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争奪戦で浦和入りも出番はわずか…「悔しい気持ちがかなりあった」安居海渡が駒場に歓喜もたらすJ初ゴール!!

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浦和レッズMF安居海渡

[3.4 J1第3節 浦和 2-1 C大阪 浦和駒場]

 1-1で迎えた試合終盤、浦和レッズに今季初白星をもたらす決勝ゴールを決めたのは、ここまで出番を与えられていなかったMF安居海渡だった。トップ下のポジションで今季初出場を果たした5分後、ファーストシュートで一発回答。記念すべきJ1初ゴールでの決勝弾に「素直に嬉しかった」と喜びを爆発させた。

 後半37分、右サイドでタメを作ったMF関根貴大からのパスが入ると、迷わずゴールに狙いを定めた。「近くにアキくん(DF明本考浩)がいて、アキくんも打とうと思っていたけど、自信があったので『スルー!』と声をかけた。スルーしてくれて決めるときは力を抜いて蹴れていたので、それでいいところに行ったんじゃないかと思う」。冷静なトラップから放ったシュートで、ゴール右上を撃ち抜いた。

 流通経済大から加入した昨季はJ1リーグ戦6試合の出場にとどまり、今季も開幕から2試合はベンチ外。自らの意地もぶつける一発だった。「開幕戦もマリノス戦も出られなかったのが正直悔しくて、練習でしっかりとシュートのところも見せられていた。そういうところで今回メンバーに入れてくれたのではないかと思う。それが結果として出たのでよかった」。

 試合に出られない間には葛藤もあった。「正直、悔しい気持ちがかなりあったし、練習でもちょっと嫌になったりとかっていうのも多少あった。でも『腐ったら意味がない』っていろんな選手から言われたり、去年だったら(江坂)任くんとかも自分のこと気にかけてくれた。いろんな選手がやる気にさせてくれた。今年も周りの選手が『やれるから大丈夫』と言ってくれる選手が多くて、試合に出られなくても自分の良さを分かってくれる選手がいる」。周囲の支えもあってのJリーグ初ゴールだった。

 マチェイ・スコルジャ監督の下では本職のボランチではなく、トップ下での構想を伝えられているといい、このコンバートも閉塞感を打ち破るきっかけとなった。「いつチャンスが来るかわからない状況で、自分は必死にどこかで見せないとというのがある中で、ボランチとしては『ここがすごいね』というのが多少あると思っているけど、ズバ抜けて何かがすごいっていうものは出しづらい。それがトップ下になってわかりやすくゴールというものが近くなったので、そこを決めることによってアピールになるという考えがあった」。

 J1強豪クラブの争奪戦を経て導かれたプロの舞台。これまでのキャリアでそのポテンシャルを発揮できているとは言い難い。安居自身も「スタートから出て活躍しないといけないっていうのが自分であるので、まだまだこんなもので満足しちゃいけないなと思う」と気を引き締める。

 それでもこの日、浦和駒場スタジアムで一身に声援を浴びた経験は、安居の今後に向けても大きな活力となっていた。

「いつもはみんなと一緒に回って、正直『自分なんてあまり見られてないだろうな』というネガティブな考えもあったけど、Jリーグで初めて点を決めて、自分のゴールで勝利することができて、回っている時に『ありがとうございます』という言葉が結構聞こえてきた。その応援があっていまがあるというふうに思っているので感謝しかなかった」。決して順調ではないプロ生活もまだ2年目が始まったばかり。安居海渡の巻き返しはここから始まろうとしている。

(取材・文 竹内達也)
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