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日本女子vs北朝鮮女子 試合前日の池田太監督会見要旨

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池田太監督

 日本女子代表(なでしこジャパン)は28日、パリオリンピック出場を懸けたアジア最終予選第2戦で北朝鮮女子代表と対戦する。池田太監督が27日、国立競技場で前日会見を行った。

 以下、試合前日の会見要旨

●池田監督
「われわれなでしこジャパンは、パリオリンピック出場権を懸けて、明日ここでDPRコリア(北朝鮮)と対戦する。第2戦をホームで迎えることができ、高揚感、気持ちの高ぶりは選手ともどもスタッフ一同も持って前日のトレーニングに来た。初戦は中立地ではあったがしっかりと戦い、スコアレスだったことにより、明日の試合に向けて考えることはシンプル。スコアが動いているからどう戦うというより、ひとつの決勝戦のようにシンプルに、明日の試合に勝利する。そこだけを考えてプランニングをしている。選手もよいコンディションでメンバー全員で戦える体制を整えられたことをうれしく思う。ここ国立競技場で多くのサポーターが背中を押してくれる。皆さんの力を借りながら、パリ五輪の出場権を勝ち取りたい」

──敗れれば現チーム体制も最後かもしれない。監督個人の心境はどうか。
「私自身、常になでしこジャパンとして戦うにあたり、国を背負って戦う責任感も覚悟も持ってやっている。大きな大会が懸かった思い、重要な試合に向かって戦うということ。監督としても、自分自身としても、そういう世界に生きているからこそ、この緊張感と高揚感はたまらないもの。むしろ一つひとつの試合に対して向かっていく気持ちはいつもと同じだが、いつも試合に入る前はいい緊張感と、サッカーをしている実感と、そういうのを常に感じている」

──第2戦のメンバーは、第1戦と同じ先発か。体調を見て入れ替えを考えているか。
「ジッダでの第1戦で戦った選手も、大きな怪我も無くコンディションを整えられているので、全員が戦える状態にある。メンバーという意味では、それぞれの戦い方のなかで私がセレクトできる状態にあるということが、いまお伝えできるところ」

──北朝鮮がどういう立ち上がりで来ると読んでいるか。
「DFの枚数でいうと、4枚または5枚、それにどう対応していくかは共有している。いろんな国際親善試合を通して、いろんな相手とやれてきている部分もある。1戦目でやれたことに対して、修正も含めて対応できると考えている」

──明日の試合で勝つという目標を達成するために、大事だと思っていることは何か。
「勝利するためにはゴールが必要。ゴールを挙げるための前へのアグレッシブなプレーもそう。初戦よりも一人ひとりの攻撃の距離感を大事にして、スペースを見つけられるような、そういった部分も大事になってくる。DPRコリア(北朝鮮)のロングボールに対応し、もしくはセカンドボールをしっかりと回収して、攻撃につなげる。そういう部分は大事にしていきたい」

──五輪ということで、チームジャパンとしての戦いもある。バスケが予選突破し、次に女子サッカーが突破するためにどうしていきたいか。
「オリンピックという大きな大会で、国民の皆さんの熱量もある。女子サッカーを発展させていくためには、オリンピックに出場することが大きな力になる。ほかのスポーツ同様に、日本のスポーツの発展のために、日本女子サッカーの発展も含めて、しっかりと出場権を掴みたい」

──国立競技場というスタジアムで、地上波生中継もある。勝利を目指すことはもちろんだが、両チームで何を見せていきたいか。
「もちろん、出場権の懸かった大きな試合を国立競技場でやれることを嬉しく思う。応援してくれるテレビも含めてサポーターの方々に、なでしこの躍動する姿で、勇気や心を動かせる熱い試合をしたい。その先には出場権を勝ち取るということがあるが、ベースにはなでしこらしい戦いをしていきたい」

──第2戦は日本の戦い方をするか、第1戦を踏まえて対策を取るのか。
「もちろん両方考えている。どちらかという表現は難しいが、積み上げてきたものを大切にしたい。DPRコリア(北朝鮮)に優位性を持てるように、いろんなことを考えつつ、メンバー選考をしていく。そのなかで気をつけることを踏まえて決めていきたい」

──北朝鮮の情報を集めることや、第1戦開催地が直前まで未定だったことを踏まえて、このような試合での準備はどのくらい大変か。
「対戦国の分析は、情報量は限られていた。だがアジア大会も含め、なによりジッダでの相手の戦いぶり、パフォーマンスを含めて、情報収集から対戦したときの狙いは、すでにいろんな角度から分析しながら対応した。初戦に向けて、不確定要素はありながらしっかりも準備はできた。マネジメントもスタッフ含めて、ゲームに向けてフォーカスして準備できた。日本のいまいる選手たちの適応力、集中力はすばらしいもの。ひとつのストロングポイントだと思う」

──チケットの発券状況で、ゴール裏が北朝鮮に負けている。当日券は直前まで販売されるが、監督の思いはどうか。
「多くのサポーターからの声援で選手たちの背中を押していただきたい。テレビでも放送するが、ぜひ国立競技場に足を運んでいただき一緒に戦ってほしい。そういった思いもある」

──男子のアジア杯がなかったら、北朝鮮は第1戦の戦い方をしてこなかったかもしれない。これまで厳しい戦いをしてきたが、アジアの戦いを再び勝ち抜くことに関して、どのように考えて臨むか。
「オリンピックの予選、アジアのなかでの戦いは、日本を全力で倒そうとするチームがほとんど。われわれの良さを消してこようと、その国のパワーを持ってくることは常にある。一つひとつの戦いに対して、相手国に対して分析をして、これまでの歴史よりも目の前の相手に立ち向かっていく。一つひとつの戦いを重要視して戦っていく。国がどうではなく、相手をしっかりと分析し、ひとつの戦いとして立ち向かっていく」

──明日の試合は選手にとって失うものが大きく、負けたときのマイナスが大きい。臨むにあたって、心構えの部分でどういうことを伝えたいか。
「手にするものと喜びも大きい。そちらにフォーカスして、パリで躍動するイメージや、戦えることによって日本の国民や応援してくれる人の心を動かせるということ、戦う喜びと掴み取る達成感など、ポジティブなことを伝えてゲームに入っていきたい」

──引き分けだった場合はPK戦につながる。指名制なのか、挙手制なのか。
「トータルで90分で試合を決め切ることにフォーカスするが、想定のなかで延長、PKもある。そのときにメンバーがどういう状態かも含めて、基本的にはこちらから指名する。ある程度のプランを持って、PKになったときには考えがある。だからといって公に言うレベルのものでもない。プランを持っておきながら、そのときのメンバーや状況で判断していく」

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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