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「頼れるキャプテン」「信じてボールを託せる選手」。J注目の守護神とストライカー、静岡学園のGK中村圭佑主将とFW神田奏真が語る互いの凄さ、プレミア、インハイについて

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Jクラブも注目する攻守の要。静岡学園高のU-18日本代表候補GK中村圭佑主将(3年=FC東京U-15むさし出身、左)とU-18日本代表候補FW神田奏真(3年=大阪東淀川FC出身)

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技が7月29日から8月4日まで開催される。静岡県代表の静岡学園高は今年、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWESTで首位を快走中。インターハイ、プレミアリーグ、選手権の3冠獲得が目標だ。

 今年の静岡学園には高校年代屈指の守護神とストライカーがいる。U-18日本代表候補GK中村圭佑主将(3年=FC東京U-15むさし出身)と、U-18日本代表候補FW神田奏真(3年=大阪東淀川FC出身)だ。ともに昨年から名門校の先発を務め、今年の静岡学園の攻守の柱。中村はチームを勝たせるようなビッグセーブの回数が増え、神田もインターハイ予選からプレミアリーグ4試合を含めて現在公式戦7試合連続ゴール中と、2人の最近の活躍は際立っている。

 Jリーグクラブからも高い評価を得ている2人が、プレミアリーグの好調の要因や互いの印象、そしてインターハイへ向けた意気込みについて語った(取材日は7月4日)。

―1日にインターハイの組み合わせが決まったけれど、その印象は?
中村「(青森)山田が一番目についたというか、近い位置(互いに勝ち上がると3回戦で対戦する組み合わせ)にあって、でも初戦も明秀日立で強度の高い試合になると思う。3回戦で山田と戦うかもしれないということで、疲労もピークの時に山田だと強度のところも凄く求められることになると思うし、もう一段階ギアを上げて、完成度を高めていかないと太刀打ちできないというのがあります」

神田「僕は正直、3回戦で青森山田とやれるかもしれないのは嬉しくて、僕は1、2年とトップにおったんですけれども、僕自身やったことがないので。強度を知りたいというのもあって、EASTで1位を取っているのもあるので、やりたいと思っていたので正直、僕的にこの組み合わせは嬉しいというのが一番感じています」

―もちろん一戦一戦だけれど、青森山田と戦いたい気持ちが強い?
中村「やっぱり2年前の衝撃(インターハイ準決勝、シュート数ゼロ、0-4で敗戦)の借りはまだ返せていないので、今あっちがプレミア1位で、オレらも1位で。凄くそこは本当の強さが求められる」

―プレミアリーグのここまでの成績(8勝2分1敗で首位)についての感想は?
中村「オレらは全試合勝つつもりで行っていて、3節で米子北にやられてから、結構変わりました。かなり、強度が練習でも高くなって、そこから負けていないということで、意識が変わったのは明らかに感じます。内側から見ていてもやれるようになってきたというか、みんなが高い意識を持ってやっていることが今のあの結果に繋がっているかなと思います」

―勝因は意識の変化。
中村「みんなが練習から意識高くてやっていて、そこが一番変わったかなと思います」

-神田君はどうかな?
神田「今、プレミアで2位と勝点5差(第11節終了時)。それでも、次の試合に負けたら意味が無いと思っているので。僕はリーグ戦で勝ちグセをつけるというのが大事だと思っているので、引き分けでOKではなくて、勝ちに繋げないと、勝点1と勝点3の2の差は大きい。まだまだ全然気を抜けないですし、今後相手も僕たちの対策もしてくると思うんですけれども、僕たちは日々練習でやっている技術とかで勝っていかないといけないと僕自身は感じていて、その中でも今年のチームはマジメで一人ひとりが勝ちにこだわっているというのがある。それが今の時点では結果に繋がって、良い形で1位という数字に表れているのかなと思います」

-神田君は10試合でもう去年の得点数(10)に並んだけれど(その後、第11節で2得点。現在12得点)。
神田「そうですね。今年はもっとやらないといけないと思っているので、とりあえず、20点を目標に行きたいと思っています」

-納得の得点ペース?
神田「計算したら、1試合に1点くらいしか取れていないので、もっともっと点を取れるように日々努力していかないといけないと感じています」

-中村君も前節のジュビロ戦で、素晴らしかったと聞いたが?
中村「自分の中でも最初から試合に入れた。(性格的に緊張しやすいが、)ジュビロ戦はすんなり入れて、課題だった取ってからのパントキックとかも何回か出せたりしたし、ハイボールのところも全部ちゃんと処理できたことは自分の中でも自信というか、確実にできてきているのは感じています。でも、失点というところでもっと統率して本当に自分が欲しいのはゼロだけなので、そこに対してはもっと自分の意識もそうだし、自分が周りを動かして本当にゼロにこだわっていかないといけない。インターハイはトーナメントで、その1点が本当に、どれだけの重みがあるか県大会でも感じていますし、そこは本当にもっとゼロにこだわって、もっとゼロを増やしていかないといけない。それが自分の課題だなと思っています」

