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異質な得点力で決勝弾の田中碧、組み立てには反省「まだまだつなげる部分もある」

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MF田中碧(デュッセルドルフ)

[3.21 W杯2次予選 日本 1-0 北朝鮮 国立]

 日本代表通算23試合目にして8ゴール目を刻んだボランチの異質な得点力が、タフな戦いの勝敗を分けた。

 MF田中碧(デュッセルドルフ)は前半2分、FW上田綺世からのヒールパスに対し、左ポケットに飛び込むと、ファーサイドへのクロスを供給。ヘディングで合わせたMF堂安律の折り返しはゴールにつながらなかったものの、今度は二次攻撃から堂安のクロスに飛び込み、右足シュートでゴール右隅に流し込んだ。

 ゴールの起点とフィニッシュを担った見事な得点。まずは上田が左サイドに流れたところで「目が合った」というが、あえてポケットにすぐに走り込むのではなく、いったんスペースを空けておく判断が光った。「(ポケットに)顔を出さずにそこで待っていれば来るかなと思っていたら、(上田が)すごくいいパスをくれた」。その後は類まれなポジショニングセンスを活かし、マイナスのパスにフリーで反応。「マイナスは空いているなと思った。いいボールをくれたので決められてよかった」。これが試合を通じて唯一のゴールとなった。

 得点を決めた試合後であっても、田中は「ゴールだけが全てではない」と話し、課題のほうに目を向けるのが常だ。

 この日も「後半もまだまだつなげる部分もあると感じるし、蹴らなくていい部分を蹴ったり、距離感が遠くなってつなげなくなったりしていた。もちろん個人的な技術ミスや判断ミスは個人個人に依存するもので、個人個人が反省するところなのでいいと思うけど、蹴ってしまう部分は一歩二歩動くところだったり、声を出してパスコースを見つけてもらうことはまだまだできると思う。もっともっとやらないといけない」と組み立ての部分に反省点を見出していた。

 もっとも田中によると、ゴールという結果にこだわりがないわけではないという。

「ゴールのシーンは全部いいと思っている。サッカーはゴールを目指してやるものなので、どんな形であれ、それがオウンゴールだろうが、今日の1点目みたいなのであろうが、セットプレーだろうが、やっぱりゴールは正義だし、それは評価するべきだと思う。そこはネガティブには捉えていないし、ゴールを取ったこと自体はポジティブに捉えている」。それでもなお、ゴール以外の役割を重んじている格好だ。

 この日の話題に上ったのは、相手がハイプレスをかけてきた際に、ロングボールが多くなったチーム全体のプレー選択について。「つなぐことがいいのかというと分からないけど、でも相手ボールになるような蹴り方と意図的なロングボールは違う。僕自身もセカンドボールを拾った後のところ(に課題)があるし、そのクオリティをまだまだ求めていかないといけない」と自身に矢印を向けつつ、さらなる成長を誓った。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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