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日本代表メンバー発表、ハリルホジッチ監督会見要旨

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 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は17日、都内で記者会見を行い、24日のW杯アジア2次予選・アフガニスタン戦(埼玉)、29日の同シリア戦(埼玉)に臨む日本代表メンバー24人を発表した。

以下、ハリルホジッチ監督の会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「今年初めての合宿が始まる。アジア2次予選最後の2試合が待っている。この2試合は我々にとって重要だ。(グループで)1位でいたいと思っている。目的は2試合に勝つこと。チャレンジを続けたいのは失点をしないこと、そしてできるだけたくさん点を取るということだ。それが我々にとって重要になってくる。FIFAランキングは現在、アジアの2位なので、それを維持できればと思っている。最終予選に向けたドロー(抽選会)があるので、そこに向けても(FIFAランキングが)重要になると思う。

 我々の仕事の2年目が始まる。この2年目は攻撃面も守備面も向上してほしいと思っている。我々は2か月間かけてチームを分析してきた。映像もたくさん見た。どのディテールを伸ばさないといけないか、完璧に把握している。選手個人の長所を生かしてプレーしていくのは変わらない。日本のアイデンティティーを見つけていかないといけない。長所を使ってアイデンティティーを見つけていくということ。そのためにいろんなところに行き、たくさんのディスカッションをしてきた。

 国内合宿も国内組だけで行った。国内組のコンディションを知るためだ。メッセージも伝えた。もっとトレーニングしてほしいと。我々が行ったテストの結果、まだまだA代表に定着するレベルではない選手が何人かいた。今回の代表には半分ほど国内組が入っているが、資格のあるものしかA代表には呼ばない。我々は正確なものを要求している。何人かの選手はもっと努力しないといけない。

 何点か気づいたことがある。Jリーグの第1節、第2節を見る限りでは昨季よりも戦う意識、デュエルが向上している。しかし、ACLでは日本を代表する各チームがオーストラリア、韓国、中国を相手にかなり厳しい状況になっている。彼らと最終予選を戦う可能性が高い。そのために海外組、国内組を含めて、我々のプレーを向上させないといけない。もっと野心を持たないといけない。

 合宿に呼ぶメンバーだ。キーパーは4人呼ぶ。東口、西川、川島、そして林。なぜ4人か。(川島)永嗣は私と一緒にはいなかった月もあるが、今はスコットランドリーグでプレーしている。最近ケガをしてしまって、直近の試合には出ていない。しかし、永嗣とはコンタクトを取り続けていて、トレーニングは続けているということだし、問題がなければ今週末の試合に出るのではないかと思う。彼を呼んで、彼がどのような状態か見てみたい。彼がプレーするかどうかはまた別の問題だ。我々と一緒に過ごし、そして様子を見ていく。そのためにキーパーを4人呼んでいる。

 林も新しい選手だが、しっかりここに入って、我々のトレーニングをしてほしい。東口と西川は常に我々と関わっている選手だ。もしかしたら今回は東口にチャンスを与えるかもしれない。予選突破をしなければいけないが、選手にできるだけたくさんの可能性を与えたいと思っている。チャンスをつかむのは選手だ。何人かはチャンスをつかむかもしれないし、何人かはつかまないかもしれない。東口は自分のクラブで良いプレーをしているので、チャンスを与えてあげたいと思っている。

 DFに移る。酒井宏樹は常にプレーしている選手だ。彼のクラブのシチュエーションは難しい状況かもしれない。彼と山口に会いに行った。元気づけるためだ。彼も向上している選手で、ハイレベルなフィジカルクオリティーを持った日本人にはまれな選手だが、頻繁にそのクオリティーを使えているわけではない。彼には個人のビデオを用意しているので、彼と話をしながら向上させていければと思っている。

 酒井高徳もクラブでよくプレーしている。先発を勝ち取ったのではないかと思う。丁寧にやるし、ディシプリンもある。A代表に呼ぶ資格があると思っている。

 長友もインテルで常にプレーし、右も左もやっている。現地に行って、彼とも本田とも話をした。彼も本田もそうだが、ゲームの中での役割、グループでの役割を伝えてきた。イタリアでの経験をグループの中でもっと話してくれとも話した。特にディフェンス面だ。長友に関してはピッチ内でもピッチ外でも信頼している。

 藤春も向上した。現代フットボールに必要なサイドバックを表現できる選手だと思う。攻撃面にかなりのものをもたらすことができる。今回は国内でやる試合になるが、攻守にわたって2つの役割が重要になってくる。

 センターバックは4人用意している。吉田は頻繁にプレーしているわけではない。向こうでかなり競争が激しい。彼にもアドバイスしたが、先発で出なかったときはしっかり体を戦う状態にしておきなさいと話した。彼ともコンタクトを取って、トレーニングのやり方などを説明しているし、とにかく先発を取ってくれという話をしている。

