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「彼にトロフィーを見せたい」U-23ウズベキスタン主将、亡き戦友への思い…五輪初出場もアジア制覇にこだわる理由

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MFジャスルベク・ジャロリディノフ

 U-23ウズベキスタン代表はU23アジアカップ準決勝でインドネシアを破り、初のオリンピック出場を決めた。3日の決勝・日本戦を前日に控えた公式会見ではティムル・カパーゼ監督と主将のMFジャスルベク・ジャロリディノフが出席。初の五輪出場にもモチベーションは切らさず、キャプテンは「われわれはこの大会で優勝するつもりだ。ベストを尽くしたい」と意気込んだ。

 ウズベキスタンは育成年代で躍進を続けてきた。U23アジア杯では2018年に初優勝、20年に4位、22年に準優勝。五輪出場権が懸かった今大会でアジア上位3か国に入り、悲願の五輪初出場を決めた。

 カパーゼ監督はパリ五輪出場について「最初の使命」と語った。初の五輪出場に、ウズベキスタンのシャフカット・ミルジヨエフ大統領も当局公式サイトで声明を発表。「これは我が国の長年にわたる大きな夢だった」と賛辞を送っていたが、指揮官はすでに気持ちを切り替えている。2つ目の使命として「アジアチャンピオンになること」と強調した。

 大岩剛監督が率いるU-23日本代表は2年前、U-21日本代表としてU23アジア杯に参戦。同大会はU-23世代のチームがほとんどだったが、ウズベキスタンもU-21世代で出場しており、準決勝では同世代対決に。ウズベキスタンが2-0で勝利を収め、決勝でサウジアラビアに敗れたものの、準優勝という成績を残した。カパーゼ監督は「日本のように若いチームでプレーをした。そしてより多くの経験を積むことができた」と振り返る。

 その試合で2ゴールを挙げたジャロリディノフとFWフサイン・ノルチャエフは今回もチームに選出されており、日本との再戦となる。ジャロリディノフは2年前の試合を振り返り、「彼らは強く、そして大きい」と日本の印象を語る。「オープンな戦術、オープンな哲学を兼ね備えている」と表現。「明日はとても美しい試合になる」と力を込めた。

 ウズベキスタン人記者からモチベーションについて問われると、ジャロリディノフは「準備はできている」と気を吐き、優勝にこだわる理由を述べた。

「2年前、大会直前に私たちの戦友が亡くなった。だからこそ、ウズベキスタンの選手たちはトロフィーを獲得したいんだ」

 ウズベキスタン人記者によると、ジャロリディノフらと世代別代表で5、6年をともにしたMFディヨルが2年前の大会直前に事故で亡くなったという。

「彼にトロフィーを見せたいという夢はまだ持っているか、その問いへの答えはイエスだ。彼の家に、彼の家族にトロフィーを持っていくんだ」。ウズベキスタン主将は、アジア制覇へのもうひとつの決意を明かしていた。

 日本とウズベキスタンはともに2度目の優勝を懸けて、日本時間4日午前0時半から決勝戦で相まみえる。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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