―川口監督も浅野GKコーチも一皮むけたという高い評価をされている。
中村「そこは結構自信がついてきて、やれるという感覚。全く試合にビビらなくなったのは自分の中でも感じていますね。やれることも増えてきて、通用するんだと、そこは気持ちの部分で変わったかなと思います」

-予選を振り返って。
神田「準決勝(対飛龍高、2得点)、僕自身点を取れたのが大きかったんですけれども、1試合目(対浜名高、3得点)で3点取って、2試合目でも正直3点欲しくて、でも取れなくて自分的には悔しかった。決勝(対清水桜が丘高、2得点)も前半と後半の最後まで自分が迷惑を掛けて、もっともっと自分的には良いプレーをしてチームを楽にさせるというのができなかったので、とても悔いが残るというか悔しかったと今回の予選では感じました」

-決勝の2ゴール(後半アディショナルタイムのスーパーゴールと、延長前半の決勝点)の反響は大きかったのでは?
神田「でも、その前に自分は迷惑を掛けていて、あの時はやるしかなかったので。ああいう形で点を取れたのは良かったんですけれども、もっともっと努力をしないと。予選だったから勝てたのかもしれないので、もっと全国大会で強度が高くなって行く中で、ああいうゴールが減っていくと思う。強度の高いチーム相手でも常に3点くらいは取れるFWになりたいと思っているので、県予選でそこが知れたのは良かったと思います」

―中村君は?決勝ではビッグセーブもあったけれど。
中村「あのビッグセーブに関しては、その前に1点やられていたので、こんなところで自分たちは終わるわけにはいかないと、そういう気持ちでピッチに立っていたので、本当に食らいついたという感じですね。でも、あのプレーを評価されますけれども、それよりもまず予選のところで、1試合目の浜名からゼロで抑えることができなかったのは、自分も悔いが残っています。チームは大量得点で勝ったけれど、自分もゼロで抑えるからこそ、静学は守備も攻撃もというふうに周りからも言われると思う。やっぱりゼロで抑えられないと本当に自分としての価値も下がると思うし、静岡で圧倒して全国で勝負するという気持ちで大会に臨んだので、そこは一個もゼロで抑えられた試合がないというのは自分の中では悔しいです」

―今日のトレーニングに先輩の旗手(怜央、セルティック)君が来たけれど、見て感じたこと、言葉で学んだことは?
神田「雰囲気ありましたね。めちゃくちゃ。旗手君も言っていましたけれども、僕も日々努力して、続けることが大事だと改めて実感しました」

中村「(自分たちと)同じ練習していたということと、やり続けることで花開く可能性が高まるというのは凄く響いて。やっぱり同じ練習でも、どれだけ意識高くやれるかというのもありますし、一個一個こだわらないと、やらないと、いざという時に隙が出てしまう。今日の練習でも気づいたことは言うし、お互い高いレベルを求めあってやることが旗手君みたいなA代表や世界で活躍できる、個人昇格に繋がっていくのかなと思いました」

―オーラはあった?
神田「あんなダボダボの服着ていたんですけれども、ゴツいなというのがありました」

―彼も、後輩と一緒のピッチでできたら良いと。2人はプロからの評価も高まっているけれど。
中村「自分が目指しているのは、今、旗手さんがいるところなので。貪欲に狙っていきたいと思っています。本当に、今日来た時に思っていたんですけれども、自分もいつか一緒のピッチに立てたら良いなと思っていたので、旗手さんが今日来てそこが一番感じましたね。この人と一緒のレベルに自分も行かないといけないと思いました」

神田「僕自身も最終的にはA代表で出るという目標があるので、今日旗手君が来て話しても感じることはたくさんあるんですけれども、一緒にやった方が感じられることはありますし、そのためにもA代表に入らないと旗手君と一緒にやれないというのがあると思うので、もっともっと日々努力して、練習から一つ一つ最後までこだわってやって行って、近いうちに旗手君と一緒にプレーできたらなと思いました」

―2人はお互い、プレーヤーとしてどう思っている?
神田「(中村は)頼れるキャプテンとめっちゃ思っています。今年のチームは圭佑いなかったら、僕的にはもう終わっているかなと思っているくらい。圭佑がいてくれて、良かったなと思います」

―どういうところが凄い?
神田「チームを鼓舞するところも凄いですし、やらないといけない時にチームを締めることができるというのは、少ないので。それができる人間がチームに一人絶対に必要という中で、それが圭佑なので、プレー面でも欠かせない存在というのはありますね」