 槙野とも話をした。昨日のACLでは世界有数の力強いFWと対峙していたが、彼も頑張って跳ね返していた。このような試合で彼は向上していくと思う。各選手にこのような試合を期待している。

 森重は体も良い状態だ。ディスカッションもして満足している。最近の試合では丸山と森重のポジショニング、組み立て、カバーリング、すべてが良かった。無駄なファウルもなかった。ラインを上げるということもよくやっていた。そういったディテールは選手にしっかり説明している。

 昌子もすでに呼んだことがあるが、彼も競争の中にこれから入らないといけない。我々は彼にチャンスを与える決断をした。パワーもあるし、向上すると思う。この中で彼も向上していってほしい。DF陣は競争が激しい。お互いの能力は均衡している。

 それから中盤。長谷部は我々のキャプテンだ。彼ともたくさん話をしてきた。山口は良いレベルになるのではないか。(ハノーファーで)まだ先発を勝ち取ったわけではない。彼にとっては難しい状況が続くと思うが、彼を元気づけたり、励ましたりしてきた。状況はドラマティックだが、彼のボールを奪うところ、守備の役割は信頼している。まだ攻撃面で向上する余地はかなりあるが、彼のことを信頼している。ドイツで適応するのは簡単なことではない。ただ、彼はしっかりと向上していくと思うし、A代表にも良いものをもたらしてくれると思う。

 柏木は我々に足りなかった左利きの選手だ。運動量も多い。組み立てのところで守備と中盤をつないでくれる。彼の役割、動きが重要になる。パワーはないが、運動量をもって守備でも攻撃でもチームに良いところをもたらしてくれる。良いボールも送ることができるし、我々のプレーのスピードというところで彼が必要になる。このような選手を使ってFWの選手が背後を取れる。中盤で左利きの選手を抱えているということはFKでも興味深いことができる。昨日もいいFKを蹴っていた。ただ、フィジカルコンタクトのところでなかなか良い状況にはなっていなかったが、ミニ合宿でも『自分の体をもっと強くしなさい』と話した。彼は野心を持っている。このA代表でも先発を勝ち取ってほしいと思う。

 原口もドイツでしっかり先発でプレーしている。今回、火曜日にしか日本に着けない選手もいる。もしかしたら私のゲームプランを少し変更するかもしれない。原口は真ん中でできるかなと思っている。現地でやっている役割とは違うものを求めようかなと思う。ボールを奪うところと前に関わるところ。つまり半分は守備、半分は攻撃という役割だ。そういったクオリティーがあると思うし、もっと得点も取ってほしいと思っている。

 香川真司だが、ドイツのビッグクラブでかなりの競争をしている。先発を勝ち取るために今、戦っているところだ。彼とディスカッションして、かなりのことを話してきた。彼は常にプレーしたいと言っていたが、残念ながら向こうではなかなか(先発の座を)奪えていないし、A代表でも先発を奪えるかどうかはまだ分からない。ドルトムントでは本当にパフォーマンスが高くないと先発を奪えない。

 清武はケガから復帰した。香川と同じ役割だ。最後の30mのオーガナイズを担わないといけない。直近の4試合、90分出ている。彼のクオリティーが必要だと期待している。

 攻撃陣に行く。何人か新しい選手がいる。本田は今、常に先発で出ている。うれしいですね。ミランで競争はかなり激しいと思う。彼はミランでは右サイドハーフだが、A代表ではFWとしてもっと前でプレーしてほしい。まったく違う役割を要求することになる。彼のポジションはミランより高い位置になる。オブリックランニング(斜めの走り)を使って16mの中に入って存在感を出してほしいと思っている。体の状態も良いし、守備面でもかなりの役割を果たしている。ただ、A代表では中盤というよりはFWとして使いたい。

 小林は少し新しい選手だが、彼も数か月間、見続けてきた。偶然、ここにいるわけではない。彼にもチャンスを与えたい。前回のミニ合宿でかなりのクオリティーを見せてくれた。このA代表で得点を取れる、まれな選手かなと思う。右サイドでプレーできるし、もしかしたら真ん中もできるかもしれない。彼にはゴールゲッターとしてのクオリティーがある。そこは我々に足りなかったところだ。最近、インフルエンザにかかったということだが、トレーニングを開始していると聞いているし、合宿でどのような状態か見たい。ミニ合宿で良いクオリティーを見せてくれたので、ここの24人に入る資格があると判断した。

 宇佐美はみなさんがよく知っているとおり、能力のある選手だ。ただ、能力だけでは十分ではない。たくさんのことをして、向上していると思う。本当に努力をしているし、日本のフットボール界にこのようなタレントを持った選手はまれなので、我慢をして励ましながらやっていかないといけない。

