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鹿島の3連覇、W杯組み合わせ、千葉の降格…オシム氏が激白

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[12.5 J1第34節 浦和0-1鹿島 埼玉]

 4日の南アフリカW杯の抽選会に合わせて来日中のイビチャ・オシム前日本代表監督が埼玉スタジアムを訪れ、約1年ぶりにJリーグを観戦した。鹿島アントラーズの3連覇、W杯グループリーグの組み合わせが決まった日本代表、そしてクラブ史上初のJ2降格が決まった古巣のジェフユナイテッド千葉について……。オシム氏が、その思いを激白した。
以下、ミックスゾーンでのオシム氏のコメント

「私は通りがかりの者です。Jリーグの関係者じゃないですよ」

―1年ぶりのJリーグ観戦だったと思うが?
「欧州でもJリーグを放送しているので、毎週見ている。ユーロスポーツ2というチャンネルでやってるんです」

―期待した試合内容だったか?
「もうちょっと高いレベルの試合になるかと思っていた。しかし、今日の試合の性格上、そしてお互いよく知っているチーム同士の試合ということで、どんな試合になるかは予想できた。そして、そのとおりになった。両チームはプレッシャーの下でプレーしていた。国際試合のトレーニングとしては、とてもいい環境だったと思う。
 こういうプレッシャーの中でいつもプレーしていれば、代表に呼ばれたときもプレッシャーに強くなる。今日のような試合でスペクタクルなゲームを見られると思う方が間違い。素人受けする試合ではなかったかもしれないが、非常にタイトなゲームで、それぞれの選手が役割を果たしていた。それがポジティブな内容。
 日本人は規律を守るのが得意。それは国際試合を戦う上でもメリットになる。W杯の組み合わせが決まったが、W杯はひとつミスがあると失点につながる緊張した舞台。ナーバスで、プレッシャーのかかる試合を毎週やってほしい。その中で集中力を保つことが日本の成長にもつながる。代表選手も今日の浦和と鹿島の選手の集中力を見習ってほしい。
 鹿島は3連覇という偉大な事業を成し遂げた。鹿島はミスが少なく、まるで鹿島マシーンのようなメカニズムが働いていた。相手のミスを利用してゴールを狙おうとする選手がそろっている。結果が求められる現代サッカーでは、そういうことも必要なのだ。見ている人は面白くないかもしれないが、サッカーはミスがあって初めてゴールが生まれる。そこに上手く付け込んだのが鹿島の今日の勝因であり、チャンピオンになるパワーだったと思う。鹿島のしたたかさであり、両チームともよく走っていたのは今日の試合で学ぶことのできるポジティブな要素だった。
 走らなければ現代サッカーでは何も始まらない。その中で試合を決定付ける個人の力がチームとしてかみ合うか。その点では物足りなかった。10人対10人のマンツーマンで、相手を抑えるだけのサッカーは面白くない。必要なのはアイデア。日本人は規律を守るのは得意でも、アイデアのある選手が少ない。満員の観客にもっと楽しんでもらえるようなアイデアを見せなければならない。両チームを批判しているとは書かないで下さいよ。もしかしたら私が間違っているのかもしれない。ただ、私の感想としてはそう。遠くからはるばる来たので、そういう感想を持ったのかもしれない」

―鹿島の3連覇の原動力である小笠原や野沢が代表に呼ばれないことをどう思うか?
「鹿島の3連覇の原動力は監督、スタッフ、選手、サポーターの協力の賜物。その中で規律があり、選手が互いの個性を知っている。良いところも悪いところもチームメイトを知っている。それがチームとなってまとまっている」

―千葉がJ2に降格したことをどう思うか?
「今回だけでなく、何度かの過ちが重なって引き起こった結果。それは時間の問題だった。被害を受けているのはサポーターで、そこが残念。J1に定着して、上位争いをするようになったチームがこういう結果になったのは残念だ」

―あなたが千葉にいたときから過ちがあったのか?
「だれにどういう責任があるのかという問題を取り上げても、みんなが“俺じゃない”と言うだろう。少なくとも私は監督として責任を全うし、代表監督に就任したつもりだ。当時のジェフの選手は代表でもプレーしていた。そこで蓄えられつつあった力がそのあと使われなかったのは残念なこと。この話はこれぐらいにしておきましょう」

<写真>3連覇を果たした鹿島
(取材・文 西山紘平)

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