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大宮がロスタイムの渡邉弾で清水を下し、ベルデニック体制で初白星

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[6.30 J1第16節 大宮1-0清水 NACK]

 J1は30日に第16節を各地で行い、15位の大宮アルディージャは8位の清水エスパルスをホームのNACK5スタジアム大宮に迎えた。立ち上がりからアウェーの清水が優勢に試合を進めたが、得点を挙げるには至らず。0-0のまま前半を折り返した。後半も清水が主導権を握っていたが、大宮もFWラファエルを投入し、徐々に流れをつかんでいく。迎えた後半ロスタイム、途中出場の3人が絡み、清水ゴールをこじ開ける。FW清水慎太郎がつないだボールを、ラファエルがスルーパス。MF渡邉大剛が受けてGKと1対1になり、ゴールネットを揺らした。これが決勝点となり、大宮が1-0で勝利。ベルデニック監督の就任後、初白星を挙げている。

 両チームにとって、悪い流れを払しょくしたい一戦だ。27日に行われたナビスコ杯、大宮は新潟に3-0から逆転負けを喫し、清水は鹿島に1-2と逆転負けしている。さらに両チームとも、リーグ戦では5月6日の第10節以降、1か月以上も勝ち星を挙げていない。この一戦に向けて、大宮は27日の新潟戦から9選手を入れ替え、MF東慶悟、DF菊池光将らがスタメンに復帰した。対する清水も鹿島戦から7選手を代え、MF小野伸二やFWアレックスらがスタメンに名を連ねている。

 立ち上がりからボールを回す清水は、前半6分にMF河井陽介が高い位置でボールを奪い、ミドルシュートでゴールを狙う。同8分にもMF小野伸二が中盤のパス回しからゴールを狙うなど、フィニッシュに持ち込む。そして12分にはスルーパスに抜け出したFW大前元紀がシュートを放つと、GK江角浩司に弾かれる。こぼれ球にFW伊藤翔が詰めてゴールを狙ったが、これも戻ったGK江角にパンチングされる。浮いたボールもDF下平匠にクリアーされ、得点機を生かせなかった。

 攻撃の形をつくれなかった大宮も、同17分にMFカルリーニョスを中心としたパス回しを見せ、CKを獲得。カルリーニョスがゴール前に入れたボールをFW長谷川悠がヘッドで合わせたが、ボールはGK林彰洋の正面を突いた。

 22分にはDF平岡康裕の縦パスを受けた大前が、反転しながらのトラップでDFをかわし、シュートに持ち込んだ。しかし、ボールはDFに当たって、わずかに左へ外れて行った。27分にも清水は高い位置でプレスを掛けて、小野がボールを奪いゴールに向かう。小野はゴール左下隅に低いシュートを放ったが、ここもGK江角に防がれて得点を挙げられない。

 同36分には大宮のCKから清水がカウンターを仕掛けた。最後は河井が小野の落しからシュートを放ったが、これはDFにブロックされた。37分にも清水は右SB吉田豊のクロスからFWアレックスがヘディングシュートをゴール左に飛ばしたが、GK江角が弾き出す。

 44分には速攻から大宮もチャンスをつくる。カルリーニョスが前にボールを運び、右に開いたFW曺永哲にパス。数的優位の状況でクロスを上げたが、カバーに入っていた吉田にクリアーされる。このまま前半は0-0で折り返した。

 後半、最初に決定機をつくったのはホームの大宮だった。下平がクロスを入れると長谷川と競り合ったDFのクリアーがゴール前にこぼれる。これを曺永哲が拾って、右足でシュートを放ったが、ボールは大きく右に外れた。同12分に大宮は曺永哲を下げて、FWラファエルをピッチに送り込んだ。すると13分、いきなりラファエルにビッグチャンスが来る。長谷川が浮かせたボールを右足ボレーで捉えたが、シュートはGK林に防がれた。

 後半19分にはラファエルがDFカルフィン・ヨン・ア・ピンに倒され、ゴール正面の絶好の位置でFKを得た。ラファエルのFKは壁に当たったが、前線に基準点ができたことで、大宮が攻撃に出る時間が増えてきた。

 22分には清水が一度に2人を交代する。小野とFW伊藤翔を下げ、FW高原直泰、FW高木俊幸を投入。アレックスを一列下げて、高原をCFに配置した。同26分には河井が密集からスルーパスを出すと、大前が左サイドを抜け出してクロスを上げる。これをゴール前で高原がトラップし、シュートを放ったがDFにブロックされた。そのこぼれ球を拾ったアレックスがゴールを狙ったが、シュートを枠に飛ばすことはできなかった。

 31分に大宮が波状攻撃を見せる。最後はDF村上和弘からの横パスを受けたカルリーニョスが左足で狙いすましたシュートを放ったが、ゴール前でバウンドした難しいボールをGK林が懸命に掻き出す。直前のプレーでFW長谷川悠が額を切って出血、FW清水慎太郎との交代を強いられる。対する清水も最後の交代枠を使い河井を下げて、MF枝村匠馬を送り出した。

 後半41分にはアレックスの矢のような折り返しに高原が飛び込んだが、クロスにはわずかに届かなかった。同43分には大宮も東を下げて、MF渡邉大剛をピッチに入れる。後半46分には下平、MF渡部大輔とつないだボールを中央で清水が合わせる。決定機だったが、シュートを左に外してしまう。

 このまま試合終了かと思われた後半ロスタイムだった。清水がラファエルにパスをつなぐと、スルーパスから最終ラインの裏を取った渡邉がGKと1対1になり、ゴールを決めた。これが決勝点となり、大宮が勝利。ベルデニック監督就任後の初勝利を挙げ、勝ち点3を上積みした。

(取材・文 河合 拓)

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