでできるか期待しているし、ポジティブに捉えるようにしている。親善試合だし、選手が数人欠けているが、その代わりに数人の選手を見られるという気持ちでいる。当然、チャンスを得た選手は現時点で自分がどの位置にいるのかをアピールするのにいい機会だと思う」

―本田のように移籍後、結果が出ていない選手や、香川のように出場機会の少ない選手もいるが、この2人にどんなプレーを期待しているか?
「まず、少なくともここ日本では出場機会に恵まれるだろう。それぞれの所属クラブの監督も、明日のゲームでの彼らのパフォーマンスに注視していると思う。当然、プレーする機会にも恵まれるだろうし、代表チームに貢献するチャンスにも恵まれるだろう。それぞれの所属クラブの監督に向けてメッセージを発信できるチャンスの場でもあるのではないかと思う」

―本田がロシアからイタリアに移籍したメリットをどんなところに感じているか?
「どういったところが成長したかまでは把握していないが、私の知っている限りのセリエAは世界でも非常に難しいリーグであるし、そういったリーグでもまれることで、選手としても非常に成長できるリーグだと思う。数年前まで、他のリーグで活躍したスター選手がイタリアに来ると、慣れるまでに苦労したし、逆にセリエAである程度通用した選手は、スター選手に限らず、他のリーグに移籍すると、それ相応の結果を残すと言われてきた。香川にしても本田にしても、少し我慢が必要だし、同時に焦る必要はないと思っている。マンチェスターは監督も代わり、新体制になったこともあって苦労していると思う。プラティニほどの有名な選手でも実力を示すのに半年の時間を要した。ジダンも慣れるまでに、それ相応の時間がかかった。現在のミランは、さらに監督が代わるということもあった」

―攻撃面で試したいことは? キャプテンは決まっているか?
「明日のキャプテンはまだ決めていない。最後に試合をしてから3か月以上時間が空いての合宿で、昨日到着した選手も、今日到着した選手もいる。この試合が終わると、また長い期間、代表として試合をできない。なぜこういうことを言うかというと、過去を振り返っても、2月末や3月の頭に行われた試合ではこれまでも自分たちの本来の姿を見せられなかった。明日の試合はそこから学んで、いいゲームができればいいなと思っているが、海外組はシーズン終盤に入り、ここからラストスパートという状況で、国内組はJリーグが始まったばかり。こういう状況を踏まえると、チームの回転数がマックスでいくというのは要求しすぎなのかなと思う」

―W杯メンバー決定前最後の試合だが?
「今回呼ばれているメンバーにはそれぞれがアピールしてもらって、代表チームにいかにフィットしているかを見せてもらいたい。この23人が自動的にブラジルに行くわけではない。この先、選手がどこまでアピールしてくれるか、どこまで伸びてくれるかということにも期待している。アピールという意味では、この試合をいかに戦うかは大切になる。どこまでのインパクトを残せるかによって、この先の招集にも影響してくると思う」

―ブラジルW杯の準備状況は把握しているか? ベースキャンプ地のイトゥの状況など、日本の準備はどこまで進んでいるか?
「相対的な話でいうと、スタジアムの建設が少し遅れているとか、そういう情報は時々入ってくるが、細かく把握しているわけではない。一方、イトゥなどベースキャンプ地の状況はよく把握していて、順調に準備が進んでいると聞いている。今の時点でこうした質問はあまりしてほしくないと思っている。本番に向けて、ブラジルのことだから国として合わせてくると思う」

―主力選手数人の欠場が決まってから、監督の中でこの試合の意義は変わったか?
「3か月ぶりに会って、この先また3か月ほど会えない。代表チームのやり方を復習する、再度合わせるというのが最大のテーマになる。選手はそれぞれのクラブで、異なる考えの監督の下でやっているから、ここで合わせるというのが最大の目的になる。こういったテストマッチでは結果も大切だが、チームとしてのやり方をどこまで覚えているか、個々のフィジカルコンディションがどういう状況かを把握するのに最適な試合だと思う」

―ニュージーランドとは2011年に対戦する予定が東日本大震災の影響で中止になったが、今回の試合にどんな思いがあるか?
「過去にそういうエピソードがあったから、このタイミングでニュージーランドとやりたいという要望を自ら出した。この試合に臨むスピリットとしては、お互いに素晴らしい試合にしたいし、いいゲームを見せることができればと思う。スタジアムに足を運ぶサポーターのためでもあるし、ニュージーランドで試合を見るニュージーランドの人のためでもある。日本にしてもニュージーランドにしても、そういう厳しい状況から抜け出せる素晴らしい能力を持った2つの素晴らしい国だと思っている」

―ニュージーランドは強敵とは言えないが、選手のコンディションが万全ではないこの時期の試合だから世界のトップではない国をリクエストしたのか?
「マッチメイクの理由は先ほど挙げた理由が一つで、もう一つは短い準備期間、難しい日程の中、W杯で対戦するチームに似た特徴を持った国を探したというのもある。明日の試合で言えば、どこかギリシャに似た戦いをしてくるチームだと把握している」

(取材・文 西山紘平)

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