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“まるでロベカル”の弾道でズドン。市立船橋左SB内川遼が思い込めた左足ミドルで同点弾

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1-2の後半21分、市立船橋高左SB内川遼(3年=Wings U-15出身)が同点ゴール

[7.30 インハイ2回戦 市立船橋高 2-2(PK8-7)大津高 忠和公園多目的広場B]

 スーパーゴールで会場をどよめかせた。1-2の後半21分、市立船橋高(千葉)は敵陣でボールを奪い返すと、MF太田隼剛(3年)が左横へボールをさばく。これをU-17日本代表左SB内川遼(3年=Wings U-15出身)が左足ダイレクトでミドルシュート。敵陣中央から放たれた一撃は、ゴール右上隅へ突き刺さった。

「他のみんな、全員が『打つな!』と言っていたらしいんですけれども。ベンチのスタッフの方も『打つな!』『えっ?』という感じだった」と内川は苦笑する。同点に追いつくため、大事に攻めようとする中、大胆に狙ったミドルシュート。チームメートや両チームの指揮官が、「素晴らしかった」「たまにあるんですよ。スペシャルなシュート」「あれは練習でも見たこと無い」と驚くスーパーゴールとなった。

 後方から見た軌道は、ゴール右外から鋭く内側へ変化。まるで、ブラジル代表の左SBとして活躍したロベルト・カルロス氏が、97年のフランス代表戦で決めた“伝説のFK”のような弾道だった。

 思いの込もった同点弾だった。内川は1-0の後半6分、相手のクロスの対応でミス。小さなクリアを拾われ、同点ゴールを決められてしまう。「そこから完全に流れを持っていかれて、完全に自分の責任だと感じていた」。そして、勝ち越しゴールを献上。内川は攻撃面でもなかなか貢献することができず、責任を感じていた。

 だが、そこまでのプレーを帳消しにするようなゴール。「最近、ミドルシュートの練習をしていた。色々な感情があったので振ったら、良いところに行った。キック、パワーはあると思っていたので、自信を持って。本当にあそこは振り切るしか無いと思っていました」。チームを勢いづけた内川だが、PK戦で唯一失敗。自身の失敗直後に相手のPKを止めた中高の後輩GKギマラエス・ニコラス(2年)やチームメートに感謝していた。

「この試合何もできていなかったので、あれ(ゴール)で全部チャラと。でも、その後PKを外しているので、今の状態はマイナスです(苦笑)。次の試合は貢献して、チームを助けられれば」。自称“持っている”男だが、コンスタントに力を発揮することが課題。どの試合でも攻守両面での強さや左足という武器を出し切るだけだ。全ては、市船の勝利のために。今後の戦いでは、この日のスーパーゴールも霞むような活躍をする。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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