V・ファーレン長崎内定の中央大MF翁長聖(4年=帝京三高)は「まだ目標はないので、目標を探すことが目標です。挑戦していきたい、というのが一番の思いですね」と新シーズンの意気込みを力強く語った。

　「自分は何がしたいんだろうって考えて、でもやってきたことはサッカーしかないし」。将来を漠然と考えながら過ごし、プロを本格的に意識したのは高校3年時の進路を決めるときだった。プロへの覚悟を決めた翁長は中央大へ進学。そこで1部残留争い、2部降格、1部昇格争いと激動の4年間を過ごすことになる。「似たような1年はなく、異なる4通りの1年間から様々なことを学びました」と濃厚な大学生活を振り返っていった。

　中学、高校では試合に出ていた翁長だが、大学1年時はリーグ戦の出場機会は得られなかった。しかし下を向かずに「試合に出られないときの過ごし方を学べました」とコツコツと力をつけていく。1年間の下積み生活はしっかりと実を結び、翌年にはリーグ開幕戦から先発デビューを果たした。

　いよいよ試合にも出始めて順風満帆になるかと思いきや、その2年時から中央大は1部残留争いに巻き込まれていく。降格圏内から脱出できないまま迎えた最終節、11位・中央大は10位・筑波大との直接対決を劇的勝利。ギリギリで残留を決めることができた。「苦しくても最後まで踏ん張れば残留できる」と、この1年間で諦めない粘り強さを身に着けたという。しかし3年時、再び残留争いに巻き込まれ02年以来の2部降格。迎えた最終学年で1部復帰を狙ったが、2部5位と昇格を逃した。

　「3、4年生のときは悔しい思いしかしていないですね。降格した悔しさ、奮起したのに昇格できなかった悔しさ」。濃厚な4年間は楽しいことばかりでなかった。しかし「それでも中央大には感謝しています。下積みの時間を得られたことで、応援の大切さを学べたしチームへの帰属意識が大きく変わったので」と大学サッカーでの大きな実りを口にした。

　すでに長崎の練習に合流し、きついと口にしながらも充実した顔を見せていた翁長。「まずは一日一日を大事に過ごして、1年が過ぎたときに振り返り、またもう1年としっかり歩んでいきたいです。その過程で自分の目標を日々模索していきます」。怒涛の4年間で学んだ1年の重みを胸に、長い選手生活の一歩目を踏み出した。

(取材・文 石川祐介)

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