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[国体少年男子]快進撃続く地元・和歌山、延長戦制して初の準決勝進出も「まだ途中」

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[9.29 国体少年男子準々決勝 山梨県 0-1(延長)和歌山県 上富田スポーツセンター球技場]

 29日、第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」少年男子サッカー競技準々決勝が行われ、開催県の和歌山県が延長戦の末、山梨県に1-0で勝利。初のベスト4進出を決めた。和歌山は30日の準決勝で福岡県と戦う。

「ボクが言わなくても選手たちがずっと優勝ということばを言い続けてきた。だからまだ、途中です」。周囲も驚く快進撃で44年前の地元開催で記録したベスト8を超えた和歌山だが、中村大吾監督(和歌山北高)はまだ頂点への道のりの「途中」であることを強調し、守護神のGK森下尚人(近大新宮高2年)は「ボクらも1試合1試合するに連れて気持ちも上がってきているし、できないことができるようになってきていたり、上がり調子なので、きょうしっかり休んであした福岡に勝てるようにしっかり準備していきたいです」と歴史的1勝直後から「次」の戦いを見据えていた。

 U-16日本代表の強力FW加藤拓己(山梨学院高1年)擁する山梨県との準々決勝。ターゲットとなる加藤を封じることと、攻守の切り替えの部分、動き出しなどを整理して臨んだ和歌山は加藤に仕事をさせずに0-0のまま試合を進めていくが、前半24分にゴール前の混戦からPKを献上してしまう。だが、山梨・加藤の右足シュートは枠右へ。先制のチャンスを逃した山梨は後半もシュートがポストを叩き、GKとの1対1のチャンスを森下に阻まれるなど1点を奪うことができない。連続のCKなど相手にプレッシャーをかけ続けたものの、中村監督が「競るところとセカンドボールのところと挟み込み。そこは選手がすごく頑張ってくれた」というようにディフェンス面で奮闘する和歌山を突き放せなかった。

 MF和田広矢主将(和歌山北高2年)やMF西淵寛斗(初芝橋本高1年)の仕掛けやセットプレーなどでゴールを狙う和歌山も先制点を奪うことはできなかったが、相手にPAまでボールを運ばれても、シュートブロックなどゴール前でよく足が出て無失点で70分間を終了。すると、延長前半8分、地元ファンを中心に1,100人の観衆を沸かせるゴールが生まれる。和歌山は左SB鈴木玲弥(和歌山北高1年)が獲得した左FKを和田が蹴りこむと、ニアサイドへ飛び込んだFW丸畑紘杜(東大阪大柏原高2年)がヘディングシュートをゴールへ突き刺す。「チームを救えるのは点しかなかった。決められて良かった。いつも練習してくれるところにキャプテンの和田がいいところに蹴ってくれたので、あとは触るだけでした。苦しい時間帯で守備も粘っこく守ってくれたので、みんなで決めた点だと思います」と感謝した丸畑は両手を広げたままスタンドへ向けてダッシュ。地元の選手たちへ向けた大歓声の中、山梨も意地の反撃を見せる。CB入間川景太(甲府U-18、1年)が前線に上がってゴールを目指すが、最後まで和歌山の堅守は崩れず。歴史を変えたイレブンは両手を突き上げて勝利を喜んだ。

 和歌山の中村監督は「何より県民の皆さんが応援してくれる。それが一番大きな力になっている」。そして選手だけでなく、コーチングスタッフ、選手の保護者、関係者に感謝していた。「プレーに特長があること、複数ポジションができる。そして全国出たら自分たちよりも強い相手ばかり。それに対してハードワークできる。そういうところが基準」(中村監督)という選考理由で選ばれた16人。歴史を変えたが、まだまだここからが本当の勝負だ。指揮官は「攻撃の精度をもう少しきょうは出したかった。判断ミスとか、パスミスとか、フィニッシュのところの課題もまだあった。そのあたりを整理して試合に臨みたい」。そして丸畑は「和歌山が優勝するとは誰も思っていないので、それを見返すために優勝して、それで和歌山を盛り上げたいです」ときっぱり。30日、快進撃を続ける和歌山がチーム、スタンド一体となって次は福岡を飲み込む。

[写真]延長前半8分、和歌山は丸畑(右端)が決勝点となるヘディングシュート

(取材・文 吉田太郎)
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