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イランの土壇場PK弾に沈んだ森保J、逆転負けでアジア杯8強敗退

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日本代表は逆転負け


[2.3 アジア杯準々決勝 日本 1-2 イラン エデュケーション]

 日本代表は3日、アジアカップ準々決勝でイラン代表と対戦し、1-2で敗れた。MF守田英正の先制ゴールで前半を1-0で折り返したが、その後は空中戦で圧倒されて後半10分に同点とされると、後半アディショナルタイム6分にPKで失点。劇的な幕切れにより、ベスト8敗退に終わった。

 FIFAランキングでアジア最上位17位の日本と、次点で21位のイランによる大一番。日本は決勝トーナメント1回戦・バーレーン戦(○3-1)から先発3人を入れ替え、左ふくらはぎ肉離れのMF旗手怜央、左サイドのDF中山雄太とMF中村敬斗に代わり、MF守田英正、DF伊藤洋輝、FW前田大然を起用した。

 システムは4-2-3-1でGKは引き続き鈴木彩艶を起用し、4バックは左から伊藤、DF冨安健洋、DF板倉滉、DF毎熊晟矢。ダブルボランチはMF遠藤航と守田で構え、2列目に左から前田、MF久保建英、MF堂安律が並び、1トップは今大会4ゴールで得点ランキング2位タイのFW上田綺世が入った。[スタメン&布陣]

 試合は立ち上がりから強度の高いせめぎ合いが続き、イラン1トップのFWサルダル・アズムンに冨安、守田が立て続けに削られる場面も。それでも日本は冨安、板倉の両CBを中心に落ち着いたビルドアップを繰り出し、まずは試合を落ち着かせていった。前半8分には板倉が果敢なロングシュートも披露。高い位置で奪われる場面もあったが、堂安、前田の両サイドハーフが懸命にプレスバックし、相手にチャンスを作らせない。

 イランは右サイドハーフのMFアリレザ・ジャハンバフシュが飛距離のあるロングスローを使い、日本ゴールを襲ってきたが、これも冨安ら守備陣が冷静に対応。前半19分には左起点で良い崩しから堂安の惜しいシュートが見られると、同21分にも冨安から久保への縦パスで左を打開し、伊藤のクロスからチャンスを作った。同24分には右サイドの高い位置でボールを奪われ、カウンターに対応した板倉がファウル。イエローカードを出された。

 それでも前半28分、日本が先に試合を動かした。守田が左サイドに流れてパスを引き出し、相手を牽制しながら斜めのパスを刺すと、中盤に下りてきた上田が力強いポストプレー。相手を背中で制してうまく引きつけ、ワンツー気味に走り込んだ守田が受け取ると、浮き球を巧みに操ってゴール前に持ち込んだ。最後は相手GKとの駆け引きで左へのシュートを狙い、相手GKの足に当たったボールがゴールマウスに転がり込んだ。

 守田は2021年5月28日のカタールW杯2次予選ミャンマー戦(○10-0)以来2年半ぶりの得点。A代表初ゴールも同じく大勝した21年3月30日のカタールW杯2次予選モンゴル戦(○14-0)だったが、通算3ゴール目はアジア杯大一番で、値千金の先制ゴールとなった。その後は日本が一方的に攻め込まれる展開となったが、前田が鬼気迫るカバーリングで奮闘し、前半を1-0で終えた。

 後半立ち上がりも日本が攻め込まれる場面が続き、板倉に不安な対応が続く。それでもオフサイドに救われ、日本が攻撃に転じると、左サイドを攻め上がった久保からピンポイントのクロスがエリア内に通り、上田がダイビングヘッド。これは枠を外れたが、直後にも前田のボール奪取からショートカウンターを仕掛け、久保の惜しい右足シュートがあった。

 ところが後半10分、日本は鈴木のロングフィードに前線が競り合えずにいると、そこから速攻で中央を打開され、勢いのあるカウンター攻撃を許す。アズムンのポストプレーには冨安が寄せ、前を向かせない対応をしたが、うまくスルーパスを出されると、板倉のマークを振り切ったFWモハマド・モヘビに右足で流し込まれた。

 さらに後半19分、日本はロングキックを裏に蹴り込まれると、アズムンに裏を取られ、後ろ向きの対応を強いられる。エリア内で対応した板倉がスライディングを試みるも、シュートフェイントでかわされ、鈴木のニアポスト脇を破られた。だが、ここはかろうじてオフサイド。半自動オフサイドテクノロジーで得点が取り消され、日本はなんとか踏みとどまった。

 嫌な展開が続く日本は後半22分、前田と久保に代わってMF三笘薫とMF南野拓実を投入。プレッシングでも負担の大きかった2人を入れ替え、フレッシュな選手に後を託した。その後も日本のピンチは続き、同27分には左からのクロスをアズムンに合わせられ、ヘディングシュートが枠をかすめていった。

 そうして迎えた後半アディショナルタイム4分、日本はまたも空中戦でエリア内を攻め込まれると、冨安のクリアが板倉に当たってこぼれ球につながり、板倉がDFホセイン・カナアニを倒してPKを献上。これをジャハンバフシュに決められ、土壇場で失点した。そこで堂安と守田に代わってFW細谷真大とFW浅野拓磨を投入したが、そのまま試合はタイムアップ。日本はベスト8で敗退となった。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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