 岡崎だが、(ニューカッスル戦でのオーバーヘッドキックについて)彼はクリアしたいと言っていたらしいが、それがゴールになってしまった(笑)。本当に模範的な選手だと思う。彼とはよく冗談で言うが、『レスターにいるときは守備的MFだね、もしくはセンターバックだね』と。『でもA代表は違うよ』という話をしている。A代表ではレスターとまったく違う役割を要求している。このチームでやってほしいことはたくさんあるが、私のサッカー人生でもこのように頑張る選手はまれだ。チームのために自分を犠牲にし、自分だけのことを考えず、チームのことを考える選手はまれだと思う。本当に素晴らしい模範となれる選手だ。レスターとは違う役割をA代表では求める。ゴールを取ってほしい。今シーズン、もっと点を取ってほしいと期待している。今のアジア予選でだれが一番点を取っているかというと、本田が(得点ランキングで)7位か8位ぐらい。本田以外に点を取れるFWを見つけないといけない。

 金崎夢生も少し新しい選手だ。彼もチャンスをつかんでほしい。運動量が多いし、興味深い選手だ。たくさんポジションを移動する頑張り屋だ。ただ、A代表では少し中央に残ってほしいと話している。我々はクラブと違う要求をしている。点を取れるところに入ってきてほしい。彼のクオリティーをA代表にもたらしてくれると思う。特にゴールを取るところだ。

 ハーフナー・マイクは新しい選手だが、(エールディビジで)13得点取っている選手だ。我々のチームにここまで身長の高い選手はいない。このようなFWを使った場合、彼に向けたプレーというものが必要になる。特に頭だ。ヘディングのところが興味深い。彼がどのような成長を遂げているかを見るために呼んでいる。しっかりチャンスをつかんでほしい。彼と話したときにはやる気、野心もあり、またA代表に戻ってきたいという話をしていた。彼を使うときはオーガナイズを変えて、彼が合わせられるようなオーガナイズにしないといけない。彼はスピードが速いとかパワーがあるとかいうわけではない。

 準備してきた中で少しアイデアがある。この2試合で2つの異なるオーガナイズを使う可能性がある。これはまだ可能性で、頭の中で考えている段階だが、選手には2つの処理が必要。野心とやる気と次への準備もそうだ。私は我々の選手のことを信頼している」

―川島とはこれまでどういうことを話してきたのか?
「(川島)永嗣は数か月、我々と一緒にいなかっただけでなく、(クラブで)プレーもしていなかった。ようやく最近になってスコットランドでプレーするようになった。ただ、彼には経験があるし、クオリティーもある。A代表で数年にわたってスタメンだった。今度は彼が先発を奪わないといけない立場になった。つまり競争が高まった状態だ。彼と話したとき、このグループに戻ってくるという野心はかなり強かった。もし私が野心がないという疑いを持ったときには呼んでいない。まず彼のフィジカルコンディションを把握するために呼んでいる。プレーはしないかもしれない。それはまだ決めていないが、ここ数年、先発を取り続けている素晴らしい選手だと思うし、そういう選手を簡単には除外できない。キーパーとしても良い年齢に来ている。特に人間性が素晴らしい。チームに良い雰囲気をもたらしてくれるし、信頼性もある。いろんな人に言葉をかけられる選手で、欧州での経験もある。彼のようなベテランの選手には『チーム内でもっと話をしてくれ』『チームが成功する雰囲気をつくってほしい』と話している。これから最終予選も始まるし、より難しくなると思っている」

―この2試合のテーマは?
「これまでとはちょっと違ったやり方をトライしたいと思っている。本田、(香川)真司、永嗣がいるが、彼らは火曜日にしか日本に帰ってこれない。彼らがどのような体調かまだ分からない。もしかしたらプレーをしないという選択もある。疲労がたまって、ケガのリスクが高まるからだ。そういったときに他の選手が、いない存在のところを埋めていく必要がある。初めてのことを試すかもしれない。チームの経験をどんどん高めていかないといけないし、9月からはできるだけ良いチームでスタートしたいと思っている。最もパフォーマンスの良いオーガナイズを9月から見せないといけない。そのための準備がここまで組まれている。そのために何人か新しい選手をトライしたい。彼らがプレーするのであれば、彼らはそのチャンスをつかまないといけない」

