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右足で決勝点を挙げた横浜FC・MF高地「あれだけ時間があれば」

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[8.22 J2第30節 横浜FC 2-1 水戸 ニッパ球]

 チームメイトも驚きの一撃だった。横浜FCのMF高地系治は後半17分、MF佐藤謙介の縦パスをMF武岡優斗が落としたところに走り込み、GKと1対1の局面を迎えた。「1対1になったけど、オレは信じていなかったんです。『高地の右足』でしたからね」とGKシュナイダー潤之介は冗談を飛ばす。しかし、この場面で高地はGK本間幸司の動きを見極めて、しっかりと右足でボールを浮かせて追加点を挙げた。普段はクールなレフティーが、派手なガッツポーズで得点を喜んだ。その理由を聞くと「右足はずっと入っていなかったからね。ただ、それだけ」と笑顔を見せた。

 得点の場面について、縦パスを通した佐藤は「後半は相手が引いてくれたから、ボールを動かしていけば必ず(パスコースが)空くと思っていました。あのときは(水戸の)ボランチが振られてパスコースが空いていたので『入れるしかない』と思って入れました」と話す。このパスを武岡がダイレクトで落とし、高地の決勝点につながったが、3人が同じ絵を描けていたと高地は言う。

「(武岡)優斗からパスが出てくるのはわかっていました。股下からくるか、左側から出てくるか、どっちから来るかは分からなかったけど、左からだとシュートに持ち込めないから、股下から来るかなと思ったら、その通りのボールが来た。あとは前を向いて落ち着いて決められたから良かったです」

 右足でのシュートについては「あれだけ時間があればね」と言い、「(GKの)本間さんが少し早く動いたようにオレには見えたから。まっすぐ蹴れば入るかなと思って、あとはダフらないことだけを意識して蹴っただけです」と話した。サラリと話すが、あの短時間で様々な状況を把握し、プレーに移していたのだ。

 この勝利で横浜FCは勝ち点を50に伸ばし、昇格圏内の6位との勝ち点差を2に縮めた。それでも、高地は目の前に集中することが大切だと強調した。

「日曜日にはすぐ甲府戦もあるし、一戦一戦、勝っていくだけです。次、甲府に勝てば、他とは縮まらなくても、甲府との勝ち点は縮まる。先を見据えるのではなく、そうやって目の前の試合に集中する。先のことを考えて目の前に試合に負けたら意味がないので。目の前の試合で結果を出して、次の試合に臨むことをしていかないとダメだと思う」

 今日の試合についても「2-1ではなく、3-1、4-1にしないといけない」と課題を口にする高地に、満足した様子は微塵もない。久しぶりの『右足』でのゴールを喜んだのと同様に、喜びを爆発させるのは結果が出たときで良いということを、冷静沈着なレフティーは知っている。

(取材・文 河合拓)

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