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ラフプレーに激怒した吉田麻也の“好プレー”「かわいい選手が削られたらそこは行かないと」

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相手のラフプレーに猛抗議したDF吉田麻也

[6.5 国際親善試合 U-24日本 6-0 U-24ガーナ ベススタ]

 チームを鼓舞し、荒れ気味の試合を落ち着けるには何よりも効果的だった。後半26分、DFフランク・アッシンキがMF田中碧に対して足裏を見せる危険なタックルを見舞うと、日本の最終ラインからDF吉田麻也が怒りの形相で詰め寄り、背後からアッシンキの襟元をつかんで激高した。

「点差が開いて、相手にラフなプレーが増えてきていた」。試合はこの時点で5-0。気持ちが切れかけたガーナの選手に荒さが見え始めていた。「僕は長谷部(誠)さんみたいに優等生ではないので。かわいい選手たちが削られたら、やっぱりそこは行かないといけない」。頼れるキャプテンは冗談交じりに振り返った。

「テレビで見ている人は『吉田、オーバーエイジなのに大人げないな』と思ったかもしれないけど、それもゲームマネジメントの一つ。“次やったら許さないぞ”という意思表示を示さないといけないし、実際そのあとはほとんどラフプレーがなくなったと思う。ジャッジングだったり、今日はスタジアムの雰囲気というのはなかったけど、そういうのを味方にするのも試合をマネジメントする一つの術なので」

 こうした言動こそが吉田のキャプテンたる所以だろう。プレー面以外でもチームを引っ張っていくことができるキャプテンシーを持った経験豊富なベテランがオーバーエイジとして東京五輪代表に加わったのは、これ以上ない“補強”と言える。

 チームメイトへの要求も高い。ボランチの田中碧について「怖がらずにボールを受けられるし、前にボールを付けることもできる。常に顔を出すボランチというのは絶対条件」と評価する一方、「ただ、前に付けるボールの質にもっともっとこだわらないといけないし、フロンターレはほとんどの試合をリードして、コントロールする試合が多いと思う。負けているときにどういうプレーが効果的か、そこでボールを奪いに行けるかをもっともっと見たい」と、東京五輪本大会を見据え、満足はしていない。

 特に国内組の選手たちには“世界基準”を伝えていく必要がある。1トップのFW上田綺世に対しては「フィフティフィフティのボールをマイボールにできればベストだけど、最低でも相手に触らせずに、ボールを相手の後ろに流すことができるか。苦しい試合、強い相手とやるときは、そのワンプレーを頑張れるかどうかで、後ろの消耗は全然変わってくる」と指摘する。

「大迫(勇也)はそこらへんがすごく上手い。ただヘディングで競るのではなく、相手に体をぶつけてマイボールにしたり、最悪、相手がスローインに逃げて、またマイボールで始められるかどうか。派手ではないけど、FWにとって重要な仕事の一つなので、そこらへんも意識してくれと話した」と、試合の中から濃密なコミュニケーションを取っていたようだ。

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