―小林悠に期待しているところは?
「他のFW陣と一緒で、得点をたくさん取ってほしい。我々の第2段階が始まったが、得点を取るというところを向上させないといけない。つまり選手たちは仕留めるというところを見せないといけない。小林がプレーするか、いつまで我々と一緒に残れるかは分からない。それは彼次第だ。いろんな選手を呼んだが、今回のリスト以外にも選手を準備していた。彼らもここに入る資格がある。もしかしたら次は呼ぶかもしれない。頭の中には30人ほどいる。このリストに入ってもいい選手たちだ。リスクはあると思うが、できるだけ多くの選手に可能性を与えたいと思っている。先日、国内合宿を行ったが、小林が見せたのはかなりのクオリティーだった。すべてのスタッフが同じ意見だった。そのため、彼を呼んだ。若い選手でもあるし、代表候補に入るためのすべての必要条件を兼ね備えている」

―第2段階で選手に求めることは?
「全員にアグレッシブさを求めている。攻撃も守備もだ。守備のアグレッシブさというのは、ファウルをしないうえでのアグレッシブさだ。こないだも映像を見せたが、何度無駄なファウルがあったか。DFラインの選手がゾーンを離れたとき、常にファウルをしている。オフェンスのアグレッシブさというところの例としては、FKがない。ここ5年、FKを直接決めていない。これは心配だ。まずたくさんのFKをもらえていない。自信もない。集中もない。何が要求されているかを選手には説明した。

 ここ数年、ずっとA代表に関わっている選手は、まだ50年は日本代表に関われるというような雰囲気を出している。これぐらいでいいだろうと。しかし、私はこの2年目に関して、もっと野心を見せてほしい、もっと勝つ気持ちを見せてほしいと思っている。それでしか日本は向上しない。サイドから10回のスローインがあったとして、9回はボールを失っている。これはノーマルではない。そこはトレーニングで向上させないといけない。

 先ほど浦和の試合を見たが、中国の戦う意識のところは浦和の選手をタフな状況にしていた。ただ、彼らがグラウンダーのボールで素早くプレーしたときは何かをつくり出していた。ロングボールで空中戦を戦うのではない。我々はボールを速く走らせて、1タッチ、2タッチを使わないといけない。そしてギャップと背後を狙わないといけない。自分たちよりフィジカルのある選手とはフィジカルコンタクトを避けないといけない。

 アトレティコ・マドリーとPSVの試合を見たが、本当にコンタクトが激しい。それも想定しないといけないが、我々の攻撃ではできるだけボールを速く走らせることが大事になる。そういったディテールを話すのは簡単だが、それをすぐに選手にはやってほしい。そして毎試合、向上を見せてほしい。この10日間は大事になる。戦うところ、アグレッシブさ、ゴールを仕留めるところ。できるだけ早くレスポンスが欲しい。経験のある選手に試合中もたらしてほしいことがある。そういった戦いを彼らが見せないといけない。だれも怖がってはいけない。チームにもっともっと勇気が必要だ」

―ハーフナーを起用するシチュエーションは?
「国内の試合で我々が支配したゲームのときに興味深い選手なのかなと思う。我々の短所として、センタリングの部分が足りない。この2試合ではそういったサイドからのボールを送ること、マイクの頭を狙っていくことが大事になる。組み立てが難しいときにはダイレクトプレーでマイクにロングボールを使い、背後に走った選手にフリックする。もしくは折り返しを決める。こういった選手を使うときにはこうした2つのタイプがある。ただ、日本人にこういうタイプの選手が少ないのが現状だ。こういった私が持っているアイデアでどのようなものを見せられるか見てみたい。例えばアフガニスタン戦では、相手はおそらくかなり引いてくる。もしかしたら試合開始からすぐに、もしくは試合の途中から有効になる選手かもしれない。そのためにマイクを呼んだ。我々がやったことのないプレーで彼を使うことを想定している」

―清武はケガ明けでコンディションに不安があると話していたが?
「復帰はちょっと早かったかなと思っているが、最近4試合は90分出場している。世界でもかなりパフォーマンスの高いリーグでプレーしている。もちろん、彼に代わる選手がいればありがたいが、彼がどのようなクオリティーを持っているかは分かっている。A代表に来れば、(香川)真司と競争しないといけない。真司は火曜日にしか日本にたどり着けない。しかし、我々は木曜日に試合がある。そういったことも予測しておかないといけない。清武は我々と一緒のときは毎回、素晴らしい合宿をしてくれる。清武に関してはたくさん考えたが、そういった理由で呼んだ。3つ目のソリューションも考えている。それはまだ分からないが、清武のクオリティーを忘れてはいけないし、彼に何ができるかも理解しているつもりだ。ケガをしていたので、かなり考えてこの決断をした。この4試合を見たし、我々を助けてくれるプレーをしていた。最後の30mのところでパフォーマンスが高い。そのために呼んだ。この2試合、おそらく我々がゲームを支配すると思うので、我々の攻撃陣にしっかりボールを送る選手が必要だった。もちろん彼自身も得点を決めることができる選手だ」

(取材・文 西山紘平)

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