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またもや「先を行く」“あいつ”…指揮官の期待に応えるMF岩崎悠人「新しい目標ができた」

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U-21日本代表FW岩崎悠人(京都)

[9.1 アジア大会決勝 U-21日本1-2(延長)U-23韓国 ボゴール]

 頂点まで、あと一歩と迫りながらも、頂には到達しなかった。「何とか攻撃陣を引っ張っていかないといけない思いはあった」と語ったU-21日本代表MF岩崎悠人(京都)にもゴールは生まれず。1-2で韓国に敗れ、「すごく悔しい思いをした。この気持ちは本当に忘れたくない」と味わった悔しさを成長につなげていこうとしている。

 今大会で一皮むけた印象だ。初戦ネパール戦は後半アディショナルタイムに投入された直後に試合終了を迎え、第3戦ベトナム戦では後半からの出場となったが、その他の試合では中1日であろうとピッチに立ち続け、5試合で先発フル出場を果たした。全試合でピッチに立ったのはMF松本泰志(広島)と2人だけ。それだけ森保一監督の信頼が厚かったといえる。

 1月に中国で行われたAFC U-23選手権の事前合宿の際に、指揮官から「チームを引っ張ってほしい」と伝えられた。同大会では無得点に終わったものの、今大会ではチーム最多の4ゴールという結果で攻撃陣をけん引。「メンタル的な部分でゴールへの意識は今大会では見せられたと思うし、中国のときと比べたら成長した姿を見せられたと思う」と森保監督の信頼、期待に応えるように成長していることを実感している。

 岩崎の進化を森保監督も感じているようだ。「自分の良さを出すとか、さらにレベルアップするにはどうしたら良いのかという気持ちを持っいるし、グラウンド上で、自分で確認しながらプレーしている」とピッチ内外での姿勢を評価。そして、「もっともっと仕掛ける姿勢を要求してきた」という試合中のプレーも今までとは異なるものを見せた。

「彼の良さは非常にハードワークできるところ。そして、攻撃に絡んでいけるところ。彼の良さを自分自身が分かってレベルアップさせる姿勢をピッチ上で見せてくれている。決定力の部分でも、今大会は攻撃陣としての結果にこだわるプレーが見受けられる」

 自身も指揮官も感じる成長。そのスピードをさらに加速させるような出来事が、大会期間中にあった。8月30日に行われたA代表のメンバー発表。その中には東京五輪世代のMF伊藤達哉、DF冨安健洋、そして「いつも先を行く存在。早く追い付きたいし、追い越したい」と意識し、同じシャドーでプレーすることが予想されるMF堂安律が名を連ねた。98年6月11日生まれの岩崎に対し、98年6月16日生まれの堂安。誕生日はわずか5日しか変わらないが、「やっぱり律は本当にずっと先を行く存在」と大きな刺激を受けたようだ。

「A代表に律が入ってくれて、新しい目標ができた」。当然、今までもA代表は意識してきただろう。だが、森保監督がA代表を兼任するだけでなく、同年代の選手が招集されたことで、より現実的な目標となったはずだ。森保監督も「(U-21代表の)選手には東京五輪経由のカタールW杯とは思ってほしくない。W杯予選を戦うA代表の選手が東京五輪で戦ってほしい」と東京五輪世代のさらなる飛躍に期待を寄せる。

 1月からの約7か月間で成長した姿を見せた。今後も指揮官の期待に応えるように進化しながら、新しい目標へと向かって行く。

(取材・文 折戸岳彦)
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