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「重い」「器じゃない」と感じた10番に相応しい選手へ進化。長所を磨き続けてきたレフティー、静岡学園MF高田優は評価も上昇中

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静岡学園高の10番MF高田優(3年=清水エスパルスSS静岡出身)はより武器を磨き、インターハイでチームを勝たせる

 名門の10番が評価を高めている。静岡学園高は、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWEST前半戦を8勝2分1敗と首位ターン。その好調なチームで10番を背負っているのが、MF高田優(3年=清水エスパルスSS静岡出身)だ。

 今季のリーグ戦は全11試合に先発し、4得点と活躍しているが、昨年までは主にセカンドチームの一員としてプリンスリーグ東海でプレー。年代別日本代表歴や全国大会で活躍した経験もない。だが、MF高橋隆大(現奈良)の後継者として新チームの10番に指名された長身レフティーは、ボールを運ぶ力や状況判断の良さ、そして得点力を発揮。公式戦で活躍を続け、今やJクラブから高く評価されるほどの存在になっている。

 プレミアリーグ開幕当初は相手のプレッシャーの速さに戸惑った。だが、「ここ最近、何試合かは良くボール触れて、目立つプレーと言ったらあれですけれども、自分のプレーができるようになってきているかなと思います」。4-1-4-1システムの2シャドーの一角で、動きながら正確なプレー。彼のゴールに近い位置でもボールを失わない力と左足の質、アイディアが静岡学園に多くのチャンスとゴールをもたらしている。

「(連動した攻撃のクオリティが高いが、)どこに動いて、どの人と繋がっているかとか受ける前に首を振って確認とかしていて、受ける前からどういうプレーをしようというイメージはあるので、そういうところが強みというか、ストロングになっているかなと思います」

 これまでシャドーやボランチ、SHでプレーしてきたが、川口修監督は新シーズン開幕前から「高田は点が取れる。決める力がある」とその得点力を評価していた。ゲームメーク、チャンスメークが主な役割ではあるものの、同タイプでプロへ進んだ選手たちよりも「アイツ(高田)の方が、点が取れる」と指揮官は推す。

 その得点力について、高田は「点を取るというところは2年目、プリンスリーグの頃から課題になっていたので、結構シュートとか、ゴール前に入っていく意識は練習でも意識してプレーするようにしていたので、そういうところがここに来て出始めているかなと思います」と自己分析。「重いですよ。まだ自分が合っていると思っていないです」という10番の重圧を超えてきている印象だ。

 これまでの10番同様、高田も過去の10番たちと比較されてきた。当初はそのことを意識してしまう面もあったようだ。「初めの時とか、本当にそんなに器じゃないという感じだったんですけれども、(迷わずに)自分のプレーをしようと。先輩とかプレーのスタイルも違うし、比べても仕方ないなと」。まずは自分のプレーをすることに集中。結果が出ていることや周囲からの高評価によって、自分の目線も高くすることができている。

 当初、進路については大学4年間で力をつけることを考えていたが、現在は高卒プロを第一にチャレンジしている。7月4日にOBで日本代表MF旗手怜央(セルティック)が練習場に来訪。短時間ではあったものの、彼の姿を見て、言葉を聞いたことも良い経験になった。

 旗手も求めていたフィジカル面の強化や、強度など上で戦うための課題はまだまだある。一つ一つ改善を目指すが、何よりも重視していることは武器を磨くこと。「一番は自分の長所を上げていかないと上では戦っていけないと思うので、左足のキックやもっとシュートが上手くなったりとか、そういうところをもっと伸ばしていければもうちょっと通用していけると思う」と語った。

 静岡学園での2年強の期間で「長所はめちゃくちゃ伸びたと思います。独特なところが他と違ってより成長したと思います」。7月29日初戦(対明秀日立高、茨城)のインターハイは、静岡学園だから磨くことのできた力を発揮し、高田優の名を広めるチャンスだ。

「簡単な大会じゃないと思うし、一番の目標は優勝ですけれども、チームとして成長できる良い大会にしたいなと思っていて、色々な相手と全国で戦える中で、より課題とか見つけて、より改善していって、プレミアの後半戦とかに向けて良いチームを作っていけたら。個人的には背番号じゃないですけれども、試合を決定づけるようなゴールやアシストとか増やして、チームを勝たせるような活躍ができたらなと思います」。自分の武器を磨き続け、高校生を圧倒するくらいのレベルへ。そして、全国大会で活躍し、自身の将来も切り拓く。


(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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