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[国体少年男子]「積極的に失敗しろ!」前回準V・福岡県相手に果敢な戦い見せた福島県が8強進出!

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[9.30 国体少年男子2回戦 福島県1-0福岡県 朝日サッカー場]

 30日、第68回国民体育大会「スポーツ祭東京2013」サッカー競技少年男子は2回戦を行い、前回大会準優勝の福岡県と福島県との一戦は福島が1-0で勝った。福島は10月1日の準々決勝で長崎県と戦う。

 試合終了間際の後半32分、福島は左SB稲村知大(尚志高)が相手の“危険人物”MF増山朝陽(東福岡)との1対1をストップ。すぐさま攻撃に切り替えてボールを運ぶと前方のMF柳原隆二(尚志高)へ入れる。ドリブルで仕掛けた柳原がDFをかわしてPAへ飛び込んだところをファウルによって止められ、PKを獲得。キッカーのMF中村駿介主将(尚志高)が「自分にかかっていると思いました。右に蹴るのは決めていた。読まれていてもパワーキックでいこう」と思い切り左足を振りぬくと、シュートはゴール右へ突き刺さった。

 1点を争う熱戦の勝敗の行方を大きく傾ける先制ゴール。福岡は素早く縦パスを入れてゴールへ迫ったが、長身GKオビ・パウエルや高さで違いを示したCB金城ジャスティン俊樹(ともにJFAアカデミー福島)をはじめ、ゴール前で堅い相手から最後まで1点を奪うことができなかった。

「積極的に失敗しろ!」。福島の指揮を執る斎藤克幸監督(相馬農高)は強豪との対戦を前に、選手たちにそうメッセージを伝えて送り出したという。「言い方は悪いですけど、失敗したって死ぬわけではない。相手に合わせるのではなくて、自分たちから積極的にやってほしい」。その言葉どおりに立ち上がり、主導権を握ったのは福島だった。左サイドから積極的に仕掛けるMF津田亘介(尚志高)がサイドを打開してからシュートを連発。14分の右足シュートはクロスバーを叩いた。

 また福島はショートパスでボールを動かしながら相手の隙をうかがい、PA付近ではFW名畑祐杏(JFAアカデミー福島)や津田がキレのある動きを見せるなどチャンスをつくり出す。対する福岡は中盤で存在感光るMF野中優之介(福岡U-18)を起点としたオープン攻撃から増山やこの日9本のシュートを放ったMF江崎響太朗がシュートまで持ち込んでくる。後半7分には右サイドでのクイックスローインから抜け出した江崎の折り返しをFW毎熊晟矢(東福岡高)が右足で叩くが、オビのビッグセーブに阻まれてしまうなどチャンスを得点に結び付けられなかった。

 両守備陣の好守もあってお互いに決定打を放てないまま進んだ試合は、相手にシュート計19本を放たれながらも「積極的に失敗しろ」のアドバイスどおりに球際での厳しさをピッチで表現し続け、カウンターからのチャンスをPKにつなげた福島の勝利。福島は福島原発の事故の影響で現在静岡県御殿場市での活動を余儀なくされているJFAアカデミー福島と尚志高の選手たちによって構成されている。普段は距離が離れてしまっているが、強化合宿などの際にコミニュケーションを取り、チームワークを高めてきた。そして前回準優勝チームを破って過去最高タイとなる8強進出。ただまだまだ満足はしていない。中村が「ここまで来たら、みんな狙っていると思う。一つ一つみんなで戦う」と語ったように、ここからさらなる歴史を築く。

(取材・文 吉田太郎)
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