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[国体少年男子]健闘・長野県の選手たちが体感した差。DF塩入尚悟は逆転するために「人一倍、二倍、三倍頑張っていきたい」

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長野県の主将、DF塩入尚悟(AC長野パルセイロU-18、1年)は差を埋めるために努力することを誓った

[10.12 国体少年男子1回戦 長野県 0-3 愛知県 加世田運動公園多目的広場]

 初戦で激突した愛知県は、プレミアリーグに所属する名古屋U-18の選手が中心。県リーグで戦う選手も多い長野県にとっては格上とも言える相手だったが、前半は0-0と奮闘を続けた。

「自分たちは普段の練習から、粘り強い守備をコンセプトにしてきた。球際、切り替え、ハードワークをしっかり意識してきた中で、最後で身体を張る部分は前半良くできていた」。そう振り返るのは主将を務めるDF塩入尚悟(AC長野パルセイロU-18、1年)だ。

 CBとしては小柄な塩入だが、フィジカルの強さを生かした対人だけでなく、ヘディングでも愛知県に勝利。「相手の11番(大西利都)がキーマンになる中、まず気持ちで負けない。相手を尊敬し過ぎない。自分の特徴である身体を生かし、最後まで身体を張って抑えようと意識しました」。言葉通り、身を投げ出してピンチを防ぐ場面も数多く見られ、一定の自信を掴む展開だったのは間違いない。

 後半に入って輝きを放ったのは、昨年まで松本山雅FCでプレーした元日本代表DF田中隼磨氏を父に持つMF田中鈴磨(松本一高、1年)。前半は守備の時間が長く、カウンターで攻撃に転じても愛知県の切り替えが速かったため、あまり見せ場を作れなかった。だが、「練習してきた形でチャンスを作ろうと思っていた」後半は技術力を生かしたドリブルを度々、披露する。

 後半19分にはドリブルで前進し、シュートが打てないと判断すると、パスでFW鎌崎蔵(AC長野パルセイロU-18、1年)のミドルシュートをお膳立て。30分にはMF菅紀人(AC長野パルセイロU-18、1年)からのボールを受け、相手DFの背後にスルーパスを通したが、わずかに味方と合わなかった。

 ただ、相手エリアに侵入する回数が増えた分、局面をひっくり返されて危ない場面も増えた感は否めない。後半15分にMF八色真人(1年、名古屋U-18)に先制点を許すと、以降は奮闘を続けながらも連続失点。「チームとしても、個人としても1点が欲しい状況になってしまって、後ろのリスク管理が疎かになってしまった感じがします」。そう振り返った塩入は手応えを口にしながらも悔しさを滲ませた。

 初戦敗退で終わったが、世代トップクラスの選手とマッチアップできた経験は何物にも代え難い。長野県の選手たちにとって、サッカーを続けていく上での財産になる。愛知県戦はこれから飛躍を遂げるための基準と言えるだろう。田中は口にする。「愛知県はスピードが全く違った。後はトップレベルのチームは足を攣らない。自分たちのチームはすぐ疲れて、戻れなかった部分もあったので、そこを変えていきたい」

「北信越とは全く違う。スピード感が違うし、サイズも違う。簡単に埋められる差ではないと感じた。僕はあの人たちに勝って、日本代表になっていかないといけない。普段の練習から、人一倍、二倍、三倍頑張っていきたい」。そう続けるのは塩入だ。U-16年代は、まだまだサッカー選手としての入り口に過ぎない。数年後、愛知県の選手と再会する日のために、リベンジの準備を進めていく。

長野県MF田中鈴磨(松本一高)は後半、得意のドリブルで存在感

(取材・文 森田将義)
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森田将義
Text by 森田将義

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