―中村君は?
中村「(神田は)信じてボールを託せる選手だなというのは感じていて、自分はGKで点を取ることは絶対にできないので、もうそこは託すしか無いし、そうなったら奏真にボール集めろと自分も思いますし、身体を張れる選手なので、後ろで困った時とかに奏真に当てればというのもあります。信じてボールを預けられる選手だと思っています」

―プレミアリーグ含めて凄いシュートも決めだした。
中村「ヘディングするような位置で胸トラしたり、その身体能力とか身体の使い方は奏真の強みだと思う。オレらはいつも一緒にやっているので、そんなに。周りほどビックリはしないですけれども、そこが周りのFWとは全然、一味違うなという感じですね」

―お互いのピッチ外は?
神田「めちゃくちゃ元気ですよ。常に元気です。まあ、一つだけ言えばテストの時だけ…(元気がなくなる?)そうです。お互いですけれども(苦笑)」

中村「結構、奏真は時間とかしっかりしている感じです。起きる時間にパッと起きたり、行動に計画性があると思いますね。無駄な時間を過ごしていないなと」

―直して欲しいようなところは?
神田「僕は全然ないですね」
中村「僕もないです」

―インターハイではお互いに何を期待したい?
神田「僕も支えていくんですけれども、一番チームを引っ張って、無失点で終わりたいというのが僕にもある。僕が絶対に点を取って、圭佑がゼロ点で抑えれば、全試合勝てると思うので、圭佑に無失点というのを期待したいですね」

中村「自分も同じ意見で、自分が抑えて、奏真が決めれば試合に勝てるというところで2人だけで勝つのは絶対に無理ですし、チームで協力してというのはありますけれども、最後は奏真に決めてもらって、自分がゼロで抑えるので奏真に絶対に1点取ってくれという思いですね」

―2人とも去年よりも進化している印象だけど、それぞれ感じることがある?
中村「去年は結構オレもそうなんですけれども(現奈良のMF高橋)隆大や(現桐蔭横浜大のMF寺裏)剣がドリブルとか自分でやってくれる。で、決めてくれるし、みたいなところがあったんですけれども、今年は自分たち2人が中心になってやっていかないと行けないという中で、奏真は責任感が凄く強くなったなと思います。自分がやんなきゃ、とプレーにも見えますし、大事なところで決めれる。そういう責任感が変わったなと思います」

神田「僕も一緒なんですけれども、責任感はもちろんなんですけれども、雰囲気というか、全体が変わった気がして。僕が締めてもあんまチームが締まらないと思うんですけれども(苦笑)、圭佑が言ったら締まるので、そこが違うかなと。去年は隆大君や行徳(瑛、現名古屋)君がいたので、そこはやってくれていたというのがあるんですけれども、圭佑も去年やっていたんですけれども、なんか今年は一つ一つの言葉が重いし、まとめる力がめちゃくちゃ凄いなと思いました」

―インターハイ、意識する選手はいる?
神田「やっぱり(神村学園の西丸)道人が一番、同じプレミアで同じWESTで越されているので(現在12得点で神田とともに得点ランキング2位タイ)、そこは負けたくないというのがあります」

中村「ずっとやってきた(FC東京U-18GK)小林(将天)が意識するなら一番意識しますけれども、今は誰も意識していなくて、自分の価値を上げることを一番にやっているので、ライバルよりもチームを勝たせることしか考えていないです。他のGKは見ていないです」

―インターハイへ向けて。
中村「自分にとっては初めての全国大会。一昨年はメンバーに入っていましたけれども、出場はなかったので、自分もどういう大会なのかというのは肌で感じられていないというか、ピッチ上で感じられていないので、そこは凄く楽しみだなというのがあります。自分たちは新チーム始まった時からずっと日本一と言ってきて、夏も、プレミアも、選手権も全部取るぞという目標で今はやっているので、そこは貪欲に勝負にこだわって、日本一を取りにいきたいと思っています。自分も日本一の選手を目指しているので、個人としても無失点で抑える試合を増やしたいし、大会を通して最少失点で絶対に、『明らかにコイツは日本一だ』と見ている人から思われるような、そういう評価されるように、この大会で力を示したいなと思います」

―数が少ないにこしたことはないが、セーブのところは絶対。
中村「1試合で1回2回は必ず来ると思うので、そこを自分がしっかりとシャットアウトして、自分の評価も上げられたらと思います」

―神田君は?
神田「圭佑も言っていたんですけれども、僕たちチームとして3冠という目標があって、まず一つめのインターハイの挑戦権が得られたので、そこでタイトルを一つ奪いたいのがある。個人的にも得点王を目指して、このインターハイの主役が僕になるというくらいの大会にしたいと思っています」

―今はどこからでも取れる。
神田「徐々に徐々に自信はついてきたというのはあります。今年に入って色々なシチュエーションで取るというのが僕課題だったので、その練習を自主練でしてきたので、まだ全然足りないですけれども、2桁に繋がっているというのがありますね」 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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