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判定に激高した東京V城福監督、会見では陳謝も…声を張り上げた理由明かす「間違っていたという返事はもらいたくない」

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審判団に抗議する城福浩監督

[11.5 J2第41節 東京V 1-0 栃木 味スタ]

 身を乗り出して審判団に主張をした。東京ヴェルディ城福浩監督は前半終了間際、DF深澤大輝が退場したシーンをめぐり、声を張り上げた。試合後の会見では「反省しています」と陳謝。しかし同時に、あの場で主張を続けた理由を強調した。

 キャプテンの森田晃樹が不在というアクシデントの中、東京VはJ1自動昇格に望みをつなぐ白星を手にした。指揮官は試合後の会見で、メンバー外となったキャプテンの近況を報告。「体調不良なので。ぶり返されないように、しっかり来週に準備ができるように、万全の対応を取りました」と事情を伝えた。

 J1昇格を目指すべく、城福監督は2022年6月から東京Vの指揮官に就任。就任当初のリリースでも「スタジアムにご来場いただいたファン、サポーターをはじめヴェルディに関わる全ての方々と、多くの感動と喜びを分かち合いたいと思います」と語っていたが、今シーズンでJ1昇格の可能性が高まるにつれ、スタジアムの変化を感じていたという。

「一年半前に来たときのあのスタジアムの空き具合…という言い方がいいかどうか。自分たちが歩んでくるプロセスの中で、少しずつ人数が増えてきた。熱量が上がってきて、対戦相手にかかわらず、われわれが望むような空気の中で試合ができるようになってきた。それは選手冥利にもつきますし、彼らががんばってきた一年間のご褒美なのかなと感じていました。本当にああいう空気を作ってくれたことは感謝したい」

 選手のことを思うからこその行動も見せた。前半終了間際、MF西谷優希の突破を阻むために、深澤がファウルで止め、警告を受けた。直前に一度イエローカードを受けていたことで、深澤は2度目の警告で退場処分。その判定に指揮官は異を唱えた。数分間、試合が中断するほどの剣幕に、審判団やスタッフが体を張って制止する場面も。試合後、城福監督は「強く反省しています」と強調。そのうえで行動に及んだ理由に語気を強める。

「僕らは映像で見れてしまう。でも、レフェリーは映像で見れない。あそこまで言いすぎるのはフェアではないが……そういう意味ではわれわれの言い分が正当だと思いながらも、後から間違っていましたという返事をもらうのは、試合にある意味命をかけているので、そういう返事はしてもらいたくないんですよ。それで満足するわけではない。どれくらいの緊張感を持ってやっているかというのは伝えなきゃいけないと思いました」

 前日には2位・清水エスパルス、3位・ジュビロ磐田が大量得点で勝利していた。4位・東京Vも大量得点で追随したかったが、なによりも重視していたのは勝ち点3だ。「簡単に勝ち点3を取れる相手ではないですし、あせって守備が荒くなることは避けたかった」。勝利さえすれば、まだ希望はつながる。「たくさん(得点を)取って3位になっておきたかったですけど、奇跡を起こすには勝ち点3で十分です」と真意を語る。

「あとひとつか、(J1昇格POを含めて)3つか。われわれが全部勝てばいいだけの話」。クラブに関係するすべての人が望む16年ぶりのJ1へ。なりふり構わずシーズン終盤を駆け抜けるつもりだ。「奇跡を起こす土壌だけは作れた。きょうの勝ち点3の価値はすごく高い」。リーグ戦ラスト1試合に向けて、気を吐いていた。

(取材・文 石川祐介)
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石川祐介
Text by 石川祐介

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