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「今までの活動が今につながる」U-23日本代表の副主将・内野貴史、いると“助かる”献身性みせた昨夏の一幕

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DF内野貴史

 副キャプテン4人の一人として、U-23日本代表を支えていく。それでもDF内野貴史(デュッセルドルフ)のやることは変わらない。「いままでの活動を通して、自分のそういう振る舞いがいまにつながっていると思う」と改めてチームを盛り上げていくつもりだ。

 U23アジアカップ初戦を控えたミーティングのなかで、キャプテンと副キャプテン4人が決まった。キャプテンはMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)で、副キャプテンは内野、DF西尾隆矢(C大阪)、MF山本理仁(シントトロイデン)、MF松木玖生。それぞれが特有のリーダーシップを持つ選手たちだ。

 内野は持ち前の明るさと献身性でチームを助けてきた。これまでの活動でも、練習前にはいち早くピッチに現れてほかの選手と交流。ウォーミングアップや鳥かごでもハツラツと声を出し、チームを盛り立てる場面が目立った。

「自分はこのチームで一番年上の世代。下から入ってくる選手が緊張していたり、(内野)航太郎もちょっとそうだったけど、硬い選手には積極的に声をかけたりする。あと、コーチと選手間でコミュニケーションを取りづらいところもコーチから話を聞いたり。つなぎ役ではないけど、そういうのはこれからも続けていきたい」

 内野の献身性で印象に残るのは昨年9月のU23アジアカップ予選。バーレーンで行われた遠征で2日後に初戦を控えたなかで、初日に集まったのは23人中13人だった。

 チームをけん引してきた選手が不在のところで声を挙げたのは内野だ。「今日は少しチームを締めるような役割を担える選手がいつもより少なかった。僕がそういう立ち回りにならないといけないと思ったんです」。監督でもコーチでもなく、チームメイトの声が響くことは多い。その役目を内野が担った。「明後日が試合なので、コーチからだけではそういうパワーはチームに回らない。ピッチでやっている人から言うことが一番伝達が早い」。酷暑で身が入らない仲間たちを鼓舞し続けていた。

 U23アジア杯予選が行われた9月のバーレーンは深夜でも高温多湿がひどく、試合は疲労困憊。出場選手たちの声が途切れる場面が目立った。ともにベンチに座っていた藤田と内野はピッチ内の様子を相談していた。「ベンチで内野が話していた。ああいったところでキリッと言える選手がいたらと」(藤田)。この後、2人は終盤に途中投入。未来のキャプテンと副キャプテンが、猛暑に苦しむ選手たちの背中を支えた。

 副キャプテンになったとしても、その姿勢は変わらない。「別にいま副キャプテンと改めて言われたからって、自分で何か変えようとも特に思っていない……とは言いつつ、責任が今までよりもなんとなくちょっとでかくなったかな(笑)。というのは感じていて、でもあんまり変わらないです」。指揮官は「肩書がつくつかないは別」と強調する。副キャプテンの肩書がなくても、それを体現してきた内野。今大会でもその献身性はチームを助けていくだろう。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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